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わたしの練習88仲村渠功 外国選手や一流選手の技術を手本に

 私の練習は、4時半に仕事が終わるので、5時前から8時前後まで実戦練習を中心にやります。高校、大学時代は、基本練習が多くて、どちらかといえば、応用がきかなかったように反省しています。
 社会人になって4年目ですが、基本練習を応用しながら、システムを組んで、スマッシュに結びつけることや、ゲーム練習でいろんな技術を強化することが多くなっています。自分の目ざす大会の40日前あたりから、計画を作るわけですが、特に強化したいものを中心に、組んで練習します。

 外国選手や一流選手の技術を手本に

 ふだんの日は、自分が目ざす卓球について、さらに研究したり練習したりするわけですが、やることが多くてガッカリすることもあります。
 私の卓球についての考え方ですが、日本の伝統であるスマッシュとフットワークを使った中に、シェークハンドの利点である、バック側の技術で、"多彩な攻撃ができること"と前陣で攻撃と守備が自由に行えることです。回転と角度の問題では、角度の方を重要視していますから、むろん、角度打法が中心です。日本ではあまり多くないタイプなので、"これだ"という手本はないが一流選手や外国選手の技術を手本にして、吸収するようにしています。たとえば中国選手のサービスと3球目だとか前陣での守備について、またヨーロッパの選手では、ハーフボレーとドライブ処理等です。もちろん体力が違えば、卓球のスタイルも違うわけですから取り入れられるものと、そうでないものとがあります。
 まず良いと思った技術は、一度実際にやってみます。出来そうだと、自分流に方法を考えて、消化するようにします。一口に言って、私の目ざす卓球は"前陣での攻撃と守備"です。台に近い状態で、すばやい判断、台上の小さなボールの処理、強打あるいはドライブに耐える球さばきなど、また単調になりがちのテンポも変化できるように身につけなくては...と考えています。
 まだまだ多くの技術を習得したいだけに、やりがいがあります。
 やりたいこと、やることが多い中で、現在練習しているものでは、ループ及び強いドライブの処理、レシーブ(ただ返すだけでなく、止めたり、払ったり、変化のあるもの)ハーフボレー(バック系技術の攻守)などです。
 試合前や、計画を立てる時に必ず組み入れるものでは、①ボディワーク及びフットワーク(試合で両ハンドを使うために、切り替えも含めて、球の扱いをスムーズにするため) ②ハーフボレー(バック系技術)とフォアハンドスマッシュを結びつけたもの ③サービスだけの練習と、3球目攻撃 ④その他に戦型を仮想したものと、自分の攻撃のパターンを強化するためのシステム練習を3~4種 ⑤ツッツキ打ちなどの練習です。
 私の基本的なシステム練習は、次のようなことです。
①切り替えの練習(BH→BH(ミドル)→FH→FH(ミドル)→BH)
②スマッシュに結びつけた練習(B側でハーフボレー→B側又はF側からスマッシュ)
 最初はハーフボレー+フォアハンドスマッシュで感覚をつかむ。
 次に進むと、相手に回り込んでスマッシュをしてもらい、クロスとストレートにそれをカウンターでねらっていく、というふうにします。
③②の練習をさらに、フットワークを使い、回り込んでからのスマッシュとフォアへ飛びこんでのスマッシュを練習します。
○回り込んだときに十分足を使って回っているか?
 また、飛びついた時の、足の運びと、打球後の姿勢に注意をします。
○回り込んでのスマッシュを一番多く練習します。注意として体がそってないか?十分左足をつっこんで打っているか?などをポイントとしています。
 上に書いた基本的なシステム練習3~4種の基本技術を組み合わせて自分の攻め方や、ラリーを想定したものを考えると、練習にも張りが出てきます。ただ注意することは、ラリーができても、サービス・レシーブが悪ければ、この練習が生かされないということです。特にサービスは自分から攻撃していくための、第1球目ですから、いろんな技術を覚えていくと同時に、サービスの工夫も良くやります。持ちまえのサービスをさらに有効に使うためとか、卓球が変わりつつあればサービスも変わってくるからです。例えばフォアハンドを強化しているときは、フォア側に返させるように出すし、逆にバックであれば、バックに返球させるサービス、という具合に考えます。そこでサービスを練習する訳ですが、第1に自分の思った場所へ、正確に、3球目攻撃がやりやすいように出します。同じサービスであっても相手によって、ずいぶん効果があるものです。成功した例もあれば、失敗した例もありますが、練習した技術(サービス)を出すことによって、あとで必ず役に立つものです。こうしてサービスを、工夫して、練習して、実戦で使うようにしています。

 卓球日誌を書くことの意義とトレーニングをすることの意識を高くもつ

 スポーツにおいて「これで良い」という限界はないので、覚えること、強化することが多いはずです。そこで自分が習得した技術の、やりかた、練習方法、コツやタイミングなどを、記憶が新しいうちに、卓球日誌にメモることにしています。卓球日誌には、ほかに作戦をたてたり、現在の精神状態を書いたり、大会においては対戦相手の研究と作戦、自分の戦いかたなどですが、まず書くということに、意義があると思っています。訓練する上において、体で覚えたことを頭で整理し、理論的にまとめてメモを取る。また練習方法を考え強化するにはどういうトレーニングをすればよいかなどをかんがえるということで、技術、体力、知識(理論)、それに前向きの態度、精神面も強化されていくと思われるからです。トレーニングのほうでは、腹筋と腕立て伏せが中心です。鉄アレイを使って腕の筋力をつけることもよくやりましたが、肩を痛めてから現在はやっていません。高校時代に、いろんなトレーニングをやっていましたので、現在非常に役立っているわけですが、トレーニングの意識を高く持つことによって、技術のほうも伸びていくということです。どうしても、トレーニングと技術練習を、分けて考えがちですが、私はこのように解釈してトレーニングをすることにしています。たとえばスマッシュする時に、腹筋が弱ければ、威力のある球を打てないし、かりに打てても持続できない。だから腹筋を鍛えてさらに威力のあるボールを打ちたい。またあと5cm体が伸びれば返球できるという時の柔軟性にしてもそうです。バレーボールのスパイクや、バスケットのシュートでは、バランスとタイミングが悪ければいいボールが打てないと同じように、卓球のスマッシュもそうであるから、シャドウプレーでフォームを固めていく。ようするにボールを使わなくても強化できるということです。

 ヨーロッパ選手と対戦の機会を得て...

 先日ヨーロッパの選手と対戦する機会を得られて、自分の技術と比較して、反省させられたことを書いてみます。
 主にバック系技術で感じたことは、スマッシュや強い回転のドライブ処理は、角度を出すだけのショートであり、ナックルや、自分から攻撃している時はハーフボレーと、うまく使いわけているし安定もあった。まだまだ私の場合、この安定性に欠けるように思われた。守備の面で、勉強できたことは、逆に打たれたときのブロックで、まずラケットをボールに近づけ、ボールに当てるために体が動き、足がついていくというふうであった。
 ヨーロッパの選手に対しては、ストレートコースやミドルを攻めなければいけないことも試合をやってみてわかりました。私も最近、いろんな合宿に参加させてもらい自分の技術を伸ばしてゆくと同時に、シェークハンドの攻撃ということであとにつづく日本選手に貢献できればよいと思っています。そして仲村渠式前陣速攻のスタイルを作り上げていきたいと、張り切っています。シェークハンドの攻撃を、やっておられる方も、「自分が...」という気持ちでがんばってもらいたいと思います。

なかんだかれ いさお
国際リーグ日本代表


(1974年9月号掲載)
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