2年ぶりの開催となる全日本社会人卓球選手権大会が、2021年10月29日(金)~31日(日)まで、山梨県甲府市の緑が丘スポーツ公園体育館で開催。
大会最終日は男女シングルスの準々決勝~決勝が行われ、女子シングルスは、長﨑美柚(日本生命)が初優勝を飾った。
【女子シングルス優勝】
長﨑美柚(日本生命)
【女子シングルス2位】
橋本帆乃香(ミキハウス)
【女子シングルス3位】
野村萌(デンソー)
【女子シングルス3位】
鈴木李茄(昭和電工マテリアルズ)
女子シングルスは、社会人1年目の長﨑(日本生命)が、わずか1ゲームしか落とさない圧巻の強さで優勝をさらった。
長﨑はしなやかで力強い両ハンドを武器に、準々決勝で優勝候補の加藤美優(日本ペイントマレッツ)を下して勝ち上がってきた高橋(エクセディ)、準決勝でセンスのいいプレーを持ち味とする鈴木(昭和電工マテリアルズ)をともにストレートで下すと、決勝でカット主戦型の橋本(ミキハウス)と対戦。
直近の2021世界卓球選手権ヒューストン大会男女日本代表選手選考合宿で敗れている橋本に対し、「負けて技術も体調も万全の準備をして、自分を信じて戦った」という長﨑は、強烈かつミスの少ないカット打ちで橋本に反撃の糸口を与えずストレートで快勝し、社会人ルーキーイヤーで初優勝を飾った。
2019年世界ジュニア女子シングルス優勝を筆頭に、数々の成績を収めてきた大器・長﨑にとって、学生から社会人に環境ががらりと変わって手にした今回の優勝は、さらなる飛躍へのステップになることだろう。
■長﨑美柚選手の優勝コメント
「優勝したい気持ちはありましたが、アジア選手権大会で、練習も試合ももうちょっと頑張れたという反省があったので、今回は時間があまりない中、焦らず自分のペースで自分の卓球を取り戻せるよう調整してきて、それがこのように結果につながって良かったです。
試合では気持ちの面がすごく良くて、今回は観客やチームの方が会場に入れない状況で、近くの平野美宇さんのところで練習させてもらって、そこで練習パートナーやトレーナーの方も来てくださって『チーム美柚』みたいな感じになり、みなさんのおかげで試合だけに集中できました。
技術的には、社会人になって自分の中で技術の感覚がずれてるなっていうのをずっと感じていて、それで今大会前に少し戻ったというか『あ、これだな』というのが見つかって、その良い状態を自分でしっかり分析して維持できたことがすごく良くて、それが試合の結果につながりました。
(決勝の橋本戦は)カット打ちはすごく好きな方なんですけど、Tリーグと世界選手権の選考会では負けてしまっていたので、そのとき腕をけがしてしまったというのもあり、負けて技術の面でも体の面でもすごく準備して、今回は体も万全な状態だったので絶対にできると思って最後まで自分を信じて戦ったことが勝因だと思います。
会場では1人で戦っていたんですけど、チームメイトや今回一緒に来てくださった方がすごく力をくれたので、その人たちの分までがんばりたいと思ってプレーできたことが1番大きかったと思います。
今後の大きな目標は全日本です。もちろん優勝したいですけど、一戦一戦ベストを尽くしてどんな相手にもくらいついて本来の自分のプレーをちゃんと本番で発揮できる大会にしたいなと思います」
2位の橋本(ミキハウス)は、Tリーグ等での好調ぶりを証明するような隙のないプレーで決勝まで勝ち上がったが、長﨑の見事なカット打ちに屈した。決勝は勝機が見いだせなかったが、守備範囲の広いカットと多彩な攻撃のバリエーションは華があり、今後の活躍が楽しみな選手だ。
3位には前回大会女王の野村(デンソー)と、安定感抜群の両ハンドを持ち味とする鈴木(昭和電工マテリアルズ)が入った。
【女子シングルス ベスト8入りした選手】
成本綾海(中国電力)
前瀧初音(愛媛銀行)
宋恵佳(中国電力)
高橋梓海(エクセディ)
詳しい記録はこちらから
日本卓球協会大会ページ:https://jtta.or.jp/tour/853
(取材=猪瀬健治)