2年に1度開催されるアジアナンバーワンを決めるバタフライ第26回アジア卓球選手権大会が9月3日から10日まで韓国の平昌(ピョンチャン)で開催される。今回のアジア大会は、バタフライが卓球メーカーとして初のタイトルスポンサーを務め、運営面から設備面など大会全般のサポートを行っている。卓球レポートも現地の平昌に足を運び、熱戦の模様をお伝えしていく。
競技7日目となる9月9日は女子シングルス決勝が行われ、王曼昱が孫穎莎(ともに中国)をゲームオールで破り、初優勝を果たした。
▼女子シングルス決勝の記録
王曼昱(中国) -10,7,8,-5,5 孫穎莎(中国)
決勝のカードは新時代の世界チャンピオン2人、孫穎莎と王曼昱(ともに中国)の対決となった。王曼昱は世界卓球2021ヒューストンを、孫穎莎は世界卓球2023ダーバンをそれぞれ制している。さらに、孫穎莎は2019年のアジア選手権大会で劉詩雯(中国)を破って優勝しているタイトルホルダーでもある。
大会7日目のメインイベントとして最後に行われた中国の同士打ち決勝は、やはり、ゲームオールにもつれる熱戦となった。
中国選手の同士打ちは主に、バック対バックを主軸に展開される。勝負を決めるのは、バック対バックでの決定力、また、ストレートに振ってからの展開での対応力だ。この試合では、孫穎莎がリスクを背負ってバックハンドの強打で王曼昱のバック側を襲った。さらに、フォア側に振られてからの展開でも、王曼昱を上回るフォアハンドの威力とボディーバランスで、孫穎莎が先制。
しかし、孫穎莎はリスクを負って攻めている分、ミスも多い。2ゲーム目は王曼昱のフォアハンドも決まり1対1に。
3ゲーム目も変わらずアグレッシブにバックハンドを振る孫穎莎に対して、王曼昱は無理をせずに両ハンドで対応。孫穎莎のサービスが甘くなったのを見逃さずにレシーブエースを決めるなどして2対1と王手。
第4ゲームは、優勝を意識したか、王曼昱に凡ミスが増えて11-5で孫穎莎が取り返した。
勝負の最終ゲームは孫穎莎がサービスミス、また、アンラッキーなエッジインに珍しく落胆した表情を露わにし、タイムアウト。すると、王曼昱は、これまでバックハンドで対応していたミドルをフォアハンドにチェンジし、孫穎莎がこの変化に対応できずにミス。流れをつかんだ王曼昱は中盤から連続得点で11-5とし、初のアジアチャンピオンの栄冠に輝いた。
準決勝では、リスクを負ったバックハンド強打で陳幸同(中国)に競り勝った。決定力の高いフォアハンドが持ち味の孫穎莎だが、今大会ではバックハンドに進境が見られた。回り込む回数を減らし、バックハンド強打に磨きをかけてきた。決勝では王曼昱の安定感がわずかに上回ったが、今後、さらにミスが減れば怖ろしいまでの両ハンドの攻撃力を身に付けることになるだろう。
▼女子シングルス準決勝の記録
孫穎莎(中国) 12,-9,-8,3,7 陳幸同(中国)
王曼昱(中国) 8,8,-2,-10,7 王芸迪(中国)
3位には陳幸同と王芸迪(ともに中国)が入った。2回戦で異質型のA.ムカジー(インド)から薄氷の勝利を挙げた陳幸同は、準決勝で孫穎莎から2対1とリードを奪ったが、孫穎莎のアグレッシブなプレーに押し切られて惜敗。
王芸迪は、準決勝で王曼昱に0対2から追い付く粘り強さを見せたが、ラリー力のわずかな差で決勝進出はならなかった。
女子シングルスの表彰式では、今大会のタイトルスポンサーを務めているバタフライを代表して、株式会社タマス(バタフライ)代表取締役社長の大澤卓子から、優勝した王曼昱選手(中国)に記念の盾が贈呈された。
卓レポX(ツイッター)でアジア卓球選手権平昌大会の熱戦を速報予定です。ぜひご覧ください!
試合の詳細な記録は下記サイトをご覧ください。
アジア卓球連合:https://asia.ittf.com/pages/39/asian%20ttc%202023_2704
国際卓球連盟(ITTF)記録ページ:https://results.ittf.com/ittf-web-results/html/TTE2773/results.html#/results
(取材=卓球レポート)