1. 卓球レポート Top
  2. 大会
  3. 国際大会
  4. オリンピック
  5. 2024パリ
  6. 卓球 パリ五輪 女子団体決勝 〜中国が5連覇。日本は2大会連続の銀メダル〜

卓球 パリ五輪 女子団体決勝
 〜中国が5連覇。日本は2大会連続の銀メダル〜

 パリオリンピック卓球競技5種目(混合ダブルス、男女シングルス、男女団体)が、パリ南アリーナ4(パリ・フランス)にて7月27日〜8月10日にて開催される。
 最終日となる競技15日目の8月10日は女子団体の銅メダル決定戦と決勝が行われる。
 ここでは女子団体決勝、中国対日本の結果をお伝えする。
※写真は中国チーム
※写真提供=ITTF/ONDA

陳夢/王曼昱がゲームオールジュースの激戦を制して先制

日本は早田(左)/張本の大胆オーダーで食い下がったが惜しくも先制点ならず

孫穎莎が平野との高速ラリーを制し、中国が王手

平野は第1ゲームのリードを守りたかった

王曼昱が回転量の多い両ハンドで張本を退け、決勝点

堂々と王曼昱と渡り合った張本。この経験は張本にとっても日本にとっても大きい

2大会連続で銀メダルを獲得した日本。素晴らしいプレーをありがとう!

▼女子団体決勝

中国   3-0   日本
陳夢/王曼昱   -9,6,-6,6,10   早田ひな/張本美和
孫穎莎   11,6,6 平野美宇
王曼昱   -12,10,7,6 張本美和

 卓球競技のフィナーレを飾る女子団体決勝は、前回東京大会に続き、中国対日本のカードになった。
 日本が格上の中国を倒すためには、トップのダブルスを取って動揺を誘うことが必須条件になるが、そのダブルスで日本はここまで組んできた早田ひな/平野美宇ではなく、早田ひなと張本美和を合わせるという、奇襲ともいえる予想外のオーダーを組んできた。対する中国は、不動の陳夢/王曼昱で受けて立つ。 
 金メダルを懸けた大一番、ラブオールの声がかかると、張本がいきなりバックハンドでストレートを抜き、早田が強烈なチキータで続く積極的な連係で5-1とスタートダッシュをかけると、そのまま逃げ切って第1ゲームを先制する。
 第2ゲームは、陳夢/王曼昱が回転量の多いドライブで日本ペアのストレート攻撃とミドル攻めに対応し、すかさずタイに追いつく。
 続く第3ゲームは、陳夢のボールを早田が受けるパターンで相性がいい日本ペアが再び主導権を握る。9-6で張本がここぞの回り込みでフォアハンドをストレートに突き刺すと、ゲームポイントでは張本が難しいエッジボールに反応するファインプレーで日本が再びリードを奪う。
 このまま逃げ切りたい日本ペアだったが、王曼昱が回転量の多いチキータとバックハンドで早田のミスを誘って得点を重ね、中国ペアが第4ゲームを奪い返し、両チームとも喉から手が出るほどほしい先制点の行方は第5ゲームへ。
 両ペアの世界最高峰の技術力と戦術力、意地のぶつかり合いは一進一退で進むが、中盤から早田の強打と張本の前陣での思い切った攻めで畳み掛ける日本ペアが9-5と引き離す。これは日本が先制するか。そう思われたところからの中国ペアがさすがだった。王曼昱がレシーブから張本のロングサービスを読んでフォアハンドで強襲し、9-9に追い付くと、陳夢が早田のやや甘くなったストップを果敢に回り込んでマッチポイントを握る。日本ペアも必死で打ち合ってジュースに追い付くが、最後は早田のフォアハンドがコートをオーバーし、中国が先制点をもぎ取った。
 読みと思い切りのほんのわずかな差で敗れた早田/張本だが、張本が前陣でさばき、早田が中陣から強打で圧をかける連係は国際大会で初めて組むとは思えないほど息が合っていた。しかし、ダブルスを落としたことで、日本は陳夢、孫穎莎、王曼昱の最強トリオからシングルスで3点取らなければ金メダルには届かないという極めて難しい展開になってしまった。

 2番のエース対決は、孫穎莎対平野美宇。両者は昨年のWTTコンテンダー ザグレブで対戦しており、その時は平野が勝利している。その実績を踏まえ、2番で孫穎莎に平野をぶつけることが、今回の日本の大胆なオーダー変更の大きな理由の1つだったと推察するが、その期待通り、序盤から平野が躍動。世界からハリケーンと畏怖される両ハンドで孫穎莎を圧倒し、7-1とスタートダッシュに成功する。しかし、防戦一方の孫穎莎だったが、徐々に平野のリズムと球威に慣れて間合いをつかみ、強烈なチキータを決めてジュースに追い付くと、バック対バックでも上回り、孫穎莎が逆転で第1ゲームを先制する。
 さすがの対応力で第1ゲームを逆転した孫穎莎が、第2ゲームに入ると「平野のボールは見切った」と言わんばかりのプレーで6-0と引き離す。このまま引き下がれない平野も果敢な両ハンドで追いすがるが、孫穎莎が強烈なサービスとバリエーション豊富なレシーブで逆転を許さず第2ゲームを連取する。
 あとがない第3ゲーム、強みのバック対バックで得点を重ねられない平野はワイドに振って局面打破を試みるが、孫穎莎にことごとく対応される苦しい展開が続き、ストレートで敗戦。中国が勝利に王手をかけた。

 王手をかけた中国が決勝点を任せるのは、世界卓球2021ヒューストン優勝の王曼昱。一方、あとがない日本は張本に一縷の望みを託す。
 元世界女王に加え、これまでの対戦成績は0勝2敗ということで、王曼昱は16歳の張本にとって荷が重い相手だが、試合が始まると、張本が得意のバックストレートで果敢に攻め、第1ゲームの競り合いを物にして先制する。
 第2ゲームも、張本が前でストレートを中心に攻め、それを王曼昱が長いリーチを生かした両ハンドでさばく構図でジュースまでもつれるが、3球目バックハンド強打を決め、ミドルの突き合いを制した王曼昱が奪い返す。
 続く第3ゲーム、張本が要所でロングサービスを使って得点を挙げるが、王曼昱が球威のあるバックハンドで押し込んで物にし、勝利に王手をかける。
 第4ゲーム、リードしたことで肩の力が抜けた王曼昱は、必死に食い下がる張本を球威の増した両ハンドで引き離し、10-6とチャンピオンシップポイントを握ると、最後は3球目バックハンドドライブでストレートに鮮やかなノータッチエースを奪い、両手を掲げて中国の5連覇を高らかに宣言した。

 今年の2月に行われた世界卓球2024釜山では球史に残る激闘の末、中国が日本をわずかに上回ったが、今回は3対0のストレートで日本を退け、中国があらためて力を示した形だ。
 ダブルスを物にしていれば。平野が第1ゲームを逆転されていなければ。張本が第2ゲームのジュースを物にしていれば。ストレートで敗れたとはいえ、各試合ともスリリングな接戦で勝敗を分けるターニングポイントはいくつもあったが、そこをことごとく物にするところこそが中国の強さだ。常勝を義務づけられた日々の厳しい鍛錬の末にたどり着いた、無失点での中国5連覇に最大級の賛辞を贈りたい。
 一方、東京大会に続き、銀メダルを獲得した日本。選手たちにとっては、銀メダルを獲得したというより、銀メダルに終わったという気持ちの方が強いかもしれないが、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。
 エースの早田が万全でなかったのは悔やまれるが、それでも早田はけがの影響を全く感じさせずに立ち居振る舞い、平野も持てる力を存分に発揮して奮戦した。そして、何より16歳の張本がこの舞台を経験したことは、今後、中国を筆頭とした強豪と渡り合う上で大きなアドバンテージになるはずだ。
 4年後、ロサンゼルスでの悲願達成に期待したい。

女子団体のトーナメント



詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会:https://jtta.or.jp/tour/24750
World Table Tennis:https://worldtabletennis.com/eventInfo?selectedTab=Results&eventId=2603

(まとめ=卓球レポート)



\この記事をシェアする/

Rankingランキング

■大会の人気記事

NEW ARTICLE新着記事

■大会の新着記事