3月11~12日に福岡大学第2記念会堂(福岡)で第37回ジャパンオープンパラ選手権大会が開催された。同大会は立位の部、車いすの部の中でG1、G2と階級を2つに分けて試合が行われ、出場者たちが頂点を争った。
【個人戦・車いすの部】
車いす男子の部G1は吉田信一(東京)が2年ぶり3度目の優勝を果たした。吉田は昨年決勝で敗れた岡紀彦(岡山)にゲームオールの末に勝利。最終ゲームは終盤でリードされる展開となったが、粘り強いプレーでジュースに持ち込んだ。その後マッチポイントを握ると、「それまでとは異なるサービスを出そうと思っていた」と、大事な局面でサービスを変更したことが功を奏して勝利を収めた。昨年の覇者、岡は決勝まで着実に勝ち進んだが、優勝にはわずかに届かず、連覇達成とはならなかった。
車いす女子の部G1は別所キミヱ(大阪)が6連覇を達成。「今大会は全試合ストレート勝ちを目標にしていた」という別所は、競った場面でもミスをしない手堅いプレーを貫き、1ゲームも落とさずに女王の座をつかんだ。「決勝リーグではジュースの場面がありましたが、気持ちを入れ直してプレーできました」と語り、最後まで高い集中力を保って完全優勝を果たした。
車いす男子の部G2では、北川雄一朗(兵庫)が初優勝を飾った。北川は積極的な両ハンド攻撃で予選リーグを通過すると、3選手で争われた決勝リーグでもその勢いは止まらず、甘いボールを見逃さずに強打する攻撃的なプレーが際立って初のチャンピオンに輝いた。
車いす女子の部G2は大下民子(神奈川)が優勝。大下はロングサービスからの3球目強打など、サービスからの展開でラリーを優位に進めるプレーが光り、5選手によるリーグ戦を制して初優勝を果たした。
【個人戦・立位の部】
立位男子の部G1は岩渕幸洋(東京)が2連覇を達成した。「今大会ではバック側のボールに対して裏ラバーでドライブをかけたり、新しいプレーを取り入れることができました」と話したように、大会を通してバックハンドドライブから好機をつくり出すプレーがはまった。決勝は垣田斉明(熊本)に1ゲームを奪われたものの、第4ゲームをきっちりと締めて栄冠を手にした。
立位女子の部G1は竹内望(千葉)が連覇を飾った。決勝の青木佑季(北海道)との一戦は1対2とリードを許したが、第4ゲームを奪ってフルゲームに持ち込むと、最終ゲームはサービスからの展開で得点を重ねるなど、リードを広げて優勝を決めた。「連覇を達成したい」と大会前に口にしていた竹内。女王としての重圧がかかる中で見事、有言実行を果たす結果となった。
立位男子の部G2は宮脇進(大分)が劇的な逆転勝利で王座を手にした。宮脇は川崎祥平(千葉)との決勝で0対2とリードをされ、第3ゲームも劣勢に立たされたが、この場面を逆転で切り抜けると、第4ゲームからは、キレのあるツッツキやスペースを突いた的確な攻撃でゲームの主導権を握り、接戦を制した。
立位女子の部G2は小山百合子(大阪)がうれしい初優勝。フォアハンドの強打が際立った小山は、予選を勝ち抜いて迎えた決勝リーグでもフォアハンドの連打で相手を押し込むなど、最後まで高い攻撃力を見せて頂点を射止めた。
【団体戦】
団体戦車いす混成の部では、ディスタンス(柳亮助・長島秀明・吉田信一)が昨年に続いて頂点に立った。決勝は昨年と同じY.O(岡山)との対戦となったが2対1と接戦を制した。団体戦立位男子の部は福岡県市障害者卓球協会A(宮本煌・米倉直敏・立石アルファ裕一・垣田斉明)、団体戦立位女子の部は福岡県市障害者卓球協会A(櫨山多津江・小田美賀子・工藤恭子)がともに混戦を制してアベック優勝。地元開催で見事に栄冠を手にした。
【各種目・上位の結果】
■個人戦・車いす男子の部G1
優勝 吉田信一(東京)
2位 岡紀彦(岡山)
3位 宇津木孝章(長野)
3位 土井健太郎(静岡)
■個人戦・車いす男子の部G2
優勝 北川雄一朗(兵庫)
2位 細谷直生(茨城)
3位 柴田十祉治(大分)
■個人戦・車いす女子の部G1
優勝 別所キミヱ(大阪)
2位 茶田ゆきみ(静岡)
3位 吉海美代子(東京)
■個人戦・車いす女子の部G2
優勝 大下民子(神奈川)
2位 齋藤なほみ(東京)
3位 髻谷真穂(広島)
■個人戦・立位男子の部G1
優勝 岩渕幸洋(東京)
2位 垣田斉明(熊本)
3位 八木克勝(愛知)
3位 永下尚也(福井)
■個人戦・立位男子の部G2
優勝 宮脇進(大分)
2位 川崎祥平(千葉)
3位 今泉大地(神奈川)
3位 高橋克季(岐阜)
■個人戦・立位女子の部G1
優勝 竹内望(千葉)
2位 青木佑季(北海道)
3位 工藤恭子(熊本)
3位 友野有理(兵庫)
■個人戦・立位女子の部G2
優勝 小山百合子(大阪)
2位 江幡裕子(京都)
3位 奥田愛子(福岡)
■団体戦・車いす混成の部
優勝 ディスタンス(柳・長島・吉田)
2位 Y.O(浦山・岡・野稲)
3位 NTC.s(皆見・宇津木・柏木・小澤)
3位 TSC(大塚・佐藤・藤井・吉海)
■団体戦・立位男子の部
優勝 福岡県市障害者卓球協会A(宮本・米倉・立石・垣田)
2位 チーム福井(永下・齊藤・森田・岩田)
3位 愛知ファイヤーズ(渡邉・八木・杉浦)
3位 Force-Leaves(宮脇・宿野部・鈴木)
■団体戦・立位女子の部
優勝 福岡県市障害者卓球連盟A(櫨山・小田・工藤)
2位 東横千(伊藤・曽我・石河)
3位 北卓会(時耕・青木・藤岡)
3位 O.H(中川・齋藤・芝内・友野)
今大会の模様は卓球レポート5月号(4月20日発売)に掲載します。