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2022年全日本卓球 田㔟邦史男子NT監督「実力者を破っての戸上の優勝は非常に評価できる」

 水谷隼(木下グループ)が全日本卓球から姿を消してから、混戦の様相を深めてきた男子シングルスは今大会も新チャンピオンの誕生で幕を閉じた。新たな日本のエースの座を射止めるのは誰になるのか。昨年10月から、倉嶋洋介男子NT前監督からのバトンを受け継いだ田㔟邦史監督に男子シングルスの記者会見でのコメントをまとめた。

-シングルスで優勝された戸上選手(戸上隼輔)の成長をどのように感じていますか?

 昨日、男子ダブルスも優勝して、シングルスも順調に勝ち上がってきて、ここ最近一番成長している選手じゃないかと感じています。今回の全日本でどのような戦い方をするのか、私自身非常に楽しみにしていました。
 ただ、そうした中であれだけのプレーができ、実力者を破っての優勝は非常に評価できますし、成長のスピードも速くなっていると感じました。

-今回、ベテラン選手の活躍が目立ちましたが、どのようにお考えでしょうか?

 男子については、誰が勝ってもおかしくない、その時にベストコンディションの選手が強いと感じています。今回の全日本選手権については、多くの選手が棄権せざるを得ない状況だったり、大会期間中に棄権をした選手が多くいたことは残念だったと思いますが、今回ベスト4に残った松平健太(ファースト)、吉村真晴(愛知ダイハツ)、丹羽孝希(スヴェンソンホールディングス)の3選手は、元々実力がある選手ですから、ここまで勝ち上がってくることは当然と言えば当然かと思います。
 その中で、そうした実力者を破って戸上が優勝したことは大きな自信につながると思います。

-パリオリンピックの選考会への期待は?

 国内も海外もそうですが、一番難しいのはコロナ禍での体調管理になるのではないかと思います。ただ、これからパリオリンピックに向けてポイント制の選考が一斉にスタートするので、国内の競争力が上がって、その中で勝ち上がる選手が誰になるのかというのを非常に楽しみにしています。

-張本選手(張本智和)は全日本では苦戦が続いていますが、トーナメント戦で実力を出し切れていない現状をどのように捉えていますか?

 全日本で優勝したいという強い気持ちが空回りして、プレーが固くなったり、守備的になっているところが多く見られたと思っています。誰が勝ち上がってくるか分からないトーナメントで、自分のメンタルをコントロールして、力を発揮することができるか、そして、その大会に合わせてベストなコンディションを作ることが課題になると思います。

-世界で戦っていくためには、戸上選手のような攻撃的なプレーがマッチしているのでしょうか?

 ここ最近のトップのプレーを見ていると、両ハンドに力があって、後ろだけではなく前中陣から力を発揮できるプレーが目立ってきているので、その中で戸上のプレースタイルなのかなとは感じています。もちろん、戸上はまだ経験が少ないので、多くの課題はありますが、あのプレースタイルをよりいいものにしていきたいとは思っています。

-吉村選手(吉村真晴)がパリオリンピックへの意欲を燃やしていましたが、ベテランの選手でも世界で戦っていけるというのは感じていますか?

 もちろん、感じています。一番大事なのはモチベーションですので、これからロード・トゥ・パリのポイント制が一斉にスタートするので、その戦いは非常に楽しみですし、みんなにチャンスがあると思っています。

-戸上選手のどこを具体的に改善すればいいとお考えですか?

 まずは、細かいところですね。サービス・レシーブ、台上の質は、さらなる向上が必要だと思います。あとは、ゲームの中で連続失点があるので、最高でも3点以内に収めなくてはいけないと思います。
 決勝でも、2ゲーム目で7ー2でリードしていて逆転されて負けたという場面がありました。10ー8になりましたが、そこで自分のサービスで勝ちきれなかった。世界の試合はそう甘くはないので、勝ちきらないと試合全体の流れが悪くなってしまうので、試合の流れをつかむというところも課題だと思います。

-松島輝空選手の今大会のプレーぶりについてはどのようにお考えですか?

 昨年の12月の世界ユースのU-15で優勝した時のプレーを見て、強くなってきていると感じて、今回の全日本でどのような戦い方をしてくれるかと思っていました。ジュニアの決勝では、ライバルの吉山僚一(愛工大名電高)の調子が非常によかったと思っています。ただ、ジュニアの決勝で負けた悔しさを一般でベスト16(ランキング)に入って晴らしたことは、非常に評価しています。また、この結果を自信に、負けた悔しい気持ちをさらに練習にぶつけて上を目指してほしいと思っています。
 プレーについては、サービスとバックハンドは非常によくなったと思っていますが、フォア前や台上、フォアハンドについては大きな課題があると思ってます。そこを改善・向上することでさらに期待できるプレースタイルになってくると思います。

(まとめ=卓球レポート)


詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:https://www.japantabletennis.com/AJ/result2021/
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