男子シングルス 張一博(東京アート)が初優勝
張一博が社会人タイトルゲット |
男子シングルス決勝は、前回3位の張一博と4年ぶりの優勝を目指す韓陽の東京アート対決となった。両者は昨年の準々決勝で対戦しており、その時は張が韓を4−2で下している
試合は序盤から張がペースを握る。張は打ち合いに持って行こうとする韓のドライブを上から押さえつけるようなブロックではね返すと、バックサイドからの連打で第1ゲームを先行する。続く第2ゲームは韓が攻め返して5−5とするが、ここから張が両ハンドドライブで速さを見せ付けて2−0と引き離した。
このままではまたも後輩に苦汁をなめてしまう韓。第3ゲームはしっかり先手を取ってからの連続攻撃で0−5として、ようやく1ゲームをもぎ取った。すると、第4ゲームは中盤から韓が猛攻を仕掛けてジュースにもつれる。流れを決めそうなこの場面、11−11から韓が3球目をあっさりミス。すると動揺したのかレシーブミスを犯し、張が3−1と王手をかけた。
第5ゲームは両者譲らず一進一退で7−7、8−8、9−9。ここですさまじい両ハンドの打ち合いから、張がバックハンドのファインブロックをクロスに決めて、粘る韓を振り切った。 張が最近の好調さをアピールする会心の勝利で初の日本一に輝いた。
決勝は惜しくも敗れた韓だが、驚異的な攻撃力で復調を印象付けた。
張が鉄壁のブロックで圧倒 |
韓はまたも後輩に・・・ |
3位は森田(シチズン)と小野(協和発酵キリン)が入賞。
森田は5回戦で前回優勝の下山(協和発酵キリン)に打ち勝つ金星。ラリー戦での強さが際立った。前回ベスト8の小野は高木和健一と大矢という東京アート勢を連破して3位に入賞した。
森田が前回王者の下山を下す |
小野は前回からワンランクアップ |
女子シングルス 藤沼亜衣(日立化成)が6年ぶりのV
藤沼亜衣が6年ぶり2度目の優勝 |
女子シングルス決勝は藤沼亜衣(日立化成)と山梨有理(十六銀行)が対戦。藤沼は石塚(十六銀行)、福岡(中国電力)、藤井(日本生命)という四天王寺対決で連勝して勝ち上がった。一方の山梨は、渡辺(日立化成)、若宮(日本生命)という速攻タイプの選手との打ち合いを制して決勝進出。
試合は両者ともバックハンドが表ソフトの異質攻撃型とあって、早いラリー展開となる。立ち上がりは、藤沼が的確な両ハンドで山梨を左右に揺さぶって第1ゲームを先行。しかし第2ゲームは山梨が得意のバックハンド強打で弾いて1−1に戻した。
続く第3ゲームは再び藤沼が巧みな攻守で奪い返して2−1とリード。第4ゲームは山梨がショートレンジのスイングから鋭い強打を決めて1−7とリード。しかし、ここから藤沼が堅実なブロックで左右に散らして9−9に追い付くと、3球目攻撃を左右に打ち分けて、勝利に王手をかけた。
すると、第5ゲームは流れをつかんだ藤沼がサービスから攻め立てて一気に勝負を決めた。
6年ぶりの栄冠を手にした藤沼は「優勝は狙っていたが、最近調子が良くなかったので不安がある中で一戦一戦戦って優勝できたので嬉しいです。山梨さんはアジア競技大会の選考会で勝っていたいので、その時のことを頭に入れて戦いました。第4ゲームは我慢しながら勇気を持ってコースを変えていきました。調子が良くても悪くても、思い切ってやることが大切だと感じたので、自信を持って取り組んでいきたいと思います。」と気を引き締めながら喜びを語った。
2位の山梨は、社会人1年目での制覇を狙ったが惜しくも一歩及ばなかった。しかし、カットの越崎(中国電力)と脇ノ谷(サンリツ)を下すなど、速さだけでなく力強さも光った。
藤沼が巧みな攻守で快勝 |
ルーキー山梨は攻めきれず・・・ |
3位は藤井(日本生命)と若宮(日本生命)が入賞。
藤井は前回に続いて準決勝に進出したが、昨年準々決勝で下した藤沼に借りを返された。若宮は前回2位の伊藤(十六銀行)、元全日本2位の小西杏という強豪を連破する健闘を見せた。
藤井は2年連続3位に |
若宮は強豪を連破 |
男子ダブルス 韓陽・張一博(東京アート)が2連覇
韓・張がダブルス2連覇 |
男子ダブルスはベスト8を東京勢が独占。決勝は韓陽・張一博(東京アート)と坂本竜介・小野竜也(協和発酵キリン)が対戦した。
前回優勝の韓・張に対して、坂本・小野は互角の打ち合いを展開。しかし、攻撃の精度で上回る韓・張が坂本・小野のコンビネーションを上回って3−0で快勝し、見事に2連覇を達成した。
なお、3位は高木和卓・大矢英俊(東京アート)と久保田隆三・森田侑樹(シチズン)が入賞した。
坂本・小野は2度のジュースを生かせず |
女子ダブルス 阿部恵・小野思保(サンリツ)が初優勝
阿部・小野が連続強打で初優勝 |
女子ダブルスはサンリツがベスト4に3組入る健闘を見せ、決勝は侯琳・杉本枝恵と阿部恵・小野思保の同士打ちとなった。
試合は第1ゲームの競り合いを制した阿部・小野が、左右の連続攻撃で侯琳・杉本のブロックを押し切って嬉しい初優勝を飾った。
なお、3位は佐藤彩恵・岡本真由子(サンリツ)と劉テイ・楊飛飛(日立化成)が入賞した。
侯琳・杉本は止めきれず |
今大会の模様は・・・ ~卓球レポート12月号に掲載~
今大会の記録は日本卓球協会のホームページに掲載されています。
日本卓球協会 公式HP:http://www.jtta.or.jp
なお、今大会の模様は 12月号(11/20発売予定)に掲載予定。
現地取材班:兼吉秀洋(卓球レポート編集部)