11月23〜29日にジョージ R.ブラウン コンベンションセンター(ヒューストン/アメリカ)で世界卓球2021ヒューストン(2021年世界卓球選手権ヒューストン大会ファイナル[個人戦])が開催中。
大会5日目は混合ダブルス準々決勝、男女ダブルス準々決勝、男女シングルス準々決勝が行われ、男子シングルスのベスト4が出そろった。
<女子シングルス準々決勝>
陳夢(中国) 9,6,8,6 石川佳純(日本)
2019年のオーストラリアオープンで一度陳夢を破っている石川だったが、この試合ではチャンスを見出すのが難しかった。陳夢は石川のリスク覚悟のスタートダッシュに対してもスケールの大きな両ハンドで対応。4回戦では平野に脅かされた陳夢だが、優勝に向けてまた着実な一歩を踏み出した。
●石川佳純選手のコメント
「今までの対戦と比べてもいいところはありませんでした。レシーブがうまくいきませんでした。良かったのは出足だけ。レシーブがうまくいかなくて、自分のサービスからの展開も後手後手になってしまった。
相手のサービスは常に待ちと違うのが来る感じで、やっと慣れてきたと思ったら、長いのがきたり想定とは逆のものが来たり......。レシーブがちょっと甘くなると強打がくるというプレッシャーもあったので、レシーブミスが増えてしまいました。
相手がプレッシャーを感じていない限りチャンスは来ないですね。自分がレシーブのときに、相手に思うように得点されてしまったので、なかなか(相手を)崩せるパターンにできず、やればやるほど点数を取られてしまう展開になりました。
最初に2本レシーブがすごくよかったが、その後からレシーブミスが出てしまった。サービスからはそんなに悪くなかったと思います。レシーブがうまくいかずに、ラリーも押されてからの展開になってしまいました。
陳夢はいつやっても強いです。やはり自分がもう少しプレッシャーを与えられないとキツいですね。100%でプレーされると無理です。サービス・レシーブでプレッシャーをかけられなかったから、こういう結果になったのだと思います」
<女子シングルス準々決勝>
王芸迪(中国) 10,-7,2,7,9 伊藤美誠(日本)
日本女子最後の牙城となった伊藤だったが、王芸迪の質の高いサービス・レシーブ、両ハンドドライブに打開策を見いだせないまま敗れてしまった。
伊藤が中国選手を破るときは常にゲームの主導権を伊藤が握っている様が、相手の表情からも読み取れるが、今日の王芸迪は常に向かってくる挑戦者のような心持ちでプレーしていたように見えた。特に、サービス・レシーブで発揮される、伊藤の自由な発想は大きな武器になるが、今日の伊藤は若干おとなしすぎたかもしれない。
●伊藤美誠選手のコメント
「リードし返した1ゲーム目の最後、思い切って回り込もうとして回り込めなかった。でも、やっていることは良かったと思います。
(今大会のこれ以前の試合は)自分の卓球がわからなくなる瞬間がたくさんありました。試合やってて苦しいみたいな。でも、今日は吹っ切れて冷静に戦えた。昨日のやり方では勝てないから、どんどん行こうとした。中国人選手に勝つための戦い方をした。
まずは試合に勝つためにやっていたので、内容がダメだった昨日一昨日の試合で勝てたことは大きい。でも、調整の仕方が下手なのか、事前合宿とか練習ではできていることが、試合だと急にあまり良くなくて......。試合になると自分の卓球を見失う場面が多いです。
でも、やってもやってもどうすればいいかわからない。そういう点がまだまだだし、考え込みたくないけど、考えこむことが多いです。
今大会は前できたことよりも、最近取り組んできたことをやろうと心がけていた。でも、それが結局自分を追い詰めていたと思います。中国人選手には勝てない練習のやり方をしていたかもしれません。
トレセンや事前合宿はめっちゃいい。こっちにきてから調子悪い。その辺りが自分の中でよくわかっていません。練習はやりこめているから、自信を持って試合に出れるはず。だけど相手は練習と違うから、そこ(への適応)がうまくいっていないのかも。相手のことを見ながら自分にも集中できるようになりたいけど、すごく難しいです。
自信を持って落ち着いて戦えているから、気持ち面は大丈夫だと思う。どちらかと言えば技術面を出すことが課題ですね。
今日の卓球は(格)上に勝てる卓球でした。昨日一昨日の卓球では勝てません。1日でだいぶ良くなりました。今日みたいな勝てる卓球と、負けない卓球両方できる必要がある。最近負けない卓球はできるようになってきた。面白くない卓球かもしれないけど、その方が簡単。元々は、波はあるけど勝てる卓球。今は大爆発しない卓球をやっていますが、自分にとって勝てる卓球がすごく必要だと思います。
(対中国選手なら)実力勝負してもキツい。中国人選手は負けない卓球のレベルが本当に高い。基本的に中国人選手は負けない卓球をする。私も負けない卓球を身につけてきた。でもそれだけでは中国人選手には勝てない。勝てる卓球と負けない卓球、ちょうどいいところを探すのは本当に難しい。でも、改めて自分にとっては勝ちに行く卓球が必要だと感じました。今は中国人選手と対等にい戦いすぎている。後ろでしのいでいるのは私らしくない。そういう卓球も大事だが、私らしさが必要だと思いました」
<女子シングルス準々決勝>
孫穎莎(中国) 9,4,4,7 徐孝元(韓国)
今回出場している中国選手の中でも、最もカット泣かせと言えるのが、強烈なフォアハンドドライブを持つ孫穎莎だろう。孫穎莎はほぼノーミスのカット打ちで徐孝元を圧倒。徐孝元の攻撃に対しても、慌てずにブロック、余裕があればカウンターとまったくすきがない戦い方で、この先も徐孝元が孫穎莎を破るイメージを思い描くことは難しいと思わされるような試合内容だった。
孫穎莎の勝利で、残る準々決勝は王曼昱対陳幸同のみとなり、中国の表彰台独占が決まった。
<女子シングルス準々決勝>
王曼昱(中国) 9,7,1,11 陳幸同(中国)
梁靖崑対カルデラーノの大激戦を終え、23時を回ったところで多くの観客が会場をあとにした。最終試合はどこか寂しい雰囲気の中で行われたせいもあるのだろうが、両選手のプレーもどこか淡々としているように感じられた。
9月に行われた全中国運動大会の女子シングルスで初優勝を果たした王曼昱が初優勝に向けて、最初の難関を突破した。中国選手が優勝するためには、同士打ちに勝たなければいけないのが、世界卓球の常だ。
明日の準決勝では陳夢に挑む王曼昱。どのようなプレーを見せてくれるのか。今から楽しみだ。
<女子シングルス準決勝の予定>
18:00 [29日 9:00] 陳夢(中国) 対 王曼昱(中国)
19:40 [29日 10:40] 王芸迪(中国) 対 孫穎莎(中国)
(写真・文=卓球レポート)