パリオリンピック卓球競技5種目(混合ダブルス、男女シングルス、男女団体)が、パリ南アリーナ4(パリ・フランス)にて7月27日〜8月10日に開催される。
競技4日目の7月30日は男女シングルスと混合ダブルスが行われた。ここでは混合ダブルスの決勝と3位決定戦の結果をお伝えする。
写真提供=ITTF(国際卓球連盟)、ITTF/ONDA
決勝は王楚欽/孫穎莎がリ・ジョンシク/キム・クムヨンを振り切り、悲願の金
▼混合ダブルス決勝
王楚欽/孫穎莎(CHN) 6,-7,8,5,-7,8 リ・ジョンシク/キム・クムヨン(PRK)
パリオリンピック卓球競技はいよいよ最初の金メダルが決まる試合、混合ダブルス決勝が行われた。
世界卓球2連覇中で第1シードの王楚欽/孫穎莎(中国)と、世界予選から勝ち上がりシード勢をなぎ倒して勝ち進んできたリ・ジョンシク/キム・クムヨン(北朝鮮)が、それぞれ初の金メダルを目指した。
注目の立ち上がり、中国ペアが二人の圧倒的な攻撃力を武器に大きな展開に6対2とリードを奪う。これまでの相手と圧力が違い、キム・クムヨンのブロックがはじかれる。このまま中国ペアが攻め込んで第1ゲームを先制した。
第2ゲームは変化プレーが通じないと察知した北朝鮮ペアが上からたたき返す展開で6対6と互角の展開に持ち込む。ここでキム・クムヨンのバックハンドフリックからの連係に活路を見いだして7対10と引き離し、北朝鮮ペアがこのゲームを取り返した。
第3ゲームは北朝鮮ペアがフォアハンドの連打で押すが、中国ペアが下がらず応戦して9対5とリードする。ここでリ・ジョンシクが淡々とバックハンドで揺さぶりをかけ9対8となり、中国がタイムアウトで流れを止める。打ち合いで孫穎莎のドライブがネットに絡むラッキーもあり、中国ペアが振り切って、ゲームカウント2対1とした。
このまま押し切ってしまいたい中国ペア。第4ゲームはキム・クムヨンの前陣プレーに慣れてきた王楚欽のパワーに火が付き3対0。ここで北朝鮮ペアがたまらずタイムアウトを入れるが、中国ペアは素早く動いてスパートをかけ7対2と引き離し、悲願の勝利に王手をかけた。
あとがなくなった北朝鮮ペア。第5ゲームは立ち上がりからリ・ジョンシクが3球目で回り込みドライブとミドル前のチキータを決める。キム・クムヨンも前陣を死守してラリーをつないで1対4とすると、リ・ジョンシクが強気のプレーで押し込んで3対8と点差を広げる。流れを切りたい中国ペアは王楚欽が台上で攻め込んで7対9とするが、リ・ジョンシクが両ハンド攻撃を決め、北朝鮮ペアが3対2とゲーム差を詰める。
観客席から国際オリンピック委員会のトーマス・バッハ会長が見守る中、第6ゲームは両ペアの栄冠への思いがぶつかり合い、すさまじい攻防が展開される。中国ペアが先手を取って3対1とするが、北朝鮮ペアが台上から仕掛けて3対3。目まぐるしく攻守が入れ替わる打撃戦で4対4、5対5、6対6と両者譲らない。5対6からキム・クムヨンがサービスエースを決めるが、王楚欽もサービスで決め返して7対7と一歩も引かない。前陣に張り付くキム・クムヨン、跳ね回る孫穎莎、どっしり腰を据えて打ち込むリ・ジョンシク、猛然と動いてしゃがみ込んで攻める王楚欽が、息をのむラリーで会場を沸かせて8対8。ここでリ・ジョンシクの必死の飛びつきドライブを孫穎莎が懸命のカウンターブロックでストレートに合わせて9対8とすると、王楚欽が3球目バックドライブをミドルに決めて、ついにゴールドメダルポイントを手にした。最後は勝負をかけたリ・ジョンシクのフォアハンドがオーバー。その瞬間、握りこぶしで床に向かって叫ぶ孫穎莎、両手を握って天を仰ぐ王楚欽。素晴らしいゲームに総立ちでたたえる観客。
王楚欽/孫穎莎がリ・ジョンシク/キム・クムヨンを4対2で振り切り、中国勢が念願の混合ダブルス金メダルを手中に収めた。惜しくも敗れたが、パリで旋風を起こした北朝鮮ペアの奮闘も、この種目を大いに盛り上げた。
3位決定戦、林鐘勳/申裕斌(韓国)が黄鎮廷/杜凱琹を下して銅メダル
▼混合ダブルス3位決定戦
林鐘勳/申裕斌(KOR) 5,7,7,12 黄鎮廷/杜凱琹(HKG)
決勝に先だって行われた3位決定戦は、第3シードの林鐘勳/申裕斌(韓国)と第4シードの黄鎮廷/杜凱琹(香港)で争われた
ラリーに強い両ペアの対戦とあってラブオールから素晴らしい打撃戦となるが、どのラリーも韓国ペアが広角に展開して6対0と大きく引き離し、第1ゲームを先行した。すると第2ゲームは韓国ペアが高い位置取りで先手を取ると、香港ペアの柔らかいつなぎに慌てずクロスに決めて10対5とし、いきなり2ゲームを連取した。
リードを広げたい韓国ペアは第3ゲームも立ち上がりから1点取るたびにフリーハンドを高く上げて士気を高める。申裕斌が黄鎮廷のドライブを止め、林鐘勳が杜凱琹のつなぎを狙い撃って7対4とし、一気に銅メダルにあと1ゲームとした。
このまま押し切りたい韓国ペアは第4ゲームもさえを見せ、林鐘勳の動きと申裕斌の球あしらいで3対0として、香港ペアがたまらずタイムアウトを取ると、ここから静かにラリーを展開して6対6と追いついた。黄鎮廷がしっかり動いて杜凱琹が早いプレーで8対10とするが、韓国ペアが渾身のラリーでジュースに追いつく。12対12から韓国ペアが左右の連打で押し込んでマッチポイントを握ると、万全を期してタイムを入れる。最後は申裕斌のバックハンドドライブが決まり、両手を広げて喜ぶ林鐘勳、しゃがみ込んで叫ぶ申裕斌。
林鐘勳/申裕斌が4対0のストレートで黄鎮廷/杜凱琹を下し、オリンピックの個人種目で韓国勢20年ぶりのメダルとなる銅メダルを獲得した。
詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会:https://jtta.or.jp/tour/24750
World Table Tennis:https://worldtabletennis.com/eventInfo?selectedTab=Results&eventId=2603
(まとめ=卓球レポート)