世界ジュニア選手権オーストラリア大会最終日、個人戦5種目の準決勝と決勝が行われた。男子シングルスは準決勝で向鵬をストレートで破った宇田が決勝に進出。対戦相手は田中、プレテアを破って初の決勝進出を果たした徐海東。決勝は巧みなサービス、レシーブで宇田の勢いを止めた徐海東が初優勝を果たした。
<男子シングルス決勝>
徐海東(中国) 11,4,-8,9,8 宇田幸矢(日本)
準々決勝の徐瑛彬に続き、準決勝で戸上を団体とシングルスで2度破った15歳のアジアジュニア王者、向鵬をストレートでくだし、決勝進出を決めた宇田。対するは準々決勝で田中、準決勝でプレテアを破り初の決勝進出を決めたペンホルダーの徐海東。世界ジュニアは3回目。初出場の1昨年はアジアジュニアチャンピオンとして、優勝候補の一人だったが、張本智和に激戦の末敗れ3回戦敗退。昨年は大会の台風の目となったモアガルド(スウェーデン)に準々決勝で敗れ、決勝進出は今大会が初となった。
大会序盤からプレーを見ていて、安定感はあるものの、中国勢の中では爆発力がなく優勝は難しいと感じたが、ペンホルダー独特のサービス、また、裏面打法のチキータなどを生かし、決勝でも回転がわかりにくくバリエーションの豊富なサービスで宇田を苦しめた。
一方の宇田は団体戦以降、田㔟監督の意向でフォアハンドでのレシーブやストップレシーブを多く取り入れ、わずか数日の間に得点のバリエーションを広げてきた。それが奏功し、団体戦で敗れた徐瑛彬に競り勝ち、向鵬にはストレートで勝つほどの変化をもたらした。
しかし、宇田本人が試合後に漏らした言葉通り「中国選手3連破は本当に難しい。すごい研究されていると感じた」というように、得点パターンを増やしてきた宇田に対しても完璧と言っていい対策を講じてきた。
試合は序盤からチキータ封じのロングサービス、フォア前への下回転サービス、チキータをさせてからのカウンターなど、宇田の手を封じてきた。宇田も思い切ったロングサービスが随所で効いたが、勝負どころで徐海東に得点を許し、1ゲーム目は10-8からゲームを落とした。
宇田はレシーブからの展開で決定的な打開策を見いだせないまま相手に主導権を握られ苦しい展開。威力のあるフォアハンドの3球目など好プレーを見せつつも、流れを引き寄せることができない。
第3ゲームは返したものの、第4ゲームは9-7とリードを生かせずにゲームを落とす。第5ゲームも嫌な流れを断ちきることができずに、わずかにリードを続ける徐海東が安定感のあるプレーを貫き、初優勝を飾った。
宇田は優勝のチャンスは逃したものの、前陣速攻の安定感、中後陣からの威力のある両ハンドドライブなど、地力をしっかりとつけてきたことを十分にアピールできた飛躍の大会となった。来年の世界ジュニアにも出場のチャンスがあるだけに、団体戦、個人戦ともジュニアの頂点を狙える選手に成長したことは、これからの日本にとっても起爆剤の一つになるだろう。
<男子シングルス準決勝>
徐海東(中国) 5,3,8,6 プレテア(ルーマニア)
宇田幸矢(日本) 9,10,11,11 向鵬(中国)
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