優勝候補の石川(全農)を会心のプレーで破り、完全にゾーンに入ったかに見えた早田ひな(日本生命)。しかし、事実上の決勝戦と目されたダブルスの盟友である伊藤(スターツSC)との準決勝では、伊藤に力の差を見せつけられ、完敗。自分を見つめ直す収穫の多い大会となった。
●女子シングルス準決勝
早田ひな(日本生命)-7,-9,-7,-9 伊藤美誠(スターツSC)
ー試合を終えて感想は?
前半に台上のプレーで差が出てしまって、あまりラリーになりませんでした。3、4ゲーム目にロングサービスをどんどん使って、短いサービスも低く出して先手を取られないようにという戦術に変えました。そこで、相手がうまくレシーブできなくて浮いてきたボールに対するミスが目立ってしまいました。相手にずっとペースを握られていたことから焦っていた部分もあり、うまく試合運びが出来ませんでした。
私の武器は両ハンドドライブなので、まずはラリー戦に持っていきたかったのですが、美誠(伊藤)は逆に台上で攻めてしまいたいという戦術できました。そこで相手が(強打ではなく)軽くポンとレシーブしてきたボールに対しても、ここで決めなくてはと力が入って焦りが生じました。気持ちが先に突っ走ってしまい、いつも通りの試合ができませんでした。
相手はバック表なので、飛ばしてきたりこなかったり、前後左右に振り回されたり、私が両ハンドを振るのでミドルを狙われ、それに自分が対応できず凡ミスが出てしまいました。そういった攻めをされても決めきれるように、これから練習していきたいです。
ラリー戦ではあまり負けなかったが、浅いボールに対して決めにいこうとして大振りになってミスが出てしまいました。そういったところは経験だと思いますし、今日は0対4で負けはしましたが自分には収穫の多い試合になりました。
ー見ている側にも緊張感が伝わってくる試合でしたが?
試合前まで(伊藤と)普通に話していたくらいで、お互いに全力を出し切って試合を楽しむという感じでしたが、自分の方がうまく展開をつくれませんでした。それで最後はチャンスボールにもミスが出てしまい、単調になってしまったのが敗因だと思います。
ー全日本のセンターコートで試合をする気分はどうでしたか?
昨日よりさらに観客の方が増えていて、昨日よりもいいプレーをしたい気持ちがあったのですが、その中で勝ち切ることが大切だと感じました。本当に今の美誠の実力は本物だと感じました。私はまだ勢いだったり、最近調子が良かったから少し自信があっただけで、そういったところを今後は確実な物にしたいです。
ーとはいえ、ベスト4ということでいいスタートが切れたと思いますが?
自分の中では、全日本ベスト4は最高記録なのでうれしい部分はありつつ、でも30%うれしいくらいで70%は悔しかったです。また、これを機に課題が見つかったのでもっともっと練習をして強くなりたいと思います。
ー総体的に今回の全日本の印象はどうでしたか?
全日本は勢いだけでは勝てないなと本当に思いましたし、センターコートで試合をする緊張感とか自分を奮い立たせる気持ちが必要だと思いました。この中で自分の力を出し切る難しさを実感しました。今日の試合でこの経験をできたのでよかったです。
ー伊藤選手の強さは?
ダブルスを組んでいるのでじかに感じていますが、競ったときの思い切りの良さとか意外性とかがすごい。特に、今日は自分の下回転サービスをずっとバックにフリックしてきていて、あれは本当に難しい技術なんですがあの精度はすごいと思います。いいお手本が(ダブルスで)隣にいるので、そういったところを学んでいきたいです。
(写真/まとめ=佐藤孝弘)
詳しい試合の結果は大会公式サイトでご確認ください。
全日本卓球:http://www.japantabletennis.com/zennihon2019/