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わたしの練習124下長智子 "下長型卓球"をめざして

 ~小・中学時代~

 私が卓球を始めたのは、城山小学校4年の10月です。友達に誘われ何の抵抗もなく入部しました。初めは、ボールが怖くてよく逃げていたことを覚えています。
 西村先生から教えていただきました。先生は、大変熱心な方で、対外試合によく連れていってもらいました。練習は、週に5回・3時間程で、内容は、単純な練習が主でした。当時から私は、自分より実力が上の人と練習や試合をやるのが好きで、よく自分の方から頼んでやってもらいました。
 三和中時代は、島川コーチから指導していただき、運良く全国大会で優勝することができました。全国大会前の練習は、攻撃をすることが好きで、促進の練習をよくやりました。ドライブマンと対戦する時は、変化をつけて、相手のミスを誘うことを常に心がけました。促進の練習を多く取り入れていたおかげで、全国のタイトルを取ることができたのだと思います。

 ~カッと主戦から攻撃主戦に~

 熊本女子高校に入学し、部長の大田黒先生をはじめ、コーチの高木珠江さん(旧姓漆尾)にめぐりあえ、技術はもちろんのこと、卓球以外でのマナー等を指導していただき本当によかったと思います。
 1年の時はフォア面裏ソフト、バック面アンチでした。
 インターハイでは、運よくランクに入ることができました。私は、アンチを使った異質プレーヤーで、ラバーの変化を主体とした拾うカットマンでした。台から下がり、相手の打球を辛抱してカットし、チャンスボールがきたら打つというカッと主体の卓球でした。
 私は、高木さん(元協和発酵)にめぐりあえ、母体コーチとして指導していただいたことが、私の卓球の型を大きく変え、卓球に対する姿勢も大きく変化した要因になりました。
 1年の後半からインターハイ優勝までは両面裏ソフトに変え攻撃型をめざしました。
 カット主戦から攻撃主戦に変えたのは、
 ①身長(152cm)の関係
 私は、身長を考えた場合、異質のカット主戦だと前後にゆさぶられると弱いという判断からです。
 ②新ルールの情報
 もう一つは新ルールで両面異色となった場合、守備主戦では、回転が単純で、スピードのないアンチ面を狙われてしまうという判断からです。従って、変化の激しい裏ソフトのつなぎのカットにより、前・中陣での攻撃と反撃練習に重点を置くようにしました。

 ~主な練習内容~

 カット3、攻撃7の割合でとりくみました。
 Aゾーン(コート前陣1m以内)→SH、DR、強打、SM
 Bゾーン(コート前陣1m~2m以内)→打点の高いカット、ロング
 Cゾーン(コートから2m以上の位置)→ロビング
...に分け、主にA、Bゾーンでプレーして、Cゾーンには下がらないようにしました。そこでBとCの境にフェンスを置いてやりました。
 主な練習内容は、打法に応じた正確な打球点をとらえることに注意して、プレーの領域(A、B、C各ゾーン)に応じた各打法(自分にとって必要と思われる)を徹底的に多球練習(短時間での反復練習)で個別に行いました。
 Aゾーンでの練習は、主にフォアハンドで
●フットワーク(1分間に70~80球の速い動きで)㋑2点(フォアハンド、バックハンド) ㋺3点(切り替えを含む)
●連続強打(対SH)
●ドライブ処理
 Bゾーンでの練習は、主に高い打球点でのカットとカウンター気味のロング打法。この位置での多球練習は時間で区切るより、100~200球連続の練習を行い、何とかして安定性+変化に重点を置きました。
 Cゾーンでの練習は、多球ではなく練習試合の中で意識的に取り入れるようにしました(カットやロビング)。
 以上のように個別練習をやり、次は、それらをシステム化して練習を行いました。主にレシーブから入る練習を多くしました。最初はカットマンのフットワークとロングマンのフットワークとがうまくかみ合わされなくて、しっくりいかなかったのですが、練習をくり返すうちに、歩幅に注意することで少しずつそのことにも慣れてきました。システムを作り練習をやっていくうちに、一番むずかしかったのは、カットの打球点で、特にバック側に高い回転のあるドライブをもってこられると、以前より打球点が高くなっている分だけボールの押さえがきかず、カットの安定性がなくなって非常に苦しみました。色々とやって、卓球指導誌から攻撃的なカット・反撃に結びつけやすいカットということで、ボールの側面をインパクトして切るバックカットを覚えました。

 ~相手を想定したゲーム練習~

 カット型から攻撃型に変わって一番の違いは、フォアハンドのフォームです。ドライブも強打もできるように、フォームを大きくしました。フォームを考えていくうちに、グリップの悩みが出てきました。それまでカット主戦のため、あくまでもカットがやりやすいように握っていたので、ドライブの時肩に力が入り、マイナスになることがわかりました。だからグリップを少々浅めに握り、手首が使えるようにしました。攻撃はやりやすくなったのですが、カットの安定性が今ひとつでした。でも前記の通りカットはあくまでつなぎと考え、攻撃のやりやすいグリップにすることに決めました。
 インターハイ前に特別重点をおいて練習したのは、7月に入ってからゲームをかなり多めにやりました。特に自分が知っている範囲の強い相手を想定したゲーム(対ドライブ、対カット、対表ソフト等)を中心にやり、内容としてサービスを持ったときの3球目・5球目攻撃、レシーブの時は、ツッツキやカットから入り、オールカットでしのいだり、4球目ハーフボレーで逆コースへ相手を振っていく練習を集中的にやりました。攻守のバランスがくずれないように、サービスを持った時は先手必勝、レシーブの時は、守備等の技術に課題を置いて練習をしました。とにかくインターハイ前は、1本も気を抜かないゲーム練習に心がけました。その結果インターハイに優勝することができ、大田黒先生、高木さん、その他の人達から喜んでもらい大変うれしかったです。

 ~今後の目標と課題~

 現在、実験的にバック側をイボ高にして練習に取り組んでいます。このことは今年の4月の時点で、コーチ(高木さん)と話し合い、考えていたのですが、インターハイが終わったらその結果に関係なくやってみようと決めていました。イボ高によってバック側の変化プレー(ハーフボレーや中陣カット)の威力を増し、フォアハンドの強打に結びつくようにと考えています。課題は、
①サービス・レシーブの強打
 サービスが良くなれば3球目以後ラリーの主導権を握ることができると思いますし、レシーブについては現在強化中ですが、両ハンドで台上のボールをはらう技術を主に取り組んでいます。
②フットワーク練習
 前陣での素早いフットワークと中陣での大きいフットワーク、またそれらを組み合わせた前後のフットワーク等、とにかく「速く正確に動く」ということに重点をおいています。
③筋力トレーニング
 これは威力のあるボールを打つためで、主に「振りに速さ」を強化するトレーニングです。
 ㋑素振り(重いものを持って振る、自分のラケットで振る、何も持たずに振る。これを10秒間で何回振れるか)
 ㋺腹筋・背筋
 ㋩アイソメトリック
 ㋥サーキットトレーニング
...を主にやっています。
 以上がカット型から現在の型になるまでの練習方法です。最初は不安な気持ちもありましたが、大きな目標をもち一生懸命頑張れば、できるということが、インターハイの優勝によってわかりました。
 私の目指す戦型は、まだ完成されていませんが、一日でも早く一流選手の仲間入りをしたいと思います。そして、最後に私を育ててくれた両親をはじめ、高木さん、諸先生に感謝の気持ちを忘れず、日の丸をつけ、日本代表を目指して頑張ります。

しもながともこ
熊本女子高校3年 右、シェーク両ハンド攻撃型。
カット主戦型で中学日本一になったあと、高校1年の後半から両ハンド攻撃型に転向。
今夏の秋田インターハイでは、圧倒的な強さをみせて見事高校No.1の座についた


(1984年12月号掲載)
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