5月20〜28日までダーバン(南アフリカ)の国際展示場ICCダーバンで世界卓球2023ダーバンが開催される。
大会7日目の5月26日は、男女シングルス準々決勝、男女ダブルス準決勝、混合ダブルス決勝が行われた。
日本勢男子はシングルスで張本智和が打撃戦の末に敗れ、ベスト4入りはならなかった。
▼男子シングルス準々決勝(日本選手関係)
梁靖崑(中国) 11,9,-12,-14,9,9 張本智和
日本男子はシングルスで1979年ピョンヤン大会を最後に、表彰台に立っていない。2017年以来2回目の準々決勝に勝ち上がった張本が、その歴史を打ち破るべく、コートに立った。準々決勝は梁靖崑(中国)。2019年ブダペスト大会の準々決勝で丹羽孝希を下し、日本男子のメダル獲得を阻んだ相手だ。
試合は壮絶な打撃戦となった。立ち上がりからサービスを持った張本がロングサービスからのバックハンド強打で圧力をかける。梁靖崑も小振りのバックハンドドライブとで応戦し7対7と譲らない。ここで梁靖崑の攻守にミスが続いて張本が10対8とゲームポイントを握るが、梁靖崑がしっかりとバックハンドドライブを決めてジュースに。ここから息もつかせぬバッククロスの応酬で11対11となるが、張本のつなぎを梁靖崑にしっかりとバックハンドドライブで打ち返され、11対13で第1ゲームを先行された。
第2ゲームもバッククロスでの攻防が続く。ライジングの張本、ためて打ち返す梁靖崑が互角で、このゲームも7対7と一歩も引かない。梁靖崑の攻めを張本がしのいで9対9となるが、梁靖崑の緩いチキータを張本が打ちあぐねて2本連取され、9対11でこのゲームも連取された。
いずれも惜しい展開で奪われた張本だが、ひるむ気持ちはない。第3ゲームもバッククロスを中心に、効果的にバックストレートへのライジングを散りばめて5対1をリードを奪うが、梁靖崑にうまく距離を取られて5対3となった所で、張本がタイムアウトで一息入れる。しかし、梁靖崑の緩急と攻守の切り替えに揺さぶられて6対7と逆転を許す。ここで強気のロングサービスをミドルに決めて、またも7対7で終盤に。張本はバックハンドを梁靖崑のミドルに配球して9対7とするが、梁靖崑の連続ドライブを防げず9対9に。なんとしてもゲームを取り返したい張本は、梁靖崑がバックに攻めてきたロングサービスをショートレンジのバックハンドドライブでクロスに打ち抜いてゲームポイントを握るが、梁靖崑の足を使った両クロスへのドライブを喰らって10対10とされる。どちらも取りたいこのゲーム。12対12から張本が上からの連打でゲームポイントを握ると、ミドルに厳しいツッツキレシーブで梁靖崑のミスを誘い、13対11で第3ゲームを奪い返して全開のチョレイ!
ここから押し返したい張本。第4ゲームは攻めと守りが目まぐるしく入れ替わるラリーでこのゲームもまたもや7対7に。梁靖崑の動いて粘られ7対9となるが、梁靖崑に打ちミスが出て9対9となると、このゲームもジュースにもつれた。ここから両者譲らず14対14となるが、張本がフォアに揺さぶってミスを誘ってゲームポイントを握ると、今度はバックサイドへのブロックを梁靖崑が打ちミスし、16対14で張本が連取し、ゲームカウントを2対2に押し戻した。
これでどうなるかわからない展開で、大事な第5ゲームも両者の意地がぶつかり合う。バックで攻める張本に対して、梁靖崑が両ハンドではね返して2対5とされるが、張本がひるまず連打で盛り返して8対6と逆転に成功。点差を保って9対7と押し込むが、強気で攻めたフォアハンドドライブにミスが続いて9対9に追いつかれた。ここで張本が勝負をかけたチキータレシーブがオーバーすると、梁靖崑に伸びるサービスを決められて9対11で失い、ゲームカウント2対3とリードされた。
追い込まれた張本だが、それでも攻め手は緩めない。梁靖崑も負けじと打ち返して、第6ゲームも競り合う展開で4対4となるが、張本の左右の揺さぶりを梁靖崑がものともせず4対6とリードを許す。あきらめない張本はフォアクロスの打ち合いで粘り取ると、バックサイドを切るサービスでエースを決めて6対6に戻した。この苦しい場面、梁靖崑に強気の3球目バックハンドを2本決められて6対8とされるが、今度は張本が3球目で打点の早いバックハンド強打をクロスに打ち抜いて8対8と譲らない。両者フォアドライブを決めて9対9。ここで張本のフォア側へのライジング強打を梁靖崑に飛びつかれて9対10と追い込まれると、最後は張本が勝負をかけたバックストレートへの強打がオーバーして万事休す。死闘に敗れて力が抜けてしゃがみ込む張本。緊迫が途切れて膝を落とす梁靖崑。
まさに両者一歩も譲らなかった大打撃戦。張本は2対4で梁靖崑に打ち負けて、準々決勝で無念の敗退。日本男子44年ぶりの表彰台への道は、2025年への宿題となった。
今大会はベスト8に終わった張本は「一番に出てくるのは悔しいという気持ちもありますが、この負けに自分自身は納得しているので、なんで負けたか、なんであそこで1点が取れなかったか、ただ悔しいだけじゃなくてその理由もちゃんとわかっているので、また次に向かって頑張りたいという気持ちです。メダルという大きなカベを一気に突き抜けるチャンスだったが、距離は縮まったと胸を張って言えると思います。2年後、一歩一歩、メダルを目指して頑張りたいです。」と、自身の成長と次への挑戦への思いを語った。
(まとめ=卓球レポート)