大逆転劇の下地になった瞬時のボディーワーク
注目選手の際立ったプレーをワンポイント動画で取り上げる全日本特別企画、「今日のベストテクニック動画」。今日の、といいつつ日をまたいで深夜の更新になってしまったが、今回はジュニア男子決勝から戸上隼輔(野田学園高)のプレーをセレクトしよう。
戸上はツッツキでレシーブした後、バックハンドドライブしたが宇田にフォアハンドでカウンタードライブされ、バックハンドでいったんブロック。空いたフォア側をカバーしようとフォア側に動いたが、宇田の強烈なバックハンドドライブが予想に反してミドル(センターライン付近)に来た。
すると、フォア側へ動こうとしていた戸上は急ブレーキをかけ、体勢を崩しながらも上体を大きくひねってフォアハンドで返球。打球後はすぐさま体勢を立て直し、宇田の攻撃をバックハンドで1本しのぎ、ミスを誘っている。
戸上の持ち味は荒々しいまでの攻撃力だが、動画のラリーが示すようにジュニア男子決勝では宇田にその上を行かれ、序盤はなす術がなかった。そうした劣勢をなんとかするためには、「ボールを相手コートに返す」ことが手始めになる。
このラリーも試合の序盤だが、瞬時のボディーワークでなんとか攻撃をしのぎ、宇田に「簡単には決まらないな」とプレッシャーをかけられたことがボクシングのボディーブローのようにじわり利き、この後の戸上の大逆転劇につながっているといえよう。
相手の攻撃に押されて自分から攻められず、打つ手がないときはレベルを問わずよくあることだ。そうした場面では、ボールをとにかく相手コートに返すという戸上のシンプルなプレーを大きな指針にしてほしい。
(文=猪瀬健治 写真=佐藤孝弘、動画=小松賢)
詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
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