大学のチーム日本一を決める第92回全日本大学総合卓球選手権大会(団体の部/通称インカレ)が、7月13 〜16日まで、横浜武道館(神奈川県横浜市)で開催。
大会最終日は、準決勝、決勝が行われ、男子は愛知工業大学が決勝で明治大学を破り、2年ぶり、9回目の優勝を決めた。
【優勝】愛知工業大学
▼男子決勝トーナメント決勝
愛知工業大 3-0 明治大
○篠塚 4,12,-6,-7,4 宇田
○鈴木 6,6,9 宮川
○篠塚/谷垣 8,-9,-6,7,7 宇田/松田
横谷 - 手塚
谷垣 - 松田
男子は昨年に続き、明治大対愛知工業大の決勝となった。昨年、愛知工業大の4連覇を阻止した明治大に、早くもリベンジを遂げた形となった。
決勝は、1番から篠塚対宇田のエース対決。打球点の早い鋭いバックハンドで先手を取った篠塚が、動いてフォアハンドで決めたい宇田から2ゲームを連取。あとがなくなった宇田はよりアグレッシブに威力のあるフォアハンドで攻め込んで2対2に持ち込むが、篠塚がメリハリの利いた攻守で最終ゲームを勝ちきり、愛工大が先制点。
2番はインターハイチャンピオンの1年生鈴木が、団体戦に強い4年の宮川を精度の高い攻撃で、宮川の粘り強さをださせずにストレート勝ち。
王手をかけられた明治大は、後半につなぐべく、宇田のパワー、松田のスピードを生かしたプレーで2対1とリードするが、高校時代からペアを組んでいる篠塚/谷垣が息の合った堅実なプレーで難所を乗り切って、愛工大が2年ぶりに王座に就いた。
■森本耕平監督のコメント
もちろんうれしいんですけど、めっちゃうれしいという感じでもなく......。優勝できてよかったなっていう気持ちですね。
どこの学校とやっても紙一重だという話は選手としていたので、向かっていく気持ちはもちろん、自分たちがチャレンジャー精神でいけるような試合がしたいよねということは選手と話しながら試合に入りました。
(決勝を振り返って)ごめんなさい。なんかどう思って試合に入ったというか、あまり出てこないんですけど。もちろん、明治に去年決勝で敗れましたから、今年はリベンジしてまた優勝旗を取り返しに行こうという思いで来ましたけど、どの試合も紙一重なので、どこがどうよかったというのは、あまりないんです。ほんとに優勝できてよかったなと、もうそれだけですね。
(4年ぶりのアベック優勝について)鬼頭監督が女子をどんどんメキメキ強くするものだから、男子も優勝しないとやばいよなっていうプレッシャーは感じながらやっています。2回もアベック優勝することができて、大学に恩返しになったかなとも思います。選手自身もすごくうれしいと思います。
(優勝の瞬間、涙が見えましたが?)自分は全然泣くような人間じゃないんですけど、キャプテンの中村光人は4年生で1人だけなんですよね。なかなか大変な中やってきながら、思い入れももちろんありましたし、すごい一生懸命頑張る子なので、優勝して中村キャプテンを胴上げしようっていう気持ちがありました。全然泣くつもりはなかったんですけど優勝した瞬間、もうあいつが泣いてるもんだから、もらい泣きをしちゃったなっていうだけですね(笑)他にも泣いてる子はいましたけど想像以上にキャプテンの中村が泣いてるもんだからなんかそこにもらい泣きしちゃいましたね。
(優勝のプレッシャーが大きかったと思いますが?)もちろん、高校中学から今枝監督、真田監督のもと、こういう風に上がってきて正直、自分がやれることなんて知れていると思っているので、自分がこんなことをしてやろうなんてことも全然ありません。ただ今大学の監督というところでやらせてもらってる中で自分にできることをやろうと思っているだけなので、プレッシャーもちろんあるんですけど、いい意味で考えすぎずに、失敗もちょっと許してもらいながらやらせてもらってるところはあります。今回もこうやって真田先生にベンチ入ってもらってめちゃめちゃ心強いですよね。もちろん、衝突する時もあるかもしれないですけど、勝ち負けがかかった時に心強い味方なのでありがたいです。
(これからの目標は?)今回の主力の4人(横谷、篠塚、谷垣、鈴木)はいっぱい優勝を経験しているので、今後もっと世界に行けるような選手になるといいなと思います。世界卓球やオリンピックに行って日の丸を挙げるような選手が愛工大からたくさん出るといいなと思います。
【2位】明治大学
4年生で主将の戸上隼輔が出場できなかった影響がなかったといえばうそになるだろうが、1回戦から法政大、駒澤大、中央大と関東の強豪校を連破。宇田を単複2点起用、団体戦に強い宮川を中心に、全日学2位の松田を2点起用、1年生の飯村、昨年の決勝でラストを飾った手塚をバランスよく起用し、危なげなく勝ち上がった。
長らくチームを引っ張ってきた主力の4年生、宇田と宮川が今年度で卒業する明治大は、来年度からは新体制で王座奪還に臨む。
【3位】日本大学
▼男子決勝トーナメント準決勝
愛知工業大 3-2 日本大
○鈴木 7,5,10 小林
篠塚 10,-5,-5,-7 吉山○
○篠塚/谷垣 -9,-9,13,2,7 加山/吉山
横谷 -6,8,9,-2,-7 伊藤○
○谷垣 -12,8,9,8 加山
準決勝で日本大が愛知工業大を追い詰めた。前半で吉山が篠塚を、後半で伊藤が横谷を破り、愛工大からシングルスで2点を取る強さを見せた日本大。悔やまれるのは加山/吉山のダブルスが、両者のアグレッシブなレシーブからの展開で2対0とリードし、マッチポイントまで握ったが、ここからあえなく逆転負け。
今回は王者の強さを知らされることになったが、吉山の加入でワンランク上の強さを見せた日本大の存在感はより大きくなりつつある。
【3位】中央大学
▼男子決勝トーナメント準決勝
明治大 3-0 中央大
○宮川 7,6,8 道廣
○宇田 9,10,7 前出
○宇田/松田 5,-12,9,-8,7 小松/米倉
松田 - 青山
手塚 - 坂田
中央大は、道廣と前出の2人の1年生を前半に起用するが、ともに経験豊富な4年生の宮川、宇田にストレート負け。今大会にはダブルス専門で臨んだ小松/米倉は関東ダブルスチャンピオンらしい、連係の良さで明治大ペアに食らいついたが、一歩及ばず。課題は攻撃力か。
小野寺、淺津という主力が卒業した中央大のベスト4入りは健闘と言えるだろう。新戦力の成長に期待がかかる。
詳しい記録はこちらから
関東学生卓球連盟:https://www.kanto-sttf.jp/
(取材=佐藤孝弘)