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渋谷浩が見た東京大会<9>水谷が見せた選手としての覚悟

■男子団体グループリーグ 日本対ハンガリー
shibu2014.jpg トップの水谷選手は格の違いを見せつけました。昨日の試合の途中で痛めた右足は、問題なく見えましたが少なからず影響は残っているのかもしれません。ただし、いったんコートに立ったら選手は痛みを忘れるくらいの覚悟でいると思います。

 ゲームの内容としては、カット主戦型の相手に対して決して無理をせず、決めるべきところで決めきるバランスのよいプレーで貴重な1勝を挙げました。

 2番の岸川は、思い切りのよさが影を潜め、ラケットをしっかりと触れていないことが気になりました。相手も上からバックハンドドライブを打球してきたため、守勢に回ってしまいましたが、攻めの姿勢を崩すことなくプレーすることが大切だったと思います。なかなか勝利することができず、自分自身を追いつめすぎているので、原点に戻り、1球1球のボールに対して粘り強く、食らいついてでも得点する気持ちでプレーすることが次戦以降の戦いにおいて不可欠だと思います。

 

 3番の塩野は、相手の打球コースに予測が立てやすく、カットをするときの回転量を1球1球変化させることで、相手のミスを誘いました。非常に攻略しやすい相手だったといえます。

 また、攻撃を要所で取り入れる現代のカット主戦型らしく、サーブからの3球目攻撃など、カットだけにとどまらない非常に幅の広いプレーでよい展開をつくり出しました。

 初出場とはなりましたが、固さもほとんどなく非常に安定感もあるので、今後は相手の流れを断ち切るようなプレーに期待したいです。カット主戦型の選手が控えていることで相手チームはオーダーの組み方にも頭を悩ませることになるので、戦略的な部分を考えても大きな存在です。

 4番の岸川は、かなり力みがありました。特に力みが見られたのは早いドライブを打球する場面です。本来なら岸川のドライブはバウンド直後に鋭く伸びるのが特徴なのですが、力んでいるため回転量ばかりが増え、中陣でカットをするパタンティウスに対しては非常にタイミングが合わせやすいボールになってしまいました。

 初日から勝ち星に恵まれていないことが力みにもつながっていると思いますが、まずは自分のボールに自信を持ち、今まで培ってきたものを全部出すことで、今後の試合での活躍につなげてほしいと思います。

 

 5番の水谷は、相手にチャンスを与えない猛攻を見せました。前陣で攻撃を仕掛ける形、中陣でラリーを展開する形、どのプレー領域でも得点を決めることができ、非常によい状態にあると思います。昨日の足を痛めたアクシデントが今後に影響をするかどうかだけが心配です。

 自分がエースとしてチームを引っ張るという強い気持ちがプレーの中にも垣間見え、技術面だけではなく、精神面でも非常よい状態だと思います。

 準々決勝以降の組み合わせが決まりましたが、1戦1戦勝ち上がるという気持ちで臨み、目の前の試合の勝利に集中してほしいと思います。


渋谷浩
平成11年度全日本チャンピオン
1997年世界選手権大会男子ダブルス銅メダリスト


今大会の模様は卓球レポート6月号(5月20日発売)・7月号(6月20日)に掲載

公益財団法人日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
JA全農2014年世界卓球団体選手権東京大会/公式サイト:http://www.2014wtttc.com
国際卓球連盟(ITTF)世界卓球2014東京:
http://www.ittf.com/competitions/competitions2.asp?Competition_ID=2278&category=WTTC

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