平成28年度全日本選手権大会(ホープス・カブ・バンビの部)が7月29~31日までグリーンアリーナ神戸(兵庫)で開催された。
【ホープス】男子は鈴木が2階級制覇、女子は木原が3連覇達成
小学5・6年生のカテゴリーとなるホープスは、男女ともに有力選手が表彰台の頂点に立った。
男子は2年前にカブの部で優勝経験のある鈴木颯(鈴木卓球・山形)が栄冠を手にした。昨年のホープスでは準々決勝で敗れた鈴木だが、今大会では準々決勝をストレートで勝ち上がり、4強に名乗りを挙げると、準決勝では飯村悠太(ヒロタクスポーツ・広島)を緩急をつけたドライブで揺さぶり3対2で破った。決勝では先に攻撃を仕掛ける展開で吉山僚一 (TC中原・埼玉)を完封し、念願のホープスの頂点を射止めた。
2位の吉山僚一は苦しい場面もあったが、距離を取ったドライブで相手のブロックを打ち破るなど、接戦を勝ち上がり、決勝へと進出した。決勝は鈴木の攻勢の前に後手に回り敗戦を喫したが、大会を通じて第1シードとしての力を発揮した。
ベスト4には高橋航太郎(二本松卓研・福島)と飯村が入賞。高橋は準々決勝で竹谷義信(初喜TTC・福岡)に1対2の劣勢から勝利。飯村は準決勝で鈴木にゲームオールの末に敗れたが、ラリー戦で強さを見せて昨年のベスト8からワンランクアップ。
女子は木原美悠(ALL STAR・兵庫)が3年連続5度目の優勝を果たした。決勝では昨年3位で今大会、木原の対抗として挙げられていた大藤沙月(フェニックス卓球クラブ・福井)と対戦。精度の高いボールを両サイドに打ち分けてゲームの主導権を握り続け、3対0で勝利。平成22年度、23年度の加藤美優(現・礼武道場)以来のホープス連覇を達成した。
2位の大藤は昨年のベスト4からワンランクアップ。フルスイングで放つ打球は威力があり、相手のブロックを打ち破るシーンが目立った。決勝は木原の速攻の前に、持ち味のパワフルなドライブを十分に発揮できずタイトル獲得とはならなかった。
ベスト4にはともに5年生の由本楓羽(ねや卓球クラブ・岡山)と上澤茉央(卓桜会栃木卓球センター・栃木)が入賞した。由本は準々決勝で横井咲桜(O.T.T.C・岐阜)との見応えのある打撃戦を制して上位進出。上澤はブロックが良く、ピッチの速いラリー展開で4強入りを果たした。
【カブ】男子は3年生の松島が3連覇達成、女子は篠原が混戦を制す
小学3・4年生のカテゴリーとなるカブの部の男子は、バンビの部で連覇を果たした松島輝空(田阪卓研・京都)がカテゴリーが変わっても強さを発揮して見事3連覇を達成した。
松島は大会を通じて失ったゲームが0と、他選手を圧倒。サービスからの展開での得点率が高く、中陣に下げられても鋭いバックハンドドライブで巻き返して得点を奪うなど、隙のないプレーが光った。決勝は昨年、バンビの部で優勝を争った吉山和希(TC中原・埼玉)との再戦になったがリードする展開が続き、勝利を収めた。
2位の吉山和希は決勝で松島に敗れたものの、3年生ながら決勝進出と健闘した。バックハンドでラリーの主導権を握るなど、技術の高さを見せ、ホープスで2位になった兄・僚一とともに、兄弟で決勝進出を果たした。
ベスト4には三宅寿隆(畳和卓球・大分)と小野泰和(グリーンネット・京都)が入った。三宅はベスト8入りをかけた植木大陽(かほくジュニア・石川)との接戦を制して勢いに乗り、4強進出を決めた。小野は第2ステージの2、3回戦をいずれも1対2の劣勢から逆転するなど、粘り強いプレーが光った。
女子は8シードのうち、準々決勝に勝ち進んだのが2名と各選手の実力が拮抗していた。その混戦の中、篠原夢空(松山卓球教室・愛媛)がバックハンドを軸にしたプレーでトーナメントを勝ち抜き、初の全国タイトルを獲得した。決勝は堀江うた(SC21峰相・兵庫)に2対0とリードしたところから1ゲームを奪われたが、第4ゲームの接戦を締めて、栄冠を手にした。
2位の堀江はミスの少ない両ハンドを武器に、第1シードの大塚未来(大塚クラブ・埼玉)に勝利するなど、決勝まで勝ち上がったが優勝にはあと一歩届かなかった。
ベスト4には栗山優菜(髙森卓球クラブ・福岡)と姚梓旋(卓伸クラブ・愛知が入賞。栗山は第2ステージの2回戦から準々決勝までいずれもゲームオールの激闘を制した。昨年バンビの部で2位に入った姚はカテゴリーが変わっても力を発揮し、準決勝まで勝ち進んだ。
【バンビ】男子は岩井田が好試合を制して初優勝、女子は小塩が張本を破り、頂点に
小学2年生以下のカテゴリーとなるバンビの部の男子は岩井田駿斗(誠卓球CL.・鹿児島)が力強いフォアハンドドライブで大会を制した。決勝は1対2とリードをされたが、第4ゲームを奪って最終ゲームに持ち込むと、最後は得意とするフォアハンドの強打でゲームオールジュースの激闘を制した。
2位の渡部民人(偉関TTL・東京)は台から離れたところからでもラリーに持ち込んで得点するなど、技術の高さが光り、決勝進出を果たした。決勝でも最後まで好ラリーを繰り広げたが、岩井田のフォアハンドの前に一歩及ばず、優勝とはならなかった。
ベスト4には、太田理貴(seiwa・愛知)と持田陽向(卓研ジュニアクラブ・岐阜)が入賞。太田は威力、精度の高いフォアハンドドライブがプレーの軸となってベスト4入り。持田はラリー戦で粘り強く打ち返すプレーで、接戦を切り抜けた。
女子は小塩悠菜(卓研ジュニアクラブ・岐阜)が優勝候補筆頭の張本美和(仙台ジュニアクラブ・宮城)を決勝で破り、バンビの部のタイトルを獲得。昨年のベスト32から大きくランクアップした。小塩は独特のグリップから繰り出すフォアハンドの強打と、裏面打法で決勝へと勝ち上がると、決勝では第1ゲームを奪われたものの、第2ゲームからはフォアハンド強打が次々に決まり、3ゲームを連取。圧倒的な強さを誇る張本を押し切った。
昨年1年生でバンビの部の優勝を果たし、連覇に注目が集まった張本美和(仙台ジュニアクラブ・宮城)は決勝で敗戦。決勝は第1ゲームを先取したが第2ゲームを奪われると、それまでミスの少なかった両ハンドにミスが目立ち始めるなどリズムが崩れた。勢いに乗る小塩のフォアハンドにも押され、流れを戻すことができず。昨年に続く連覇達成とはならなかった。
ベスト4には、髙森愛央(T.Cマルカワ・岡山)と植田杏(T、T、C平屋)が入賞。髙森は準々決勝のゲームオールにもつれる展開を制して4強入り。植田は基本に忠実なバックハンド攻撃で上位進出を果たした。
なお、大会の記録は日本卓球協会のホームページに掲載されています。
日本卓球協会:http://www.jtta.or.jp
今大会の模様は卓球レポート10月号(9/20発売)に掲載されます。