2025年(令和6年度)全日本卓球選手権大会(一般・ジュニアの部)が1月21日から26日まで東京体育館で開催される。
これまで全日本卓球選手権大会(以下、全日本)は、シングルスとダブルスを一斉に開催していたが、今年と来年の2026年大会はシングルスとダブルスが分離開催され、シングルスは東京体育館(東京都)で1月21日から26日まで、ダブルスはスカイホール豊田(愛知県)で1月30日から2月2日にかけて開催される。
日本の頂点を決める戦いで、どんな攻防が繰り広げられているのか。卓球レポートでは、鋭い観察眼で知られる元全日本王者の渋谷浩に、選手たちの戦いぶりを聞いた。
ここでは、渋谷が女子シングルス決勝を分析する。
▼女子シングルス決勝
早田ひな(日本生命) 3,6,11,6 張本美和(木下グループ)
早田のフォアミドル攻めが光った
早田の徹底ぶりが光った試合でした。とにかく張本のフォアミドルを攻めていました。早田の短い、しかも回転量の多いサービスに対して、張本がフォアハンドでレシーブするとフリックもストップも難しく、長くツッツキでしか返せない。3ゲーム目の後半でようやく張本がバックハンドでストップしたりチキータしたりし始めましたが、4ゲーム目の中盤で早田がバックにロングサービスを出してから、張本がフォア側に来たサービスに対して再びバックハンドで対応できなくなってしまいました。
張本はフォアハンドでもストップを試みましたが、ミスが出たりレシーブが甘くなってしまいましたね。フォアハンドでレシーブしてしまうと、早田が攻めてからのラリーになってしまうので、いくらラリー戦が得意な張本でも、世界でもトップクラスの早田に攻められてからのラリー展開は厳しかったと思います。張本は攻められてからのカウンターという流れしかなく、最後までその流れを変えることができませんでした。
早田はレシーブでも、張本がいろいろなサービスを出してきていたのにうまく対応して、いろいろなレシーブができていたのが功を奏していたと思います。
ラリーではミドルを狙って体勢を崩させて両サイドに打つというのが早田の得点パターンになっていました。早田はけがをしているということですが、体のキレはすごいですね。回り込んで苦しく見える体勢からでもバックストレートに持って行くなど、身体能力の高さも光っていました。
張本はレシーブでもっと長短のメリハリを付けたかったですね。それだけ早田のサービスが回転量が多くていいサービスだったということだと思いますが、この試合では張本が途中で試みていたようにバックハンドでレシーブしたかったですね。課題としてはフォアハンドのレシーブの精度を上げる、多彩にするということはもちろんありますが、バックハンドでサイドスピンを入れる、猛烈に下回転をかけて持ち上げさせるなどのやり方はあったのではないかと思います。
張本は決勝では流れを変えることができませんでしたが、準決勝の伊藤美誠(スターツ)戦では伊藤の速攻を跳ね返して逆に得点して見事な対応力、攻撃力を見せていました。ああなってしまうと伊藤は粘るか、より厳しいボールを打つかという2つの選択肢しかなくなってしまいます。後半は無理に攻めてミスが出てしまっていました。
準決勝で早田に敗れた大藤沙月(ミキハウス)は前陣でパワフルなボールを打てる強さがありますが、そのよさを早田の見事なタッチのストップ、ダブルストップなどの台上プレーで消されてしまいました。そこで先手が取れないと自分の展開がつくりにくいので、戦いにくい試合だったと思います。
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詳しい試合の結果は日本卓球協会大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:https://www.japantabletennis.com/AJ/result2024/
(取材/まとめ=卓球レポート)