三 道場十五戒
「勇気を出せ、たとえ肉体にいかなる欠点があろうとも、わが魂はこれに打ち勝たねばならぬ。二十五才-そうだ、二十五になったのだ。今年こそ、男一匹、ほんものになるかならぬかを、きめなければならぬ」(ベートーベンの日記から)
盲目の大作曲家として全世界の人々に知られるベートーベンが、盲目になったあとも、後世に残る名曲をつくりつづけた裏には、幾多の苦難を乗り越える涙の日々があったことであろう。
京都大学の名総長であった人格者、平澤興先生の著者(「人間・その無限の可能性」新潟日報事業社発行)によれば、ベートーベンが目をわずらい、ついに盲目となり、絶望の渕をさまよったころの日記に、こう書かれた一節があるそうである。
平澤先生ご自身が二十才の時、あることに悩み、自殺を決意、新潟の郷里の草原をさまよわれた時があるそうだ。その時、不思議なことに尊敬するベートーベンが幻想の中に現われ、そのベートーベン自身の言葉(原語)が、強く自分をむち打った、のだそうである。
目が見えなくなった音楽家が、世の中を悲観し、絶望するのはごく当り前であろう。しかし、そのきびしい現実が、さらに偉大なベートーベンをつくり上げた、と云えるのかもしれない。
闘志、正義、友愛
[卓球レポートアーカイブ]
「卓球は血と魂だ」 第二章 三 道場十五戒10
2013.08.19
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