第56回世界卓球選手権団体戦が、中国の成都で9月30〜10月9日にかけて開催される。2020年に開催が予定されていた釜山大会がコロナ禍の影響で、3度の延期の末、中止となったため、世界卓球の団体戦は2018年のハルムスタッド大会以来、4年ぶりの開催となる。
競技8日目の10月8日は男子団体準決勝が行われ、日本は中国と対戦。ラストまでもつれる接戦になったが、中国が日本を3対2で振り切り、決勝進出を果たした。
張本が2点取りするも、中国が意地で振り切る
▼男子団体準決勝
中国 3-2 日本
○樊振東 5,10,4 戸上
王楚欽 8,-8,-6,-9 張本○
○馬龍 -8,5,5,2 及川
樊振東 -7,6,3,-9,-9 張本○
○王楚欽 10,7,4 戸上
死闘。日本対中国の準決勝は、そう呼んで差し支えない接戦になった。
トップは戸上隼輔が現世界王者の樊振東に破れるが、2番でエースの張本智和が中国に立ちはだかる。
張本は同世代の中国次期エース・王楚欽と対戦。張本のチキータからの早い攻めと、張本のワイドな攻めを驚異のフットワークと剛腕でさばく王楚欽の手に汗握るラリーが続いたが、最後まで攻めきった張本がゲームカウント3対1で勝利。今大会の中国に初黒星をつけると同時に、日本が試合を振り出しに戻した。
3番の及川瑞基は、思い切ったプレーで第1ゲームを先取するも第2ゲーム以降は馬龍に対応されて敗れ、中国が王手をかけたが、張本が再び中国の前に立ちはだかった。
張本対樊振東のエース対決は、まさに世界最高峰といって差し支えないラリーの応酬でゲームオールまでもつれ込む。チキータからの鋭い両ハンドとブロックで樊振東の猛攻に対抗する張本。世界チャンピオンとして、中国のエースとして負けられない樊振東も必死のプレーで張本の堅陣をこじ開けにかかる。スリリングかつダイナミックなラリーは一進一退で最終局面まで進んだが、最後はバック対バックで樊振東のボールがオーバーし、張本が床に転がって勝利を宣言した。
勝敗が決まるラストは戸上対王楚欽。両者は世界卓球2021ヒューストンでも対戦しており、そのときは戸上が完敗を喫しているが、勝敗が重くのしかかる団体戦のラストは下馬評が通用しない舞台だ。試合が始まると、戸上が切れ味鋭い両ハンドで硬さの見える王楚欽を押し込み、第1ゲームをリードする。しかし、このままリードを守って第1ゲームを先行したかった戸上だったが、王楚欽にじりじりと追い上げられて第1ゲームを逆転で奪われてしまう。これで硬さが取れた王楚欽が、第2ゲーム以降は気迫あふれるプレーで戸上の勢いを封じて勝利し、中国が逃げ切って決勝進出を果たした。
惜しくも敗れた日本だが、張本は素晴らしい技術力と完全アウェイでものまれないメンタルの強さを見せ、戸上、及川も中国を慌てさせるプレーを見せた。長く日本を引っ張ってきた水谷隼(木下グループ)が引退し、フレッシュなメンバーで臨んだ新生日本だったが、歴史を動かす日が近いことを感じさせる見事な戦いぶりだった。
(まとめ=卓球レポート)