男子シングルス決勝が行われ、戸上(野田学園)が田中(愛工大名電)を3対1で下し、初優勝を遂げた。
戸上(野田学園) 10,13,-6,9 田中(愛工大名電)
戸上は優勝を決め、両手を誇らしげに掲げた
思い切りのいいハードヒットで優勝へと突き進んだ
優勝カップを持ち、母と恩師の橋津監督と
三冠を逃した田中は、今枝監督の横で何を思う…
荒々しさが魅力の戸上か。それとも、高いレベルで全てが安定している田中か。男子シングルスは、前評判通りの二人の決勝になった。
本命同士の試合は1ゲーム目から接戦になる。多少のミスはお構いなしにラケットをしっかり振り抜く戸上。マシンのように正確な両ハンドで戸上の隙をうかがう田中。しかし、戸上の攻撃を警戒してか、田中の台上に常にないミスが出る。結果、第1ゲームを戸上がジュースで奪うと、2ゲーム目も戸上がジュースで取って王手をかける。
男子ダブルス、学校対抗に続く3冠がかかった試合であっさり負けるわけにはいかない田中は、台上のミスを減らし、より強気に攻める。終盤、戸上のミスも続き、第3ゲームは田中が返す。
第4ゲームは戸上が4-0とリードするが、田中も負けじと追いすがり、後半までもつれる。しかし、戸上がレシーブからのライジングバックハンドドライブや台上フリックを決め、10-9とマッチポイントを握ると、最後はぶっつり切った下回転サービスで田中のレシーブミスを誘い、野田学園にインターハイ初のシングルスのタイトルをもたらした。
戸上の技術で光っていたのが、「磨いて来た」と優勝後に本人が語ったサービスだ。戸上は決勝で縦回転系サービスを多く使っていたが、優勝を決めたサービスエースを含め、第4ゲームだけで4本ものサービスエースを田中から奪っている。このデータからも、戸上のサービスの威力がうかがえるだろう。近年ではチキータの出現でサービスの優位性が薄れているが、戸上の優勝は、サービスの重要性や有効性をあらためて示したといえる。
優勝後、自身のSNSで喜びの言葉の結びに「浮かれてる時間なんてありません」と書き込んだ戸上。橋津監督が「技術的にはまだまだ全然」と評する大器が見据える先は、まだ遠くにある。
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(写真=佐藤孝弘 文=猪瀬健治)