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2022年全日本卓球 男子シングルス優勝 戸上隼輔「満足はしていない。自分の物語は始まったばかり」

 優勝候補の高い呼び声を聞きながらも、欠場を余儀なくされた昨年の全日本から1年。世界卓球を経験し、さらなる成長を遂げて全日本の舞台に戻ってきた戸上隼輔(明治大)が、並み居る強豪選手を連破して初優勝を果たした。プレーだけでなく、マイクパフォーマンスでも個性を発揮した戸上の優勝後の記者会見の模様をお伝えしよう。

-初優勝を決めた今の気持ちを聞かせてください。

 ほっとしています。嬉しいよりもほっとしています。
 この結果に満足はしていませんし、自分の物語も始まったばかりという感じです。これから世界を見据えてやっているので、こうして日本のトップに立ててほっとしています。

-決勝は苦しい試合だったと思いますが、いかがですか?

 そうですね。2ゲーム目逆転負けしてしまって、内心無茶苦茶焦っていましたが、それを相手には絶対に見せたくないと思って、3ゲーム目に挑んで、その結果が3ゲーム目を取ることにつながりました。そのあとも非常にいいプレーができたので、試合の内容に関しては満足しています。

-3ゲーム目がキーポイントになりましたか?

 そうですね。2ゲーム目を取られたからこそ、もう一度気を引き締めて、決勝の舞台で楽しんでプレーできたんじゃないかと思います。

-ダブルスとシングルスの二冠という結果についてはどのように受け止めていますか?

 まさか二冠できるとは思っていませんでしたが、ダブルスかシングルス、必ずどちらかでは日本のトップを取って、選考レースも始まってくるので、そこに向けて幸先のいい一年にしたいと思っていました。そうした思いで挑んだ結果が二冠につながって、日本を背負っていきたいという気持ちもより強くなりました。
 ダブルスも決勝まで苦しい試合展開が多くて、なんとか乗り切ることができました。シングルスも非常にいい流れでは来ていましたが、どこで負けるかわかりませんでした。自分の気持ちが強かったからこそ立ち向かえたというか、自分らしいプレーができたんじゃないかと思います。

-パリオリンピックへの抱負をお聞かせください。

 2024年まではあと2年もありませんし、選考会も数少ないチャンスなので、今回の全日本で世界卓球に出場する権利を得られたことは非常に大きいですし、世界で通用する選手にいち早くなりたいと思っています。
 僕の年内の目標があって、世界ランキング20位以内を目指していて、世界のトップの仲間入りをして、中国選手を何人も倒せるような選手になりたいと思っています。2024年までは引き締めて、戸上の色に染め上げたいと思っています。

-堂々とした強気の発言もありますが、意識されているんでしょうか?

 発言も強気にするように自分で意識していて、自分を追い込むことでハングリー精神も自然と出てきて、自分のプレースタイルも強気な攻撃型なので、それに伴って発言も強気でいこうかなと思って変えました。
 そう思ったのが、アジア選手権大会の選考会だったので昨年の6月です。その頃に、自分に喝を入れるような発言を堂々としていきたいと思って、今回全日本で優勝してもまだまだ満足していないぞというところを見せたいと思っています。
 自分の中では日本を背負っていく覚悟はできていますし、日本の中では誰よりも強い気持ちを持っている自信があります。

-全日本で優勝して、気持ちの変化はありますか?

 日本のエースとして戦うというのは、非常に怖いことですし、今後期待もされ、注目もされる存在として、変な試合で負けられないし、堂々と戦ってこそ日本のエースだと、今まで勝ってきた先輩を見て思います。自分も水谷選手、吉村選手、丹羽選手、たくさんの選手がいる中で、自分もみんなに憧れられるような選手になりたいと思っています。

-1ゲーム目の9ー9から打ったチキータ2発はどのような手応えでしたか?

 1ゲーム目を取らないと必ず苦しい展開になると思って、案の定、競って9ー9までいきましたが、自分らしいプレーをしたいとずっと考えていたので、それがあの場面でレシーブの展開ではチキータだと思って連続してチキータでいきました。

-松平選手の熟練したプレーに対して、やりにくさはありませんでしたか?

 自分の持ち味を出させてもらえないような展開が非常に多くて、そういう展開の時は失点率も高かったと思います。気持ち的には、我慢するよりはパワーを出していく方が得点にもつながると思っていたので、とにかく、レシーブからだったり、ブロックされても連打するという気持ちを忘れずにプレーした結果が、相手を揺さぶる形につながったと思います。

-最後の1ポイントはどのような気持ちでしたか?

 あのゲームも逆転されてしまう可能性も大いにありました。自分の心境としても苦しいと思いながら試合をしていましたが、(ブロックで)振り回されても自分の脚力を信じて、とにかくフォアで動き続けて、どこかでいけるボールをつないでしまったら逆転されてしまうという気持ちもあったので、全部チャンスボールだと思って打っていました。

-田勢監督が連続失点が多いのが戸上選手の課題とおっしゃっていましたがご自身ではどう感じていますか?

 今大会は非常に連続失点が多くて、相手の流れを止められずに逆転でゲームを落としてしまうケースが多くありました。自分でも正直、打開策は見つかっていませんが、気持ちの持ち方かなとは思っています。冷静でいるつもりでも、自分のペースが崩れてしまって......。何が悪いかというのは、まだわからないです。監督やコーチなどいろいろな方の話を聞こうと思っています。

-気持ちの面という話ですが、今回は思い切ってプレーされていたようですが、いかがですか?

 ヒューストンの頃よりは、自分のプレーを強気にできたんじゃないかと思います。

-技術面でより鍛えていきたい部分はどこですか?

 まず、大きな自分の弱点として、フォア前からの展開は非常に苦しい展開が多くて、その部分の改善が今一番必要だと思っています。他の部分は結構成長しているという実感がありますし、あとはフォア前だけかなと今は思います。

-強気の発言をするようになったきっかけはありますか?

 僕がプロレスが大好きで、プロレスラーのバックステージコメントをよく聞きます。その影響でしょうか(笑)
 緊張した場面でも強気のプレーができるようになったり、格上の選手に対しても臆することなくプレーができたり、初戦でも自分らしいプレーを発揮することができて、緊張で負けたということがなくなりました。試合にプラスに影響することが増えたので、本当にみんなにもお勧めしたいです。
 それまでは勝てると思っていても「分からない」と答えることが多かったんですが、自分の心の中では絶対に大丈夫と考えられるようになることが増えました。

-好きな団体やプロレスラーは?

 新日本プロレスの内藤哲也選手です。あの人はすごいかっこいいです。棚橋弘至選手も大好きで、みんなから愛される選手で、僕もそんな選手になりたいと思っています。尊敬できて憧れられる選手像がプロレスラーにはたくさんいて、その影響はあるかもしれません。
(棚橋選手のコメントに倣って)百年に1人の逸材、戸上隼輔です!

(まとめ=卓球レポート)


詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:https://www.japantabletennis.com/AJ/result2021/
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