平成26年7月3~6日、第84回全日本大学総合選手権・団体の部(通称:インカレ)が墨田区総合体育館(東京)で開催された。
今大会は東京開催と言うことで関東の大学卓球関係者らが多く詰め掛けた。元全日本チャンピオンの吉村真晴や丹羽孝希らが出場し、激しいラリー戦が繰り広げられた。
【男子団体】 明治大学が2年ぶり15回目の優勝
男子は2連覇を狙う愛知工業大学と王座奪還を狙う明治大学が決勝に勝ち上がった。
愛知工業大学は吉村と吉田の2枚看板に加え、昨年の全日学2位の藤村、ルーキー上江洲という布陣。予選から順調に勝ち上がったが、準々決勝で埼玉工業大学に苦しめられ、吉村・藤村のダブルス、4番藤村が失点を喫して5番まで持ち込まれた。ここで1年生の上江洲がまったく臆することなく持ち味のクセ球を生かしたプレーで快勝し、埼玉工業大学を振り切った。続く準決勝は法政大学に3対0で完勝して、2年連続で決勝進出を果たした。
昨年、丹羽、町というスーパールーキーを加えながら、地元開催で勢いに乗った愛知工業大学の前に苦杯をなめた明治大学。今年は全日本ダブルス王者の森薗を加え、更なる戦力強化を果たしてリベンジに挑んだ。
明治大学は3日目の準々決勝まで無失点で順当に勝ち上がったが、最終日に入ると様相が一転。準決勝、春の関東学生リーグで苦しめられた早稲田大学との対戦で大島に単複で2点取られて先に王手をかけられた。しかし、ここで主将の平野がガッツを全面に押し出して早稲田のルーキー・上村に競り勝つと、ラストは町が豪快なパワープレーで早稲田の山本を打ち抜いて、辛くも決勝に駒を進めた。
注目の決勝で先手を取ったのは愛知工業大学。トップに登場した吉田は、立ち上がりから攻守自在のバックハンドと堅実に動いて左右に打ち分けるフォアハンドドライブで平野を圧倒。見事な完封劇で先取点を挙げた。
続く2番は昨年に続いて吉村vs丹羽という元全日本王者同士の対決が実現。昨年は吉村が強気の攻めで丹羽に競り勝ったが、今回は丹羽が意地を見せた。序盤は両者持ち味を出して1対1となるが、徐々に丹羽のテクニックが吉村のミスを誘い始める。丹羽は得意の変化サービスやチキータで試合を有利に進め、要所でしっかり足を使って得点を奪い、3対1で吉村に勝利。見事に昨年の借りを返して星を五分に戻した。
後半の布陣を考えると、この勝利で俄然有利となった明治大学。ダブルスは平野・森薗が粘り強くラリーを展開して、吉村・藤村の左右の強打をかわしてストレート勝ちし、2年ぶりの栄冠に王手をかけた。
ここで決めたい明治大学は全日本2位の町が登場。なんとかラストにつなぎたい愛知工業大学は上江洲のガッツに期待を込める。第1ゲームは町が豪快に決めて先制するが、第2ゲームは上江洲がうまくしのいで取り返す。ここで嫌な雰囲気を振り払いたい町が素早いバックハンドを効果的に使ってリードを奪うと、このまま貫録の豪打で押し切った。
この結局、明治大学が愛知工業大学を3対1で下して2年ぶりの王座に返り咲き、通算優勝回数で歴代2位となる15回目の優勝を手にした。
1位 明治大学
2位 愛知工業大学
3位 早稲田大学
4位 法政大学
5位 専修大学
6位 埼玉工業大学
7位 中央大学
8位 関西学院大学
【女子団体】 淑徳大学が2年連続11回目の優勝
女子は前回優勝の淑徳大学と一昨年優勝の東京富士大学が決勝に勝ち上がった。
2年連続優勝を狙う淑徳大学は関東学生リーグで競り負けた早稲田大学と決勝トーナメント2回戦で対戦。トップで丹羽が小道野にゲームオールで競り勝つと、2番で楊がカットの佐藤に大逆転勝利を収めて流れをつかんだ。ダブルスは早稲田大学に奪われたものの、4番で佐藤が完封勝ちを収めて鬼門を切り抜けた。これでリズムをつかんだ淑徳大学は、準々決勝で近畿大学、準決勝で中央大学を下して2年続けて決勝進出を決めた。
一方、2連覇を目指した昨年はまさかのベスト8止まりとなった東京富士大学は、決勝トーナメントの1回戦と2回戦で星を落とす苦しいスタート。準決勝では前年2位で春の関東学生リーグ優勝の専修大学に1対2と追い込まれたが、4番で1年生の前瀧がゲームオールの大接戦をものにして5番につなぐ。するとラストで小鉢が見事なカット攻略で専修大学・庄司をストレートで下し、逆転勝ちで2年ぶりに決勝に駒を進めた。
決勝は、ここまで単複でチームを引っ張ってきた淑徳大学・丹羽、東京富士大学・平野というエースが先陣を切る。この試合は第1ゲームの勝敗が流れを決めた。強打が持ち味の平野がフルスイングで攻めるものの、丹羽が両ハンドでうまく対応して11-9で競り勝つ。すると第2ゲーム以降は丹羽が終始ゲームをコントロールして見事な完封勝利。貴重な先取点は淑徳大学が手にした。
しかし、2番はカット打ちに難がある楊が池上の堅守を打ち崩せず、池上が会心のストレート勝ちで東京富士大学が星を戻した。
3番ダブルス、関東学生リーグとコンビを変えてきた淑徳大学の丹羽・佐藤が平野・岡を3ゲームとも11-9という僅差ながら完封して、淑徳大学が連覇にあと1つと迫った。
追い込まれた東京富士大学だが、準決勝に続いて窮地に登場した前瀧が目の覚めるような前陣速攻で高橋を圧倒し、優勝は5番で決することとなった。
いよいよ勝負のラスト。出足は淑徳大学の佐藤がスタートダッシュで2ゲームを連取して、淑徳大学が連覇に王手をかける。しかし、第3ゲームは東京富士大学の小鉢がジュースで競り勝つと、息を吹き返して第4ゲームも取り返し、勝負は最終ゲームにもつれ込んだ。2対0から追い付かれた佐藤だが、再び攻めの気持ちを取り戻して小鉢を防戦に追いやると、最後まで緩めず11対5で勝負を決めた。
両チームとも死力を尽くした大熱戦は淑徳大学が東京富士大学を3対2で振り切って、2年連続11回目の優勝を飾った。
1位 淑徳大学
2位 東京富士大学
3位 専修大学
4位 中央大学
5位 同志社大学
6位 愛知工業大学
7位 近畿大学
8位 神戸松蔭女子学院大学
なお、大会の記録は日本学生卓球連盟のホームページに掲載されています。
日本学生卓球連盟:http://jsttf.takkyu.ne.jp
今大会の模様は卓球レポート9月号(8/20発売)に掲載されます。