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宇和島インターハイ 男子シングルスは鈴木颯(愛工大名電)が制し、三冠王に!


 高校生たちの祭典、第91回全国高校総体卓球競技大会(通称インターハイ)が7月29~8月8日に宇和島市総合体育館(愛媛)で開催される。今回のインターハイは、新型コロナウイルスへの感染対策を踏まえ、男女別日程で開催(男子が7月30〜8月3日、女子が8月4日〜8日)。そのため、11日間という長期にわたり、高校日本一をかけた熱戦が繰り広げられることになる。
 本日8月3日は、男子シングルス準々決勝〜決勝までが行われ、鈴木颯(愛工大名電)が優勝。鈴木は男子ダブルス、男子学校対抗に続いて三冠を獲得した。

優勝 鈴木颯(愛工大名電)

鈴木が昨年の谷垣佑真以来の三冠王!

台から下がらず得意のフォアハンドで押し込み、盟友の吉山を撃破

決勝の激闘を終え、健闘を称え合う鈴木と吉山

これまで同士打ちに泣かされ続けてきた鈴木が最後の夏に歓喜の涙


▼男子シングルス準々決勝の結果
吉山僚一(愛工大名電) -6,-6,10,9,5 徳田幹太(野田学園)
三木隼(野田学園) -6,12,9,-9,6 萩原啓至(愛工大名電)
鈴木颯(愛工大名電) 9,8,-7,3 中村煌和(愛工大名電)
芝拓人(野田学園) 7,3,-12,-12,9 坂井雄飛(愛工大名電)

▼男子シングルス準決勝の結果
吉山僚一(愛工大名電) -7,7,-5,6,15 三木隼(野田学園)
鈴木颯(愛工大名電) 4,5,9 芝拓人(野田学園)

▼男子シングルス決勝の結果
鈴木颯(愛工大名電) 9,-7,-4,7,10 吉山僚一(愛工大名電)

 男子シングルスはベスト8を愛工大名電と野田学園の選手が占める中、決勝のカードは度重なる窮地をくぐり抜けてきた第1シードの吉山と、三冠王を目指す鈴木の同士打ちになった。
 互いに手の内を知る者同士の試合は、簡単なミスが出ないハイレベルな先手の取り合いでゲームオールにもつれたが、鈴木が10-8とチャンピオンシップポイントを握る。しかし、ここから吉山が厳しいコース取りで2本追い上げ、ジュースに追い付く。決勝まで神がかった逆転劇を演じてきた吉山なだけに、決勝もひっくり返すのかと思われたが、気合いを入れ直した鈴木がしっかり動いて2本連取し、激闘にピリオドを打った。
 男子シングルスを制した鈴木は、男子ダブルス男子学校対抗と合わせて三冠を獲得。昨年の愛工大名電の先輩・谷垣佑真に続き、三冠王の誕生だ。
「足さばきが良くなり、前でできるようになった」と愛工大名電の今枝一郎監督が語るように、今大会の鈴木は不用意に台から下がらず、前陣でのプレーに徹していた。それによって、持ち味である多彩で正確なサービスとレシーブの効果をより生かせたことが勝因として欠かせないだろう。
 いずれにしても、これまで全国大会でことごとく同士打ちに敗れ、悔し涙を流してきた鈴木。最後の夏で同士打ちを制し、頂点に立って流した歓喜の涙は格別な味がしたに違いない。

■鈴木颯選手のコメント
 日本一をかけた戦いを中学校に入って何回もしてきましたが、6年目でやっと日本一になることができました。この5年間はずっと2位や3位で逃してきた日本一を最後の高校の夏で取れたことが、本当に嬉しくて、勝った時は泣いてしまいました。
 今日の1試合目も同士打ちでしたが、自分は同士打ちにとても弱くて、それを言い訳に逃げている部分がありました。でも、同士打ちに弱いことは分かっているので、もう気持ちで行くしかない。今日は負けていても点数を取られても、ずっと声を出してポジティブに行こうと思って、勝つことだけを考えていました。
 特に戦術をこれまでと変えたわけではありませんが、自分はいつも吉山と試合する時は、自分が思ってる以上に腰が引けて弱気になっていたので、今回は1ゲーム目から自分が苦手なバック対バックでも強気で自分から攻撃するような姿勢を出したのがよかったと思います。
 今やっとインターハイの全試合が終わって解放されたんですけど、本当についさっきまでまだ試合が残っている状態で、団体優勝した時も、ダブルス優勝した時もまだ次があると思っていたので、あまり意識はしなかったんですけど、こうやってシングルスでも優勝できると、やっぱり「俺やったんだな」と今思っています。
 決勝は1ゲーム目は出足で、自分が攻撃的にいってなんとか逃げ切ったような感じで取れました。でも、2、3ゲーム目はいつも通り取られて(ゲームカウント)1対2で、その時、自分は心のどこかで、「またこのままいつも通り負けてしまうんじゃないか」という気持ちが出てきたんですけど、ベンチにいる時に「いや、今回は違う」と自分にずっと言い聞かせて、もうとにかくやるしかないと思っていたので、4ゲーム目からはまた気を取り直して、自分が得意な展開に持っていくような戦術を立ててやっていきました。
 吉山はすごくチキータがうまい選手なので、例えば、ミドルにハーフロングとかフォアサイドを切るぐらいのサービスとかチキータを封じるようなサービスを出すことと、自分はフォアが得意なので、要所で自分が回り込んで打てたらいいなと考えていて、それが4、5ゲーム目はうまくつながってできたかなと思います。 


2位 吉山僚一(愛工大名電)

得意のチキータで優勝を目指したが、わずかに届かず

準決勝では神がかった逆転劇を演じ、気持ちの強さを見せた

決勝で敗れた後、吉山はベンチからしばらく動けなかった

 
 2位の吉山は、準々決勝の徳田、準決勝の三木(ともに野田学園)といずれも相手にマッチポイントを握られる窮地をしのいで決勝進出。特に三木戦では、最終の第5ゲームの6-10からまくるという神がかった逆転劇を見せた。決勝も最終ゲーム8-10からジュースに追い付いたが、度重なる逆転劇の疲弊からか、最後は力尽きた。
 優勝はならなかったが、対戦相手が全力で向かってくる中、耐え忍んで決勝まで勝ち上がった気持ちの強さと技術力は、間違いなく今大会のハイライト。どうか胸を張ってほしい。

■吉山僚一選手のコメント
 1ゲーム目の出足が悪くて、3-8で負けていたんですけど、そのゲームの途中から修正できて、取られてはしまいましたが、自分的にはいい流れで2ゲーム目を迎えることができました。2ゲーム目、3ゲーム目は完璧な内容で取ることができて、2対1の4ゲーム目で少し凡ミスが多くて、また、5ゲーム目で切り替えましたが、8-10で2本レシーブから取って、10-10で自分のサービスの時にもう少し工夫ができたのではないかと反省しています。
 準々決勝も準決勝もマッチポイントを取られていたので、ドラマ的に言ったら自分が主人公で優勝するのではないかなと感じていましたけど、試合に入ったらやっぱりそんな簡単にはいきませんでした。
(鈴木とは)部内ではあまり試合はしませんが、全国大会だと中1の全中の男子シングルスの準々決勝以来、久しぶりに負けました。
 今大会は1試合も簡単な試合がなかったので、そこを乗り越えられたというのは自信にして、また、反省点もたくさんあったので、帰って練習する必要があるなと改めて感じています。


3位 三木隼(野田学園)

強烈なバックハンドで吉山を追い詰めたが無念の逆転負け。来年の雪辱を期しているだろう


3位 芝拓人(野田学園)

ラリー戦の強さはドイツのティモ・ボルを連想させる。課題は決定力か

 
 3位には、三木と芝の野田学園勢が入った。
 三木は得意のバックハンドが火を噴き、吉山を最終ゲーム10-6まで追い詰めたが、そこから痛恨の逆転負け。すんでのところで大魚を逃したが、バックハンドの威力や感覚の良さはピカイチでポテンシャルの高さを十分に示した。
 もう一方の3位、芝は坂井(愛工大名電)とのゲームオールの接戦を切り抜けたが、鈴木(愛工大名電)の質の高いサービスレシーブの前に後手に回る展開が多くなってしまった。ラリー戦に強いだけに、球威が増せばさらに強くなるだろう。
 決勝進出はならなかったものの、三木、芝とも2年生ということで、来年はさらに成長したプレーを見せてくれるに違いない。

■三木隼選手のコメント
 正直、(吉山と)こんなに競れるとは思っていませんでした。前回は春の高校選抜でストレート負けしていて、そこから吉山選手の対策をして今回はうまくはまった感じです。相手の方が格上なので向かっていく気持ちでプレーしたんですけど、1本が遠かったですね。
(第5ゲーム)10-6から追い付かれたんですが、それまでは全然緊張がなかったんですが、10-10になった瞬間、ちょっと固くなってしまいました。
 来年もまたチャンスがあると思うので団体と個人で優勝を目指したいと思います。

■芝拓人選手のコメント
 結果的に見れば3位はいい結果が出たと思っていますが、試合の内容で見れば、初戦から(ゲームカウント)1対2で負けている試合も何試合かありましたし、準々決勝も2対0から2対2までいって、途中で自分の流れを崩してしまうというか、そのまま勢いで勝ち切ることができなかったので、それがこれからの課題だと思いました。それと、準決勝では相手(鈴木)の戦術のうまさとか、サービスレシーブのうまさが、自分とは全然違うなって思ったので、ラリーになるまでに、もっといいプレーをしたいと思いました。
 選抜で(鈴木と対戦したとき)はバックを突かれて失点することが多かったのですが、今回のインターハイではストップが多くて(戦い方を)変えてきたのかなと思いました。それと、(鈴木のサービスは)下回転とナックルの違いがあまり分からなくて、ナックルの使い方がうまかったです。
 インターハイ3位というのは自信になりましたし、次の全日本ジュニアでは今の3位以上の結果を出そうと思ってこれから努力しようと思います。春の高校選抜では三木と2人でチームを引っ張って優勝できるように頑張ります。

【ベスト8入りした選手】
徳田幹太(野田学園)

吉山からマッチポイントを奪うも物にできず。「(肝心な場面で台から)下がってしまった」と徳田

萩原啓至(愛工大名電)

ダイナミックな両ハンドで三木と激しく打ち合ったが、ゲームオールで惜敗

中村煌和(愛工大名電)

鋭い両ハンドで勝ち上がったが、先輩・鈴木との同士打ちに敗れた

坂井雄飛(愛工大名電)

1年生ながらベスト8入り。芝戦では最終ゲームの中盤までリードするも惜しくも逆転負け


卓レポツイッターで宇和島インターハイの熱戦を速報予定です。ぜひご覧ください!

詳しい結果とLIVE配信はインハイTV(全国高体連公式)まで
https://inhightv.sportsbull.jp/competition?id=5



(取材=卓球レポート)



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