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世界卓球2023ダーバン 
O.アサール‬が振り返る世界卓球

 アフリカ大陸における世界卓球の開催は1939年カイロ(エジプト)大会以来、84年ぶりとなった。この希有(けう)なチャンスに、アフリカ出身の選手として、アルナ(ナイジェリア)に次いで史上2人目のベスト8入りの快挙を成し遂げたO.アサール(エジプト)に大会を振り返ってもらった。

アフリカの人々が期待していた結果を残せてうれしい

--今大会(世界卓球2023ダーバン)は1939年にエジプトで開催されて以来、2度目のアフリカでの世界卓球となりました。特別な思いはありましたか?

O.アサール 最初にアフリカで世界卓球が行われたのは1939年で、エジプトのカイロでの開催でした。エジプトがアフリカで最初に開催であったことを誇りに思うとともに、アフリカで再びこのような大きな大会が開催されることについて誇りに思いました。アフリカにおいて、若い人たちに卓球をしてみたいというインスピレーションを与えることができる証しにもなったと思います。
 そして、このような大きな大会で、アフリカの人々が期待していた準々決勝進出という結果を残せたことをとてもうれしく思います。

--男子シングルス1回戦のミーニョ(エクアドル)戦では1対3で負けているところから、逆転勝利を収めました。どのように追い付き、逆転したのでしょうか。

O.アサール アルベルト・ミーニョは、ブンデスリーガのチームメートであり、友人でもあり、よく一緒に練習もしていたので、とても特別な試合でした。この試合で、彼はとても積極的にプレーしていたので、勝利するのはとても難しいと思いました。私たちはお互いのことをよく知っているので、勝つためには良い戦術が必要になります。最終的には、私は序盤とは異なるプレーを試みて、ゲームをひっくり返すことができました。
 この試合の後には、とても自信がつきましたし、次の試合ではもっといいプレーができると感じました。苦しい試合を乗り越えることができてとてもうれしかったですね。

1回戦ではミーニョに苦戦を強いられたが、見事逆転勝利


--2回戦ではゲラシメンコ(カザフスタン)を破ると、3回戦では前回2位のモーレゴード(スウェーデン)を破る金星を挙げました。

O.アサール 2回戦でも友人であるゲラシメンコと対戦しました。過去に何度も試合していますが、何とか勝機を見いだそうと考えていました。戦術がうまくいき4対2で勝つことができましたが、決して簡単な試合ではありませんでした。しかし、この試合の後に次の試合に向けての自信が湧いてきて「世界のトップ10の選手にも勝てる」という気持ちになりました。
 3回戦はスウェーデンのモーレゴードとの試合ですが、彼の試合を見て、良い戦術を立てるのがとても困難であると感じました。なぜなら、彼は試合中にプレーを頻繁に変えるからです。彼が何をしてくるかを読むのは困難です。ですから私は事前に3~4つの戦術を準備し、それらが機能するように試合では心掛けました。
 彼が主導権を握った3ゲーム目以降も、事前に立てた戦術が最後までうまく機能しました。苦しい状況を打開する戦術を貫き、4対2で勝利することができたことをとてもうれしく思います。この試合は今大会で最も厳しい試合でした。

3回戦では前回2位のモーレゴードから金星を挙げた


--4回戦ではプッツァー(クロアチア)に勝利し、ベスト8入りを決めました。そして、観客席からフロアに降りてきたアルナと抱擁しましたね。

O.アサール プッツアーに勝利して準々決勝に進出した後、アルナとハグしたのはとても特別な瞬間でした。アルナは、世界卓球2021ヒューストンで準々決勝に進出した初のアフリカ人選手でしたから、私もそこまで勝ち進みたいと思っていました。私がモーレゴードやプッツアーと対戦したとき、彼は観客席で私を応援してくれていたのです。
 だから、勝利した瞬間、彼をコートに呼んでハグしたかったのです。この瞬間はとても幸せでした。アルナと抱き合っている写真は、50年後にもう一度見ても、その時のことを改めて誇りに思うでしょうね。

ベスト8を決めて、アルナと固く抱擁。「50年後にも誇りに思う」ワンシーンとなった


--次にあなたは樊振東(中国)と対戦しました。どのような準備をして挑みましたか?


O.アサール 樊振東との試合はとても厳しいものでした。対戦前には、ワールドツアーやオリンピックで対戦した時の映像を見直しました。2015年のクエートオープンでは、2対1でリードしていたので、その試合を見て、対策を練りました。
 しかし、今大会は彼は万全の調子でしたし、準備もしっかりしていたように思います。2ゲーム目に6-2とリードしましたが、このゲームも勝てませんでした。彼の集中力はとても高かったのですが、私の集中力ももっと高くあるべきでした。今となっては、もっと良いプレーができたように思いますし、もっと良い戦術を立てて戦うべきだったと思いますし、リスクを恐れずもっと積極的にプレーする必要もあったと思います。この試合で多くを学ぶことができたので、次に対戦する時に生かせればと思います。

--今大会で得られた課題と、今後の目標をお聞かせください。

O.アサール 自分のプレーを改善しなければならないと思っています。もっとクリエイティブになる必要がありますし、リスクを冒すことと安全にプレーすることのバランスを取る必要もあります。
 また、最高レベル大会のプレッシャーの中で重要な試合を戦えるようにトレーニングする必要もあります。自分のプレーを向上させることは大きな課題だと思います。身体能力を向上させるには時間がかかりますが、自分のプレーの細かい部分を改善すれば、もっと上に行けると信じています。
 パリオリンピックでは、エジプトの代表として、シングルスで準決勝か決勝に進出することが私の次の目標です。

(まとめ=卓球レポート)

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