3月26日(日)、ノジマTリーグ2022~2023年シーズンのプレーオフファイナルが国立代々木競技場第二体育館で行われ、女子はレギュラーシーズン1位の木下アビエル神奈川と3位の日本生命レッドエルフが対戦。
結果は、木下アビエル神奈川が3対2で日本生命レッドエルフ下し、5年目にして初のTリーグ王座に輝いた。
●女子ファイナル結果
木下アビエル神奈川 3対2 日本生命レッドエルフ
○長﨑美柚/張本美和 -7,9,12 早田ひな/赤江夏星
平野美宇 -4,-9,-6 早田ひな〇
張本美和 -9,-8,6,4,-9 伊藤美誠〇
〇木原美悠 6,-6,10,-6,7 森さくら
〇木原美悠 9 伊藤美誠
2年ぶり3度目のファイナルを争う両チーム。
初優勝を目指してレギュラーシーズン1位で待ち構える木下アビエル神奈川に対して、初年度からファイナル4連覇中の日本生命レッドエルフが、レギュラーシーズン3位からの逆襲を狙う。
シーズンの順位によるハンディーとして、日本生命レッドエルフは第3マッチまでのオーダーを事前に開示した。
第1マッチのダブルスは、木下が木原/張本、日本生命は早田/赤江。試合は両者とも左右のコンビネーションでのラリーとなるが、攻めにミスが出る木下ペアに対して、日本生命ペアがリードを奪う。勝負所の5-7で早田のファインプレーでリードを広げ、日本生命ペアが第1ゲームを先取した。
しかし、第2ゲームは木下ペアが効果的にミドルを突いてリードを奪う。長﨑が弱気のミスで10-9と迫られるが、最後はサービスからの連続ドライブで得点して、ゲームカウントを1対1に戻した。
6-6から始まる最終ゲーム。立ち上がりは赤江の巻き込みサービスを張本が連続ミスして6-8とリードするも、木下ペアは二人の持ち味を生かした連続ドライブで追いすがり、勝負はジュースにもつれ込んだ。
12-12から張本が赤江の巻き込みサービスを意地のチキータで抜き去ると、最後はラリーで赤江のドライブがオーバーして、木下ペアが逆転勝利。貴重な先取点をものにした。
1点リードで迎えた木下アビエル神奈川。事前に日本生命レッドエルフは早田ひなが登場することがわかっており、そこに平野美宇をぶつけてきた。ともに世界卓球2023ダーバンの日本代表同士の争いは、意外な展開となった。
ラブオールから気合い全開の早田。平野の高速プレーをうまくしのいでリードを広げ、第1ゲームを先取した。
第2ゲームに入っても早田の気迫に平野が押されて4-9と早田が一気にリード。ここで早田にミスが続いて9-10となるが、最後は早田のレシーブがラッキーなネットインとなり、このゲームも連取した。
0対2と後がなくなった平野。サービスエースで2本連取し、両クロスに揺さぶって4-0とする。ここから早田がミドルを突いて揺さぶりをかけて6-5に詰め寄ると、平野はたまらずタイムアウト。しかし、早田は攻め手を緩めず、フォアサイドへのロングサービスを決めて追いついた。こうなると早田に勢いがついて、一気にスパートをかけて6-10とした。最後もフォアストレートへのシュートドライブで打ち抜いて、ライバル平野に完封勝利。
これで日本生命レッドエルフが星を1対1の五分に戻した。
勝負の流れを大きく左右する第3マッチ。日本生命レッドエルフは伊藤美誠の出場が開示されており、木下アビエル神奈川は昨年11月に行われた選考会で伊藤を破っている若手成長株の張本美和を当ててきた。
立ち上がりからワイドな打ち合いとなり、代々木第二に詰め掛けた観客がどよめく。変化と弾く強打で攻める伊藤と、回転をかけた両ハンドドライブで打ち込む張本が互角の展開で9-9となるが、張本が回り込み3球目ドライブをミスし、伊藤がレシーブドライブで得点して大事な第1ゲームを先取した。続く第2ゲームも抜きつ抜かれつの打ち合いとなるが、終盤に伊藤が百戦錬磨の攻守でかわしてこのゲームも競り勝った。
追い込まれた張本は、開き直ってしっかり力をためた両ハンドドライブを打ち込んで、なんとか1ゲームを奪い返した。
第4ゲームは張本がサービスミスでリズムを崩して0-3となるが、YGサービスに活路を見出いして大きなラリーに持ち込んで、伊藤のブロックを打ち抜き、ゲームオールに押し戻した。
最終ゲームは両者譲らず、伊藤のフォア連打と張本の連続ドライブで互角の展開で8-9。ここで伊藤がミートを交えた緩急で8-10とマッチポイントを握るが、張本がYGサービスからのバックハンドドライブで9-10と追いすがる。ここで張本が連続ドライブで押し込むが、伊藤が懸命のブロックでしのぎ切り、手に汗握る大接戦を制した。
両エースの活躍で日本生命レッドエルフが2勝1敗とし、5連覇に王手をかけた。
ここで決めたい日本生命レッドエルフはキャプテンの森さくらが登場。木下アビエル神奈川はエース格の木原美悠を送り込んだ。
緊張感が漂う中、両者とも早めに仕掛ける展開で5-5となるが、ここから木原が落ち着いて両サイドを揺さぶって先行した。続く第2ゲームは森がしっかり戦ってリードを奪い、ループドライブで押し込んで1対1のタイに戻した。
第3ゲームは流れを変えたい木原が高い打点の両ハンドで攻め込むが、森が距離を取ったプレーで9-9。ここで木原が強気の強打と逆モーションレシーブで連取してゲームをリードした。このまま決めたい木原だが、気負って強打にミスが出て、森がしのいでゲームオールにもつれ込んだ。
最終ゲーム、後がなくなった木原が攻め込んで、8-7で日本生命がタイムアウト。ここで木原が思い切りよく回り込んでストレートに決めると、最後もしっかりとブロックで止めて、3対2で森に勝利し、勝負の行方はビクトリーマッチで決することとなった。
泣いても笑っても最後の1ゲーム。
木下アビエル神奈川は第4マッチに続いて木原美悠を投入。一方の日本生命レッドエルフは大黒柱の伊藤美誠にすべてを託す。
試合は木原のロングサービスでスタート。気迫を前面に押し出して打ち込む木原に対して、伊藤は落ち着いた配球を見せ4-4。ともにフォア前からの展開で得点を重ねて7-7と両者譲らない。ここでも伊藤がフォア前のサービスでエースを奪うと、木下側がたまらずタイム。またもや伊藤がフォア前からの展開で木原のミスを誘って7-9と引き離した。
追い込まれてもひるまない木原は、ロングサービスからバック強打を左右に打ち込んで8-9とすると、続くポイントはダイナミックな打ち合いで粘って9-9に追いついた。
ここでサービスを持った伊藤が再びフォア前にショートサービスを展開するが、木原がバックで回り込んで揺さぶりをかけ、ついに10-9と逆転してチャンピオンシップポイントを手にした。
最後は伊藤のバックへのロングサービスを木原が思い切って回り込んでストレートに打ち抜いて、初優勝への扉をこじ開けた。
5年目にして遂に木下アビエル神奈川がTリーグの頂点に立ち、3度目の挑戦で悲願の栄冠を手にした。
(まとめ=卓球レポート)
詳しい試合の結果はTリーグ公式サイトでご確認ください。
Tリーグ:https://tleague.jp/