いよいよ2022年全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月24日より東京体育館で開催される。東京での開催は4年ぶりとなる。
昨年は、新型コロナウイルスへの感染対策の一環としてダブルス種目が中止されたが、今大会から復活。また、24日から28日までは無観客だが、終盤の29日と30日は有観客で行われる。
卓球レポートでは大会に先駆けて、女子ナショナルチームの前監督であり、自身も全日本卓球選手権大会(以下、全日本)女子シングルスで通算7度の優勝を誇る馬場美香氏に、女子シングルスとジュニア女子の見どころを聞いた。
ここでは、ジュニア女子の優勝の行方を占ってもらった。
コロナ禍の全日本で勝つためには、
会場内の変化への対応がポイント
具体的な予想を述べる前に、コロナ禍で試合を行う際のポイントからお話しします。
まず、あらためて述べるまでもありませんが、感染予防を徹底し、「新型コロナウイルスへの感染を防ぐ」ことです。感染したら試合には出場できません。出場する選手はもちろん、選手の関係者も感染予防に十分な注意を払って全日本に臨んでほしいと思います。
そして、感染対策に伴う「会場内の環境の変化への対応」も大きなポイントになるでしょう。
例えば、気温の変化です。昨年は換気の時間が設けられ、それに伴って会場内の気温がぐんと下がりました。基本的に、気温が下がるとボールは弾まなくなります。昨年は、このボールの弾みの低下に対応できず、十分に力を発揮できなかった選手が見受けられました。「ボールが思ったより行かない。こんなはずではない」と焦るのは、選手にとって一番のストレスです。換気による気温の変化以外にも、試合をするコートの床のすべり具合が自分の予想と違って戸惑うこともあるでしょう。
こうした、思わぬ環境の変化があることを想定し、しっかり対応していくことが、コロナ禍で行われる今回の全日本を勝ち抜いていくためのポイントの1つになると思います。
大藤沙月、横井咲桜、木原美悠が優勝戦線をリード
ジュニアの試合はシニアに比べるとメンタルが大きく試合の勝敗を左右します。そのため、波乱が起きやすいといえます。第1シードの大藤沙月と第2シードの横井咲桜(ともに四天王寺高)、昨年女子シングルスでベスト4に入っている木原美悠(JOCエリートアカデミー/星槎)の3人が優勝争いの軸になるでしょう。
ジュニア女子2連覇中の大藤はボールを柔らかく捉える才能を持った選手で、ブロックが安定しており、それに伴って安定した力を発揮することができます。加えて、サービスがうまく、サービスからの3球目も得意なので、優勝候補の本命の一人です。
昨年のジュニア女子2位で昨夏のインターハイ(全国高等学校卓球選手権大会)では大藤を下して三冠王に輝いている横井も当然優勝を狙っているでしょう。サービスやチキータ、バックハンドの質が非常に高い選手で、特にいろいろな打球点で打つことができるバックハンドはシニアでもトップクラスに近いと評価しています。
実績十分の木原は、練習をとても頑張る選手で、ここにきて技術がさらに向上してきました。コンディションを上手く調整できれば優勝が見えてくるでしょう。
張本美和、小塩遥菜の勝ち上がりに注目
そのほかでは、張本美和(木下アカデミー)が注目でしょう。中学1年生で全中(全国中学校卓球大会)女子シングルスを制した張本は、技術力が非常に高く、苦しい試合でも持ちこたえられるメンタルを備えており、ジュニア女子でも上位へ勝ち上がる力はあると思います。
その張本と、順当に行けば4回戦で対戦する小塩遥菜(JOCエリートアカデミー/星槎)もジュニア女子の注目選手です。ツッツキやカットに1球1球変化をつける感覚が鋭い選手で、2年前のジュニア女子では決勝まで勝ち上がっており、今大会でも上位を狙っていると思います。小塩遥菜と張本の対戦が実現すれば、注目の一戦になるでしょう。
そのほか、白山亜美(明徳義塾中・高)、赤江夏星(香ヶ丘リベルテ高)、篠原夢空(貝塚第二中)、小塩悠菜(星槎中)らの勝ち上がりにも注目したいと思います。
いずれにしても、メンタルが勝敗を大きく左右するジュニア女子では、「思い切ってプレーできるかどうか」が、優勝に近づく鍵になるでしょう。
(まとめ=卓球レポート)