全日本タイトルホルダーとして、若手にとっての壁としての役割を見事に果たした吉村真晴（TEAM MAHARU）。4回戦で吉山和希（岡山リベッツ）、5回戦で岩井田駿斗（野田学園中）、6回戦で吉山僚一（日本大）と勢いのある若手を退けベスト8入りを決めると、準々決勝では盟友・大島祐哉（木下グループ）を破り、2年ぶりに表彰台を飾った。準決勝では野田学園の後輩の戸上隼輔（明治大）に惜しくも敗れたが、全日本王者を追い詰めたプレーでは底力を見せつけた。
ここでは、準決勝の試合後のコメントを紹介しよう。
--試合を振り返っていかがですか？
吉村 勝つ気で来ていたし、勝てると思っていましたが、やっぱり最後の最後は戸上選手（戸上隼輔／明治大）が一つ一つのクオリティの高さだったり、サービスも出す場所がありませんでした。そういう攻撃的な圧とかも感じたし、ちょっと自分が悩んでしまった部分もありました。戸上は最後の最後までやることやる、勝負をするところはするという姿勢が最後の2点差になってしまったと思います。
（戸上選手には）あまり悪いイメージを持っていませんでした。本当に自信を持っていたので、ただただ悔しかったのと、もう少しこの舞台でやりたかったなと感じました。
戸上選手にはパリの本番の年になるから「あとは頼んだよ」と伝えました。「任せてください」ということだったので、本当に頼もしい後輩です。頑張ってほしいなと思います。
みんなが戸上選手に対して向かってきてぶっ倒そうという気持ちで向かってきているので、プレッシャーや怖さが付いてくるものだと思います。トップになれば追われる側の人間になるので、今回は僕が追う側としてチャレンジして、その中で戸上選手がしっかり勝ちきったことは、戸上の成長だと思います。世界の壁はもっともっと厚いので、彼自身にもそれを感じてもらって、高みを目指して成長してもらえたらいいと思います。
--最終ゲームでギアを上げてリードしましたね。
吉村 自分のイメージ通りでサービスを切って、フォアで動けていましたが、やっぱりフォアハンドのレシーブミス、ここから全ての流れの原因かなと。正直、狙いにいった部分はありましたが、ネットにかかってオーバーミスしてしまいました。次のレシーブもゆっくり返してしまってそこを戸上選手に狙われてしまいました。あそこで無理に行かずに、もう少しラリーに自信を持っていけていれば、戸上選手のミスだったりとか、彼のボールに対して怖さはなかったので戦えたかなと思います。そういうところが自分の中では冴えていなかった部分で、それ以外は非常によかったと思います。一つのプレーで流れが変わってしまいましたね。
--終盤、サービスも相手に読まれましたか？
吉村 そうですね、サービスを出すところがなかったですね。チキータがクオリティが高いですし、自分の逆回転のサービスに対しても一撃で来てたし、最後は結構切ったんですけどね。バック前に結構切ったけど、あのクオリティーのチキータが来るので、やっぱりそういうところはトップレベルの選手だなと改めて感じました。
以前までは、逆回転のサービスに対してはレシーブミスだったり、もう少し迷いがありましたが、戦術もしっかり組み立ててきていたので、それは自分の中でも糧として次につなげていきたいですね。
--試合巧者の吉村選手から見て、戸上選手の使う緩急はどのように感じられましたか？
吉村 ここ最近、国際大会も付いていって一緒に練習したりもしましていますが、バックハンドで行く（強打する）ボールと、つなぐボール、相手がつないできたボールに対して狙うボールなど、バックハンドでの緩急が生まれてきたことによって、動ける足を生かしてフォアハンドで狙っていくなど、非常に戦術の幅が広がっていると感じました。
ただ、戸上選手は今日はもう少し足が動いてもよかったと思います。緊張とか迷いが少しあったのかなと。でも、一つ一つのボールのクオリティーだったり、サービスの種類も増えたし、コース、回転量もいいものがあります。まだまだ伸びしろはあるし、これからどんどん世界で戦っていくと、安定感も増して、両ハンドの強打も生きてくると思います。
--選考レースを終えていかがですか？
吉村 苦しかったし、長かったし、疲れたし、物足りないな自分というのが正直なところですけど、その中でも自分のやるべきことを改めて見つけたこと。卓球を通して、もっともっといいプレーしたいとか、世界で勝ちたいという思いはあります。本当に成長株の選手がたくさんいますが、自分の可能性を信じて、経験も生かしながら工夫していって、また変化して、後輩たちと一緒に成長して、みんなで強くなっていけたらと思います。
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詳しい試合の結果は日本卓球協会大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球：https://www.japantabletennis.com/AJ/result2023/
