5月20〜28日までダーバン(南アフリカ)の国際展示場ICCダーバンで世界卓球2023ダーバンが開催される。
大会8日目の5月27日は、男女シングルス準決勝、男女ダブルス決勝が行われた。
女子シングルス準決勝では、期待の早田ひなが世界ランキング1位の孫穎莎に挑んだが、4対1で敗れ3位が確定。東京五輪女王の陳夢は陳幸同に打ち勝って決勝進出を決めた。
▼女子シングルス準決勝
孫穎莎(中国) 4,5,8,-5,8 早田ひな(日本)
陳夢(中国) -5,11,12,6,7 陳幸同(中国)
王芸迪(中国)を破って勢いに乗る早田が世界ランキング1位の孫穎莎を相手にどこまで通用するのか。それが多くの日本の卓球ファンがこの試合を通して知りたかったことではないだろうか。
結論から言えば、まだ中国という高い壁は存在しているということになった。孫穎莎はラリー志向の王芸迪に比べて、フォアハンドの一発の威力が段違いで、特にフォアクロスへのボールの決定力の高さは中国選手の中でも群を抜いているのではないだろうか。
孫穎莎の一球一球のコース、威力の質の高さになかなか対応できない早田だったが、0対3と後がなくなった第4ゲームは、投げ上げサービスからの展開で先手を取って、自分から攻める展開に。これが功を奏して、このゲームを11-5で返すことに成功。今大会、2回戦から準決勝まで1ゲームも落としていない孫穎莎から初めてゲームを奪った。
だが、そのままやられていてくれる孫穎莎ではない。第5ゲームも早田は点差を広げられずに孫穎莎に食らいついていくが、要所で、パワフルなフォアハンドで得点。最後は早田のフォアサイドを切るサービスを孫穎莎がループドライブで持ち上げたボールに、早田のバックハンドブロックがネットにかかり、早田の銅メダルが確定した。
とはいえ、早田が第1の壁は突破したことの意味は大きい。早田自身にとってももちろんそうだろうが、日本や世界が、対中国で自分たちにも可能性があるという機運が高まれば、女子の卓球はさらなる盛り上がりを見せてくれるだろう。
一方、同士打ち対決となった陳夢対陳幸同は、序盤、ラリー戦でスムーズな両ハンドドライブで質の高い連続攻撃を見せた陳幸同が、先輩の陳夢から第1ゲームを先取。両者ラリー志向のこの試合、陳幸同に分があるかと思われたが、勝負を分けたのが、第2ゲーム。10-10から陳幸同のボールが陳夢の手元でエッジインしたかに見えたが、審判はアウトの判定。陳幸同は一瞬、入っていたと相手コートを指を差すが、強く主張はしないままにポイントは陳夢。次のポイントは取った陳幸同だが、このゲームを落とし、1対1に。
ここから、陳夢のコース取りを工夫したラリーに徐々に陳幸同は失速。第3ゲームもジュースで落とすと、最後までまだまだ後輩には負けじと気迫のこもったプレーを貫いた陳夢が第4、第5ゲームを連取し、決勝進出を決めた。
決勝は、東京オリンピックの女子シングルスと同じ組み合わせの陳夢対孫穎莎となった。この時は陳夢が4対2で勝っているが、世界卓球シングルスでは無冠の陳夢。どちらが勝っても初優勝の明日の決勝が楽しみだ。
(まとめ=卓球レポート)