アジアの男女トップ選手16名でシングルスのタイトルを争う第32回LION ITTF-ATTUアジアカップ横浜2019が横浜文化体育館(神奈川)にて4月5~7日に開催された。
大会3日目は順位決定戦と男女シングルス決勝が行われ、男子は樊振東が馬龍との同士打ちに打ち勝って昨年に続き2連覇を飾った。日本勢は丹羽が張本との3位決定戦を制し、銅メダルを獲得した。
男子シングルスは樊振東がV2
<男子シングルス決勝>
樊振東(中国) -9,10,-9,7,8,10 馬龍(中国)
国際大会では圧倒的に馬龍に分の悪い樊振東がついに大舞台での「馬龍超え」を達成した。
序盤から、馬龍は打ち合いを避けずに自らもフォアハンドを振っていくプレーで、バック対バックでは樊振東、フォアハンドを振らせたら馬龍という互角の展開。両者とも手の内を知る者同士とあって、決定打になったと思ったボールがカウンターされる場面が何度も見られた。世界最高峰の好プレーの連続に会場も沸き立った。
2対2から、どうしても世界卓球前に馬龍を倒していいイメージで臨みたい樊振東が、思い切りのいいプレーで馬龍に反撃のすきを与えず、最後まで自分のプレーを貫き、世界王者に土をつけた。馬龍のプレーはやや単調に見える場面もあったが、それが馬龍が樊振東に実力で上回られたということなのか、それとも世界卓球を控えて、対戦する可能性のある樊振東に手の内を明かさなかったのか。その答えは、2週間後に迫った世界卓球で出るのかもしれない。
張本との同士打ちを制した丹羽が3位に
<男子シングルス3-4位決定戦>
丹羽孝希(日本) 7,3,-3,5,-9,8 張本智和(日本)
昨年のアジアカップ5-6位決定戦を戦った2人の再戦となったこの試合。1年前は張本がゲームオール8-10から劇的な逆転勝ちを収めて勝っている。
第1ゲームから鮮やかなカウンターを決めた丹羽が2ゲームを連取し好調を思わせる。試合後「張本が負けた試合の動画を見て研究した。真っ向勝負では分が悪いので、コース取りや緩急、回転の変化を工夫した」と語ったように、万全の張本対策で臨んだ丹羽が流れをつかんだかに見えた。対する張本は、ミスを誘われ、バックハンドの決定打が決まらない。第3ゲームはよりリスキーに攻めて1ゲームを返すが、第4ゲームは再び丹羽が取ってメダルに王手。
ここで張本がかねてより痛めていたという右手の薬指の治療を主審に申し出てインジュアリータイムに。痛みに表情を曇らせながらも、棄権はしたくなかったという張本がコートに戻った。ラリーにせずにレシーブ、3球目、4球目と早い段階で決めに来た張本が第5ゲームを取り返すも、落ち着いてコース取りと緩急を意識したプレーで丹羽が第6ゲームを制し、初の表彰台を決めた。
(取材=佐藤孝弘)
詳しい記録は国際卓球連盟ホームページに掲載されています。
ITTF:https://www.ittf.com/tournament/5061/2019/ittf-attu-asian-cup/