5月20〜28日までダーバン(南アフリカ)の国際展示場ICCダーバンで世界卓球2023ダーバンが開催される。
大会5日目の5月24日は、男女シングルス3回戦、男女ダブルス3回戦の一部、混合ダブルス準々決勝が行われた。
日本勢男子はシングルスで張本智和が快勝してベスト16入りを決めたが、宇田幸矢は中国勢に敗れて3回戦敗退となった。
▼男子シングルス2回戦(日本選手関係)
張本智和 7,9,5,7 荘智淵(中華台北)
王楚欽(中国) 9,11,-4,1,3 宇田幸矢
第4シードの張本、3回戦の相手は42歳の大ベテラン、元世界ダブルス王者の荘智淵(中華台北)。荘智淵は2020年の国際大会で張本に連勝しており、3月のWTTコンテンダーで篠塚大登を下すなど、そのテクニックは健在だ。
第1ゲームは静かな立ち上がりで6対6となるが、ここから張本がサービスを生かした展開でリードを奪い、チョレイも出始めて9対6と引き離し、1ゲームを先行した。第2ゲーム、張本は荘智淵にバックハンドを振らせて左右に揺さぶる展開で5対1とリードを奪うが、荘智淵にフォアとミドルをうまく突かれて6対7と逆転を許す。今日は静かに戦う荘智淵にうまくかわされて10対9と競り合うが、張本がライジングのバックハンドドライブを3連発してこのゲームも競り勝った。
これで流れをつかんだ張本。第3ゲームは荘智淵のミドルから揺さぶって主導権を握り、勝利の王手をかけた。第4ゲームは後がない荘智淵が捨て身のカウンターバックハンドで攻め立てるが、張本はそれをものともせず跳ね返して6対1、8対4と引き離して勝負を決めた。
張本は難敵・荘智淵にストレート勝ちを収め、3大会ぶりのベスト16入りを決めた。続く4回戦の相手もベテラン、36歳のボボチカ(イタリア)との対戦となる。
張本は試合を振り返り「今大会、初めて右利き選手との対戦で、左利き選手と練習しすぎて違和感は多少あった。明日も難しい試合になるが、どんな困難でも待ち受ける気持ちで頑張りたい。」と気を引き締めた。
今大会、当初は男子ダブルスのみでエントリーされ、篠塚の故障辞退で急きょシングルスへの出場が決まった宇田。1・2回戦で勝利して第2シードの王楚欽(中国)への挑戦権を手に入れた。
宇田は、昨日の2回戦で戸上が苦戦した王楚欽の変化サービスを確実に返球し、王楚欽のチキータをうまく処理して6対1とリードを奪う。しかし、無理をしてこない王楚欽の攻守にミスが出て6対7と逆転を許す。ここから両者譲らず9対10となるが、勝負所で王楚欽の堅いブロックを打ち抜けず、第1ゲームを競り負けた。続く第2ゲームは宇田がバッククロスのラリーで上回って7対5とリードする。しかし、王楚欽に足を使ったドライブを決められて、ジュースにもつれる展開。宇田は11対12の場面で勝負をかけた3球目回り込みドライブをふかし、2ゲームを連取された。
リードを許した宇田だが、ここまで丁寧な攻守で互角に渡り合っている。第3ゲームは両ハンドでしっかり攻めて5対1、8対4と点差を付ける。ここで力強いフォアハンドを打ち込んで、世界ランキング2位の強豪から1ゲームを奪い取った。しかし、これで王楚欽の目を覚ましてしまったようだ。
第4ゲームは立ち上がりから王楚欽に台の近くで鋭いバックハンドを浴びて0対7とされ、このゲームを失って後がなくなった。第5ゲームも王楚欽の高い打点のバックハンドが宇田を襲い、気がつけば3対10に。最後も3球目でバックハンドドライブをストレートに打ち抜かれて万事休す。宇田は、一度火が付いた世界トップクラスの猛攻を防けず、ゲームカウント1対4で敗戦となった。
敗れはしたが、中盤まで見応えのある戦いを演じた宇田は「手応えは感じましたけど、相手は1球1球の質が高い。自分が先に上から攻めないとラリーで主導権を取れないし、狙われてしまう。中国選手はボールの質が落ちない。競った場面でもずっと同じ質で打ってくるし、崩れない。競っていても守る時はきっちりストップしてくるし、チキータでも回転、スピードがあるボールを打ってくる。競ったら行けそうだけど、そこでの1点が遠い。」と試合を振り返った。
男子シングルスは3回戦を終え、ベスト16が決定した。
第1シードで世界チャンピオンの樊振東(中国)は、ダブルスの名手・黄鎮廷(香港)の裏面攻撃に第1ゲームを先行されたが、位置取りを前にして上から被せるバックハンドで主導権を握り、4対1で快勝。
前回準優勝のモーレゴード(スウェーデン)は、アフリカカップ王者のアサール(エジプト)と対戦。モーレゴードが持ち前のトリッキーな両ハンド攻撃で2対1とリードするが、低い姿勢から放たれるアサールのバックハンドドライブが両サイドに決まって一気に3ゲームを連取。84年ぶりにアフリカ大陸で開かれた晴れ舞台で、見事にジャイアントキリングを達成した。
2大会続けて世界3位の梁靖崑(中国)は、イングランドのベテラン、ドリンコールと対戦。中盤で競り合うゲームが続いたが、梁靖崑が全身を使ったパワードライブでドリンコールをかわし4対1で勝利。
世界王者返り咲きを目指す東京オリンピック男子シングルス金メダリストの馬龍(中国)は、K.カールソン(スウェーデン)の左から繰り出すシャープなドライブをうまく防いで4対1で勝利。4回戦は最近好調の林鐘勳(韓国)の挑戦を受ける。
東京オリンピック男子シングルス銅メダリストのオフチャロフ(ドイツ)は、2019年ヒューストン大会で敗れたプッツァー(クロアチア)との再戦となった。長身同士の打撃戦はゲームオールの大接戦となったが、高い打点で攻め続けたプッツァーが押し切って、オフチャロフの上位進出を阻んだ。
3月のWTTチャンピオンズ(中国・マカオ)を棄権した東京オリンピック男子シングルス4位の林昀儒(中華台北)。今大会も故障の具合が心配されたが、得意のシャープなフォアハンドドライブでフィルス(ドイツ)の変則カットを全く寄せ付けず、ストレート勝ちで4回戦進出。
ヨーロッパチャンピオンのダン・チウ(ドイツ)は、F.ルブラン(フランス)とペンホルダー裏面対決。試合は実績で勝るダン・チウがダン違いの裏面バックハンドドライブを打ち込んで、若手成長株に4対2で快勝した。
今大会好調のジェラルド(ポルトガル)は、2015年蘇州大会の男子シングルスベスト8、2019年ヒューストン大会混合ダブルス3位のフランチスカ(ドイツ)と対戦。パワーで押すフランチスカと、切れ味鋭いフォアを打ち込むジェラルドが見応えのある打ち合いを展開するが、台の近くで戦ったジェラルドが上回り、またも格上に勝利を収めた。
2回戦でゴズィー(フランス)との大熱戦を制したボボチカ(イタリア)と、アフリカ期待のアルナ(ナイジェリア)に競り勝ったロブレス(スペイン)の一戦は、ボボチカが1対2の劣勢から3ゲームを連取して逆転勝利。4回戦で張本に挑戦する。
▼男子シングルス3回戦(一部抜粋)
樊振東(中国) -8,7,5,9,6 黄鎮廷(香港)
O.アサール(エジプト) 6,-3,-4,9,7,8 モーレゴード(スウェーデン)
梁靖崑(中国) 4,5,-9,10,11 ドリンコール(イングランド)
馬龍(中国) 4,1,6,-12,1 K.カールソン(スウェーデン)
プッツァー(クロアチア) 9,-8,-9,9,7,-6,6 オフチャロフ(ドイツ)
林昀儒(中華台北) 11,5,6,8 フィルス(ドイツ)
ダン・チウ(ドイツ) 7,8,-8,-8,8,9 F.ルブラン(フランス)
ジェラルド(ポルトガル) -4,7,15,8,-10,-7,6 フランチスカ(ドイツ)
ボボチカ(イタリア) 9,-3,-4,9,7,14 ロブレス(スペイン)
(まとめ=卓球レポート)