12月4(土)〜5(日)、2021日本卓球リーグプレーオフJTTLファイナル4が、長野県千曲市のことぶきアリーナ千曲で開催。
ファイナル4とは、前期と後期の日本リーグの総合順位上位4チームが年間日本一を賭けて争う大会。優勝チームには内閣総理大臣杯が贈られる。女子は総合1位の中国電力、同2位の昭和電工マテリアルズ、同3位のサンリツ、同4位の十六銀行の4チームの間で優勝が争われた。
試合は1日目に準決勝、2日目(最終日)に決勝が行われ、中国電力が昭和電工マテリアルズを下し、優勝を果たした。
【優勝 中国電力】
<女子決勝>
中国電力 3-2 昭和電工マテリアルズ
○成本 6,9,6 牛嶋
庄司 -9,-5,-3 鈴木○
○宋/成本 3,5 平/田口
宋 7,-9,6,-6,-9 田口○
○井 7,-9,9,1 平
女子は中国電力が制し、3年ぶり2度目の優勝を果たした。
十六銀行との準決勝では1ゲームも落とさない盤石のプレーで勝ち上がった中国電力だったが、昭和電工マテリアルズとの決勝は苦しんだ。
1番は成本綾海が牛嶋星羅のカットを完璧に攻略し、中国電力が先取点を挙げる。
しかし、続く2番は昭和電工マテリアルズのエース・鈴木李茄がお返しとばかりに庄司有貴のカットを完璧に打ち抜き、勝敗を振り出しに戻された。
3番のダブルスは中国電力ペアが完璧な連係で昭和電工マテリアルズペアを下し、優勝へ王手をかけたが、4番で成本とならぶ柱の宋恵佳が、田口瑛美子の速攻にゲームオールで敗れ、勝敗はラストにゆだねられた。
中国電力のラストを任されたのは井綾乃。後期日本リーグでMVPを獲得し、上り調子の井だが、レギュラーとして定着してきたのはここ最近だ。まして、実力差が反映されにくいラストを託された緊張がプレーに影響しないだろうか。
試合が始まると、そんな予想を吹き飛ばすかのように井が素晴らしいプレーを見せる。「私は入社して4年目ですが、3年間(団体戦に)出られなかった。今年は出るチャンスだと思って、チームに貢献できるよう必死に練習しました」と語る井が、長いリーチを生かした力強い両ハンドで昭和電工マテリアルズの平真由香を押し込む。食い下がる平に1ゲームを返されるが、「団体戦にすごい強い子。1番に置こうが5番に置こうがあまり関係ないような卓球をする」と中国電力の和田圭輔コーチが信頼する強心臓ぶりで井のスイングは最後まで鈍らず、平を突き放して中国電力の優勝を決めた。
10月の全日本総合団体、11月の後期日本リーグ、今回のファイナル4と主要大会を連覇中の中国電力だが、主力としてチームを支えてきた宋と庄司が今年度限りで引退するということで、今後の戦力は変わるだろう。しかし、和田コーチは「来季は皆さん思っている通り、メンバー的に苦しい。ですが、中電は井みたいに強くなる選手が絶対に育ってくるので、そこをサポートしていきたい。もちろん、成本と井には引き続きどんどん成長してもらって、全力で勝ちにいきます」と常勝を誓う。
井が示すように、選手が急成長を遂げる土壌がある中国電力。これから、どんな陣容でどんな戦いぶりを見せてくれるのか。来季の中国電力に注目だ。
■中国電力・松岡俊志監督のコメント
「決勝はしびれました。最高です。ダブルスが勝負だったと思います。夏以降ダブルスの強化を図ってきた成果が十分に出たました。今季で私は監督を引退しますので、次の監督にいいバトンタッチができたと思います」
■中国電力・宋恵佳選手のコメント
「すごく嬉しい、その一言です。中国電力は本当にチームワークが良いので、出ている選手も出ていない選手も全員が活躍していると思っています。全員で取れた優勝だと思うので本当に嬉しいです。本当は自分が勝って嬉し涙を流す予定だったんですが、後輩の井にいいとこ取りをされてしまったので、ちょっと涙が出なかったです(笑)」
■中国電力・庄司有貴選手のコメント
「最後というのはあまり考えず試合に臨みました。最後に負けて悔しかったですが、皆が勝ってくれて最後嬉しい気持ちで終われたのは団体戦の良いところ。やっぱり団体戦は好きだなと思いました。いつも応援してくださっている皆さんありがとうございます。来年以降も中国電力は頑張ってくれると思うので、引き続き応援よろしくおねがいします」
昭和電工マテリアルズは、サンリツに3対2と競り勝って決勝進出。鈴木と田口が2点を奪い、ラストまで持ち込んで中国電力を慌てさせた。しかし、サンリツ戦ではゲームオールジュースを制し、勝利の起点になった平/田口が敗れ、勝利までたどり着けなかった。
優勝は果たせなかったが、大エースのゴールド選手(他所属からのレンタル選手)である石川佳純が不在の中、決勝まで勝ち上がった結果は、力があることを証明したといえる。
一昨年、昨年とファイナル4で二連覇中の十六銀行は、三連覇を目指したが、中国電力の高い壁に阻まれた。
ラリー戦に定評のある徳永美子、山本怜らをそろえたオーダーで臨んだが、より厳しく攻めてくる中国電力の前に勝ち点を挙げることはできなかった。
後期日本リーグ2位のサンリツは昭和電工マテリアルズに肉薄。永尾尭子が鈴木を、松平志穂が牛嶋を下してラストまで持ち込んだが、谷岡あゆかが奮戦するも、田口のパワフルなカット打ちに屈し、決勝進出はかなわなかった。松平と組んで全日本社会人女子ダブルスを制した有延優希を体調不良で欠いたことも敗因の1つだろう。
詳しい記録はこちらから
日本卓球リーグ実業団連盟:https://www.jttl.gr.jp/taikairesult/2021/11/2021-jttl4.php
(取材=猪瀬健治)