2年ぶりの開催となる全日本社会人卓球選手権大会が、2021年10月29日(金)~31日(日)まで、山梨県甲府市の緑が丘スポーツ公園体育館で開催。
大会最終日は男女シングルスの準々決勝~決勝が行われ、男子シングルスは、上田仁(T.T彩たま)が制し、通算4度目の優勝を果たした。
【男子シングルス優勝】
上田仁(T.T彩たま)
【男子シングルス2位】
大島祐哉(木下グループ)
【男子シングルス3位】
郡山北斗(リコー)
【男子シングルス3位】
英田理志(愛媛県競対)
Tリーガーが多数出場し、ハイレベルなトーナメントになった男子シングルスを制したのは、上田(T.T彩たま)。
「最も警戒していた」という松平賢二(協和キリン)との5回戦を会心のプレーで切り抜けると、準々決勝で鉄人・小西(東京アート)、準決勝で今大会抜群の当たりを見せていた郡山(リコー)を下して決勝進出を果たす。
決勝は、Tリーグで活躍し、今大会も圧巻の強さを見せていた大島(木下グループ)との対戦になったが、「自分の方が向かっていけた」という上田が素晴らしいプレーを披露する。台上とバック対バックで優位に立ち、ゲーム終盤の勝負どころでは積極的に仕掛ける心憎いプレーで大島の豪打を封じ、ゲームカウント4対1で勝利。プロに転向して初の全国優勝を飾ると同時に、2015~2017年の3連覇に続き、自身4度目の社会人チャンピオンの座を手にした。
優勝後、上田は「年を重ねたからこそできるプレーを追求している」と語ったが、今大会で見せた、終始落ち着きつつも好機を逃さないプレーは、その言葉を地でいくものだった。ベテランと呼ばれる年齢に差し掛かった上田が、今後どのようなプレーで我々をうならせてくるのか、楽しみにしたい。
■上田仁選手の優勝コメント
「(社会人連覇の)記録は言われていましたが、今回はあまり意識していませんでした。プロになって初めて出る社会人ということもあり、練習は積めていましたがなかなかTリーグで思うような結果を出せない中、すごく自信を失いかけていたんですけど、やっていることが間違ってなかったことを証明できた試合でもあったなと。そういう意味ですごく自信にもなりましたし、今までの優勝とはひと味違う優勝だったなと思います。
1番最初に警戒していたのは(5回戦の)松平賢二さん。賢二さんとは付き合いが長くて球が合うので、圧倒的に相性が悪くて公式戦勝ったことがないので、そこが1番の山場でした。『優勝したい』って気負っていたら多分やられてたと思うんですけど、そういう意識をなくしてやれたっていうのがすごく落ち着いたプレーにつながって良いプレーができたなと思います。そこを乗り越えられたので尻上がりによくなった感じです。準決勝の郡山戦も相手が思いきってきたのでバタバタっとしてしまいましたけど、最後は落ち着いてできたので、いい年の取り方ができているのかなと(笑)
決勝の大島に対しては、どちらかというと僕の方が向かっていけました。大島のサービスをうまくレシーブできたので、そういったところで相手がやりづらそうにしてたかなと。あとは、思い切るところとつないで我慢するところのメリハリが大会を通して良かったので、それが最終的に決勝で1番表れた。スタートと終盤の点数の取り方を意識していて、終盤にサービスレシーブの配球と仕掛けにかなり神経を置きながらプレーしていたので、そこですごく自分の方がよかったなと思います。
Tリーグ1本でやっているので、チームが優勝できるように力になりたいです。それと、移籍して自分の中でプレースタイルを変えたりとか、『年を重ねたからこそできるプレー』というのを自分なりに追求してやっているので、そういったところを全日本という大きな舞台で発揮したいですね」
今大会、気迫のプレーを続けていた大島(木下グループ)は優勝に届かず、2位。驚異のフットワークと強烈なフォアハンドドライブで優勝に1番近いと思われたが、上田の緩急と攻守が自在のプレーの前に自慢の豪打を封じられてしまった。
3位にはカウンターを決めまくった郡山(リコー)と、変幻自在のプレーを持ち味にする英田(愛媛県競対)が入った。
【男子シングルス ベスト8入りした選手】
町飛鳥(ファースト)
松山祐季(協和キリン)
小西海偉(東京アート)
笠原弘光(シチズン時計)
詳しい記録はこちらから
日本卓球協会大会ページ:https://jtta.or.jp/tour/853
(取材=猪瀬健治)