中国がストレートで勝利するも、馬龍にR.ガルドシュが肉薄!
馬龍は0対2とR.ガルドシュに追いつめられてから、からくも逆転
気迫の前陣プレーで馬龍を追いつめたR.ガルドシュ
<男子団体準々決勝>
中国 3-0 オーストリア
○馬龍 3-2 R.ガルドシュ
○許昕 3-0 フェゲアル
○樊振東 3-0 D.ハーベゾーン
馬龍 - フェゲアル
許昕 - R.ガルドシュ
ワンサイドゲームになるかと思われた中国対オーストリアの準々決勝。しかし、昨夜ラストでポルトガルのフレイタスを敗り、オーストリアのベスト8入りを決めたR.ガルドシュが馬龍に肉薄し、会場の注目を集めた。
R.ガルドシュの名は日本で馴染みが薄いかもしれないが、われわれ取材班の間では世界卓球2014東京で張継科をあと一歩まで追いつめるなど「中国に競り合う選手」として知られている。39歳のベテランで、プレースタイルは同じオーストリアの世界チャンピオン・シュラガーから柔らかさを少し引いて、ガッツを足した選手といえばピンと来るだろうか。シュラガーのように台からあまり下がらず、前陣での両ハンドカウンターを持ち味にする選手だ。
この試合でも、R.ガルドシュは馬龍から第1ゲームを奪うと、第2ゲームを落とすも、3ゲームも終盤まで競り合い2対1とリード。あと1ゲームというところまで馬龍を追いつめた。結局、第4ゲームを7本で奪われ、息を吹き返した馬龍に逆転されてしまったが、R.ガルドシュの奮闘は会場を大いに沸かせた。
今大会の馬龍は、グループリーグで新進気鋭のカルデラーノ(ブラジル)を一蹴したプレーが示すように、異次元の強さを見せている。その馬龍にR.ガルドシュが迫れた理由は主に2つ。
1つは、「前陣でのプレー」だ。あらゆる面に秀でている馬龍に対して、時間を与えることは命取りになる。R.ガルドシュは前陣での速攻やカウンターに徹し、馬龍の時間を奪って防戦一方に追い込むことに成功した。
もう1つは、月並みな言い方で恐縮だが「気迫」だ。大方の選手は馬龍に対し、懸命に立ち向かいつつも「勝つのは難しいだろう」と心のどこかで無意識に気後れが生じてしまうものだ。しかし、R.ガルドシュは心の底から勝ちにいっていた。このことは、最終ゲームが物語っている。
最終の第5ゲームは10-0までスコアが離れ、馬龍がわざとサービスをミスしてR.ガルドシュに1点をプレゼントした。普通であれば、降参して次のプレーでゲームセットになる流れだが、R.ガルドシュは気迫のプレーを崩さずに連続得点し、馬龍を慌てさせた。こうした、あきらめの悪さというか気概が前陣プレーの精度の高さとつながり、馬龍を追いつめたといえる。
試合はトップでR.ガルドシュが馬龍に逆転負けを喫すると、続くフェゲアル、D.ハーベゾーンも許昕、樊振東に敗れ、オーストリアは中国にストレートで敗れた。しかし、R.ガルドシュが見せた馬龍との戦い方は、対馬龍、ひいては対中国の指針になるだろうし、あらゆるレベルの選手にとって、格上と戦う上での指針になるだろう。
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(写真=佐藤孝弘 文=猪瀬健治)