7月1~4日、大学チームの日本一を決める令和3年度第90回全日本大学区総合卓球選手権大会(団体の部)、通称インカレが島津アリーナ京都(京都府立体育館)で開催された。
昨年は中止となったため2年ぶりの開催となったが、今大会では96チーム中6チームが出場を辞退するスタートとなった。男子は駒澤大、國學院大、東洋大、山口大の4校が出場をキャンセルした。
結果は愛知工業大が明治大を決勝で破り2連覇を達成。激戦の模様をお届けしたい。
<男子団体決勝>
愛知工業大 3-2 明治大
○曽根翔 9,9,-5,8 戸上隼輔
木造勇人 -7,-6,-8 宮川昌大○
木造勇人/田中佑汰 -13,6,-9,-5 宇田幸矢/戸上隼輔○
○田中佑汰 9,9,9 宇田幸矢
○髙見真己 9,-5,5,5 西康洋
愛工大は先日行われたアジア選手権大会国内代表選考会で優勝した4年生の木造を主軸に、3年生の田中、4年生の髙見、1年生の曽根という隙のない布陣で今大会に臨んだ。
決勝ではトップでルーキーの曽根が、過去に勝利経験があり、苦手意識のない戸上に対して終始攻撃的なプレーで3対1と押切り、値千金の1点で優勝を大き愛工大にたぐり寄せた。
しかし、2番でエースの木造が宮川の連続攻撃、特に木造のフォア側をえぐるフォアクロスのボールを止められずに圧倒され、ストレート負け。
勝敗を大きく左右するダブルスは、両者互角の戦いが予想されたが、威力のあるチキータで果敢に攻めた明治大ペアが第1ゲームを奪い、ハイレベルなラリー戦でも決定打を多く放った明治大ペアが3対1とし、明治大が大手。
明治大は4番宇田で勝負を決めたいところだったが、田中が安定感の高い前陣プレーで速い打球点で鋭く攻めて、攻めたい宇田のミスを誘いストレート勝ち。
勝負はラストに持ち越された。ラストは髙見対西の4年生対決。巧みなロングサービスを交えたサウスポーの西は1ゲームを奪うも、質の高い両ハンド、特にバックハンドのチキータとカウンターでは大学トップクラスのボールと、両ハンドのスムーズな連係で激戦に終止符を打った。
●愛知工業大学 森本耕平監督のコメント
「すごい試合でしたね。決勝戦に恥じない内容の試合だったと思います。
決勝戦だけではなくて、トーナメントから本当に紙一重の試合ばかりでしたし、組み合わせ的にもうちの方が(明治大よりも)厳しいところでやっていたと思います。そういう中で、今回たまたま優勝できましたが、力の差は紙一重だったと思います。
勝ち負けよりも、今回開催にあたって関西学連の方々や審判の方々のお力添えなしには僕たちはプレーすることもできなかったので、本当に感謝ですね。結構僕らは(ベンチで)立たないように怒られてしまったり迷惑をかけて申し訳なかったと思います。そういう裏方の方も含めて運営の方に感謝です。
決勝は、(明治大学の)高山監督とオーダー交換をした時に、お互いに『こうだよな』という感じだったので、思った通りのオーダーでした。ただ、誰が勝って誰が負けるかというのは分からなかったので、こんなメンバーでぶつかり合うことができたこの舞台を楽しもうということが僕たちのテーマでした。しびれる試合ができてよかったと思います。
前半で木造が落としましたが、去年の学生選抜でも宮川君には負けていますし、実力は僅差ですから、曽根も今回はたまたま戸上君に勝ちましたが、次はどうなるか分かりません。
ダブルスは、試合に臨むにあたって勝つためにすべきことはすべてやってきたつもりでしたが、2番で木造が負けて、流れがよくない中での勝負になってしまいました。でも、内容を見ると、やり残したこといくつかあったので、そこはちょっと反省かなと思います。
1年空いてしまいましたが、2連覇できました。アジア選手権大会の選考会で木造が優勝して、先週の日本リーグでも優勝できて、3週連続で勝てました。連覇もなかなかできることではないので、うれしいです。選手たちがすごいなと思いますね」
2位の明治大は2年生に宇田と戸上を擁し、優勝候補と目されたが、決勝では歯車が噛み合わなかった。先日行われたアジア選手権大会国内代表選考会では水谷隼や及川瑞基(ともに木下グループ)を破るなど好調ぶりをアピールした戸上だったが、トップで曽根のアグレッシブなプレーに遅れを取り、戸上らしいスピーディーなフットワークと相手コートに襲いかかるような両ハンドドライブは見られずに終わった。
この失点を取り返したのが、2番の宮川だ。宮川はバック対バックでも木造に遅れを取らず、先手を取られても着実にブロックからカウンターに結びつけ、木造が普段右利きの選手からはあまり狙われることのないフォア側を厳しく攻めて圧倒した。
ここで流れを取り戻した明治大が、要のダブルスでも、要所でチキータレシーブを決める思い切ったプレーで愛工大ペアを引き離した。息を飲むようなハイレベルなラリー戦でも宇田/戸上の決定力が上回る場面が多く見られ、トップで失点した戸上が意地を見せた形となった。
昨年の腰の負傷以来、どこか精細を欠いた印象を与える宇田は、随所で素晴らしいプレーを見せるも、トータルの安定感で勝る田中を崩せずにストレート負けを喫した。
これからも明治大の主力を担っていくであろう宇田、戸上の2人にとって初出場のインカレは多くの課題を与えてくれたのではないだろうか。
3位には日本大と福岡大が入った。
日本大は3年生の金光宏暢、福原明雄、2年生の加山裕、1年生に全日本ベスト16入りを果たした小林広夢という布陣で、2回戦で専修大、3回戦で中央大と関東の強豪を連破してベスト4入りを決めた。
福岡大は1年生の熊本流己を軸に、下田奨磨、カット主戦型の川野岳というメンバーで、アクロバティックなプレーやリスキーなプレーを排したプレーで、2回戦で前回2位の筑波大、3回戦で日本体育大を破り、4強入りを果たした。
詳しい大会の記録はこちら
全日本学生卓球連盟:http://www.jsttf-takkyu.com/
関西学生卓球連盟:http://www.kansai-sttf.net/
(取材=佐藤孝弘)