男子シングルス優勝、水谷隼が日本人初の年間王者
水谷が日本初のファイナル王者に!
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ゲームカウント3−1、スコア10-7。水谷のサービスをシュテーガーがレシーブミスした瞬間、日本人初のプロツアーグランドファイナル優勝が決まった。力強く拳を握りガッツポーズを見せた。
今大会の水谷は優勝を狙っていた。「正直、中国選手、ボルや朱世赫が出場しない今大会で、優勝は僕しかいないと強気で思っていた。そのくらいの気持ちを持って狙っていかなければ優勝することはできない。なので僕が一番強いから優勝するんだ、と常に言い聞かせて試合に臨みました。」
その言葉通り、確実に実行することのできる水谷の力はすごいとしか表現できない。
大会を通して相手の思い切りの良いプレーにすべて対応し、勝負所では集中力を研ぎ澄ませて攻守に強気のプレーを見せて得点を挙げた。
「サムソノフ戦は、トータルポイントでは僕は負けている。でも10-9とか競った場面は僕がポイントを挙げている。そういう競った場面で積極的にいけた。それがポイントにつながったと思います。試合を通していいイメージがあり、その中でもバックハンドの調子が良かったと思います。」と水谷。
抜群の勝負強さと確かな技術力で文句なしの優勝を決め、日本人として初の偉業を達成した。
2位のシュテーガー(ドイツ)も大健闘した。初戦でオフチャロフとの同士討ちを制し、ガオ・ニン(シンガポール)、柳承敏(韓国)といった強豪を連破して決勝進出。ラリー戦でのバックドライブの強さが光っていた。
水谷隼が強い気持ちで押し込んだ |
シュテーガーはバックドライブで健闘
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見事にプロツアー最強の称号を手にした!
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3位は柳承敏(韓国)とサムソノフ(ベラルーシ)。
柳承敏は初戦から苦しい試合を乗り越えて3位に入賞。まだまだ本調子とは言えないが、接戦をものにして勝利を収めたことで、今後の爆発に期待したい。
サムソノフは水谷に対して台上、ラリー戦で主導権を奪われ苦しい展開を打破できなかった。
柳承敏は苦しみながらも準決勝進出 |
サムソノフは水谷に押された・・・
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女子シングルスは馮天薇(シンガポール)がV
女子は馮天薇が栄冠
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優勝の馮天薇(シンガポール)は、ボールのキレがあり、コースも厳しく、圧倒的な両ハンドの攻撃力で栄冠を掴んだ。世界卓球2010モスクワでの歓喜の優勝の立役者となったあと少し調子を落としていたように思えたが、今大会はどの選手に対しても自分のプレーを貫く芯の強さを感じさせるプレーを展開した。これからも中国の最大のライバルになる存在であろう。
2位には開催国・韓国の石賀浄が大躍進して決勝進出を果たした。平野、リ・チャン(ポーランド)、リ・ジャオ(オランダ)と多様な戦型に対して、長いリーチを生かした両ハンド強打で攻め切って、観客の声援にも後押しされてベストパフォーマンスを見せた。
馮天薇が攻守で圧倒的な強さを見せた |
石賀浄が地元で大活躍
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3位は福原愛(ANA)とリ・ジャオ(オランダ)。
福原は準々決勝で好調のシェン・ヤンフェイ(スペイン)に序盤から速攻連打で3ゲームを奪う好スタート。一気に決めたい福原は第4ゲーム6-10から高い集中力を見せて6連続ポイントで逆転勝利。相手のボールに対する反応の良さが良く、スピーディーな速攻プレーを見せた。
リ・ジャオはベテランらしい落着いたプレーで黄怡樺(中華台北)と石川佳純を下して3位入賞した。
その他の日本選手は平野早矢香と石川佳純が出場。1回戦で平野は石賀浄に、石川はリ・ジャオに、ともに1−4で破れて初戦突破はならなかった。
福原がスピーディーな攻守でベスト4 |
リ・ジャオがベテランらしい技で3位
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好調のシェン・ヤンフェイを速攻で圧倒
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平野は石賀浄に及ばず・・・ |
石川はリ・ジャオのテクニックに敗れた
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ダブルスは唐鵬・江天一(香港)と金?娥・朴美英(韓国)が優勝
韓国のカットコンビが地元に錦
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男子ダブルスは唐鵬/江天一が決勝でガオ・ニン/ヤン・ズィを下し優勝。唐鵬の表ソフトのバックハンド強打でチャンスをつくり江天一が決めるパターンが良かった。
日本からは松平健太/丹羽孝希が出場。1回戦で徐賢徳/李尚洙に1−4で敗れた。
女子ダブルスは地元韓国の金?娥/朴美英が粘りのカットプレーで姜華君/帖雅娜を強打をしのぎきり優勝し会場も大興奮に包まれた。
日本からは福原愛/石川佳純が出場。1回戦で姜華君/帖雅娜に惜しくも逆転負けで初戦突破はならなかった。
香港ペアが男子ダブルスを制した
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日本のヤングコンビは1回戦で敗退
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石川と福原は香港ペアに逆転負け・・・
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21歳以下シングルス、石垣優香が優勝
日本勢がワン・ツー・フィニッシュ!
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21歳以下女子シングルスは、石垣優香と若宮三紗子との日本人同士の決勝となった。両者は予選リーグで対戦して、若宮がストレートで勝利している。
しかし、決勝は石垣が接戦をものにして勝利を勝ち取った。「積極的に向かっていく気持ちでカットや攻撃を組み立ててプレーしました」と語るようにゲームオール9本の大接戦の決め手は、気持ちの強さだったのかもしれない。2人は普段は親友と呼べる仲であり、いい意味でライバルとして共に切磋琢磨して、これからもお互いを高めていくことだろう。
石垣が最後まで粘り切った |
若宮、予選では勝っていたが・・・
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21歳男子シングルスは、直前の世界ジュニアで男子シングルス2位となった林高遠(中国)が制覇。林高遠は連戦の疲れも見せず、ガッツ溢れるプレーでグランドファイナルを制した。
日本から松平賢二と丹羽孝希が出場。松平賢二はドイツでの修行の成果をみせ予選リーグを突破。準決勝では徐賢徳(韓国)に惜しくも敗れたが、ラリー戦での強さをに加えてバックハンドの攻撃力も増すなど、成長の跡を見せた。丹羽は世界ジュニアからの連戦となり、万全の状態ではなくプレーに精彩を欠いて、無念の予選リーグ敗退となった。
世界ジュニア2位の林高遠がV
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松平賢二が成長したプレーで3位 |
丹羽は疲れが見えて・・・
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今大会の模様は・・・ ~卓球レポート2月号に掲載~
本大会の記録は、国際卓球連盟と日本卓球協会ホームページに掲載されています。
国際卓球連盟 公式HP:http://www.ittf.com
日本卓球協会 公式HP:http://www.jtta.or.jp
なお、今大会の模様は 2月号(1/20発売予定)に掲載予定。
現地取材班:小畑賢二(卓球レポート編集部)