2018年に14歳205日という史上最年少の若さで全日本を制して以降、毎回優勝候補の筆頭に挙げられながら天皇杯に手が届かなかった張本智和(IMG)。今年は混合ダブルス、男子ダブルスを勝った勢いで勇躍男子シングルス決勝に挑んだが、戸上隼輔(明治大)の猛攻に三冠と2度目の優勝を阻まれた。
すぐ目の前にあるようで遠い男子シングルスのタイトルについて、本人はどのように捉えているのか。勝者・戸上を称えながら、敗因と課題を淡々と、そして的確に語ってくれた張本の記者会見の模様を紹介する。
--悔しい気持ちだと思うんですけれども、決勝戦を振り返っていただけますか?
準決勝までとは違って終始劣勢で、戸上選手の攻撃に圧倒されていたので、それでも2ゲーム目、3ゲーム目の大事なところを取って、3ゲーム目もゲームポイントを何回も取りましたけど、そこを取り切れなかったのが大きな敗因かなと思います。
--今振り返って、具体的にもっとこうしたかったというところがあれば教えてください。
(第3ゲームの)ゲームポイントを取った時に全て自分のサービスからの展開だったので、サービスの工夫だったり3球目の待ちだったり、うーん、悔やまれるとこは多かったんですけど、それでもタイムアウトも取って自分がベンチコーチと話し合ってするべきことをしたので......。後悔がないわけではないけど、ちゃんと決断してプレーしたので、その決断がただただ間違っていた。次は間違えない。そこが反省かなと思います。
--今日の結果を受けて、これからどうやってさらなる成長につなげていこうと考えていらっしゃいますか?
安定して決勝までは来れましたけど、こうやってすごく攻撃力の高い選手だったり、特に今日の決勝の戸上選手はいつも以上に良いパフォーマンスをしていたと思うので、そういった選手にもしっかり安定して勝つ力はまだまだないので、そこですね。相手が想像以上のことをしてきても動じずに打ち返す力をもっともっとつけていきたいなと思います。
--第3ゲームのすごい熱戦になったところ、戸上選手はほぼ全てチキータしてきて勢いがすごかったですが、あの時のお気持ちを聞かせてください。
チキータしてくるのは分かっていましたけど、サービスのコースを変えたり、チキータがバックに来るのかフォアに来るのか待ったり......。特に、タイムアウト明け1球目のサービスをバック前に出して、それを(戸上のチキータを)ちゃんと待っていたつもりだったんですけど、自分の想像以上に良いチキータが来たので、長いサービスだったのかなと思ったり、サービスの回転をもうちょっと変えていたらよかったのかなとか。(第3ゲームを物にできなかった)原因は1個だけじゃなくて2個3個、何個もあって、ああいう逆転をされてしまったのかなと思います。
--それでも、サービスや台上技術でゆさぶるなど、張本選手の良さも出ていた決勝戦だったと思いますが、ご自身の手応えはいかがでしたか?
そうですね。自分の方は比較的悪くなく、いつも通りだったと思うんですけど、やっぱりいつも通りではこういうすごく攻撃力の高い選手には簡単には勝てないので。もしかしたら、3ゲーム目取れたり4ゲーム目取れたりしていたら勝てたかもしれないけど、そこが根本的な原因の解決にはならないと思うので、もっと大きな部分を変えて、しっかり終始リードして自分がペースを引っ張ってプレーできるように、そこの変化というのはもっと必要なのかなと思います。
--決勝は日本男子の頂上決戦だったと思うんですけれども、そこで自分が戦えたことをどういうふうに感じられますか?
ここ2年表彰台から遠ざかっていたので、3年ぶりにメダルが取れたのは最低限の目標はクリアはできたと思うんですけど、自分の目指すところは全日本の優勝でしたし、やっぱりこの決勝の舞台に立って、もう1度天皇杯を受け取りたかったという気持ちがすごく強いので、そこは来年またリベンジできるように頑張りたいと思います。
--戸上選手の高い攻撃力に対してこうすれば自分らしい攻撃が出せた、また、ここが戸上選手がすごかったという感想があれば教えてください。
レシーブのチキータはすごく威力があって、どこにサービスを出してもチキータしてくる怖さはありましたし、僕が攻めている展開でも一撃でバックでカウンター持ってきたりとか、特に14対13で(戸上が)ちょっとロビングになりかけたところで1球強いボールを打たれてしまって。あそこは通常だったら僕の点数になってゲームを取れたと思うんですけど、そこでそういうスーパープレーが飛び出してきたので、戸上選手のバックハンドはすごく驚異的で良い武器なのかなと思います。
--戸上選手が、張本選手に対してフォア対フォアで挑むようにしたという話をインタビューでしていました。それについて、どのように受け止めてどのように対応していこうと考えていましたか?
僕の中ではフォア対フォアよりもバック対バックで結構攻められたという気がしていて、フォア対フォアは五分五分くらいですね。点を取る時もありましたし取られることもあって、本来勝つべきであるバック対バックで今日は主導権を握られてしまったので、終始ちょっとリードされて落ち着いてプレーできなかった。バック対バックで得点できる自信があまりなかったので、そこは僕の中では大きかったです。
--どこかに依存するのではなく、全ての技術が普通になってきたと昨日の取材ではお話ししていました。とはいえ、自信にしているバックハンドで先手を取られたことが気持ち的にも少し弱気にさせてしまったというところはありますか?
そうですね。バック対バックは誰とやっても自信を持って戦ってはいましたけど、今日の曽根選手(曽根翔/T.T彩たま)だったり、昨日の吉山選手(吉山僚一/愛工大名電高)だったり、どんどんバックハンドが強い選手が出てきて、そういった選手に確実に打ち勝てる力は僕も進化していかないとそこは手に入れることができないと思うので、戸上選手だったり、今回戦った選手たちに何回やっても自分がバック対バックでは上手(うわて)だというところまでいけるよう、もっともっとバックハンドを強化していく必要があると思います。
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