パリオリンピック卓球競技5種目(混合ダブルス、男女シングルス、男女団体)が、パリ南アリーナ4(パリ・フランス)にて7月27日〜8月10日にて開催される。
競技7日目の8月2日は男女シングルスの準決勝が行われ、決勝と3位決定戦のカードが決定した。
ここでは女子シングルス準決勝の結果をお伝えする。
※写真は孫穎莎(中国)
※写真提供=ITTF/ONDA
▼女子シングルス準決勝
孫穎莎(CHN) 6,8,8,2 早田ひな(JPN)
陳夢(CHN) 7,6,7,7 申裕斌(KOR)
現地時間の13時30分から行われた準決勝第2試合、孫穎莎(中国)対早田ひな(日本)。
前回の東京オリンピックは陳夢との同士打ちで敗れて銀メダルに終わった孫穎莎。世界チャンピオンとして是が非でも手に入れたい金メダルへの道を止めるわけにはいかない。
一方の早田は観客席から憧れ見た東京オリンピックから3年。2度の全日本女王、そして世界卓球で中国勢を打ち破って表彰台に上がるという実績を重ね、自らの手でつかんだ憧れの場所。その先に用意された女子シングルスの夢舞台。今回で10回目を数える決勝に中国選手以外が進んだのはわずかに二人という高い壁に挑んだ。
試合は早田のサービスエースでスタート。序盤から早田は孫穎莎のサービスの変化が読めず、早いテンポでカーブドライブとシュートドライブを放たれて8対4とされる。早田は孫穎莎に先手を取られてパワーを出させてもらえず10対4となり、孫穎莎に第1ゲームを先制された。
普通のリズムで打ち合うと孫穎莎に寄り切られてしまう早田は、前に付いて難しい体勢からでも攻め込んで2対3とする。しかし孫穎莎が3球目で回ってストレートに打ち抜くと、早田に攻めミスが続いて6対3と離された。早田は孫穎莎の緩急の出し入れに対応できず9対5となり、早くも2ゲームを失った。
孫穎莎はボールの見極めが的確で、行けるところはフルスイングで、難しいボールは柔らかくかけて自分の流れでラリーを展開して7対3とする。持ち味を出させてもらえない早田。黒いテーピングが巻かれた手首が気になるのか、7対5と追いすがる場面でタイムアウト。苦しい場面のはずだが、穏やかな表情で早田に語りかける石田大輔コーチ。ここで早田が孫穎莎のフォアサイドを切るサービスを決めると、今度はストップを孫穎莎のフォアサイドに送ってミスを誘って7対7に追いついた。ここで孫穎莎が2本取って9対7から嫌なミスが出て9対8となったところで、孫穎莎がタイムで間を取る。この場面、ストップ争いから孫穎莎にバチッとフォアフリックを決められると、攻めた早田のレシーブチキータがオーバーし、いきなり土俵際まで追い込まれてしまった。
今大会、いまだゲームを失っていない孫穎莎。第4ゲームは立ち上がりから台上で仕掛けてからの猛攻で6対2と決めにかかる。なんとか打開したい早田だが、無理して攻めたボールを孫穎莎に受け止められて、厳しいコースに跳ね返された。
このまま孫穎莎が緩めることなく走り切り、強敵とみられた早田をシャットアウト。ディフェンディングチャンピオンの陳夢が待ち構える決勝で、金色のメダルへのラストマッチに挑む。
準決勝は無念の完敗となった早田だが、まだ明日の3位決定戦がある。気持ちとコンディションをを整え直して、銅メダルマッチに立ち向かいたい。
準決勝第1試合は現地時間の午前10時から、陳夢(中国)と申裕斌(韓国)で争われた。
前回の東京オリンピックで金メダルを獲得し、ソウルオリンピックから9回続けて女子シングルスで五星紅旗の掲揚をつなげた陳夢。一方、韓国で天才少女として見出され、その期待通りにチームの主軸に上り詰めた申裕斌。連覇を目指す五輪女王に韓国の新星が胸を借りた。
試合はラブオールから陳夢の幅の広い攻撃に申裕斌が懸命について行き4対4。ここで陳夢がアイドリングは終わりとばかり広角に揺さぶって7対4とすると、精度が高い申裕斌のバックサイドを避けてミドルからの展開で9対5と離し、陳夢が幸先良く1ゲームを先行した。
前半から離されたくない申裕斌。第2ゲームは短い逆横回転サービスが効いて1対4とリードを奪う。しかし、ここでも陳夢がそろそろ行くわよと言わんばかり、フォアサイドを厳しく突いてからの展開で5対4と一気に抜き去る。陳夢は打って良し、止めて良しの横綱相撲で9対5と押し切り、ゲーム差を2に広げた。
第3ゲームは余裕のある陳夢が前・中陣で自在に配球し、申裕斌に自由にさせず5対0。一方的な展開に打開策が見つからず、申裕斌と呉光憲監督もファイトの出し場がない。陳夢は点差が付いて緩んだところでラリーにミスが出て10対7まで詰まったところで馬琳監督がタイムで一息入れる。ここで勝負に行った申裕斌のライジングバックハンドを陳夢が柔らかくかわし、決勝行きに王手をかけた。
いよいよ追い込まれた申裕斌。第4ゲームはミドルの配球を狙って1対3とするが、陳夢がしっかり締めて3対3となり、たまらずタイム。陳夢はそろそろ決め時とスパートし、ワイドに打ち抜いて5対3。申裕斌も力を振り絞って中陣で食らいつき7対7とするが、陳夢がサービスエースで9対7。続く場面でバックドライブを決めてお得意のソォッ!最後は陳夢が申裕斌の逆横回転サービスをバックハンドでストレートに決め、見事に完封勝利を決めた。
終始落ち着いた攻守で圧倒した陳夢が大会2連覇への道のりに王手をかけた。決勝は世界卓球2023で世界女王への夢を阻まれた孫穎莎との戦いだ。
敗れた申裕斌は五輪女王には及ばなかったが、次は早田との3位決定戦。準々決勝の平野戦で見せた粘り強いプレーで銅メダルをつかみにかかる。
<8月3日の試合予定(女子シングルス)>
13時30分(日本時間20時30分) 3位決定戦 早田ひな(JPN) - 申裕斌(KOR)
14時30分(日本時間21時30分) 決勝 孫穎莎(CHN) - 陳夢(CHN)
女子シングルスのトーナメント(準決勝終了)
詳しい大会の記録はこちら
公益財団法人日本卓球協会:https://jtta.or.jp/tour/24750
World Table Tennis:https://worldtabletennis.com/eventInfo?selectedTab=Results&eventId=2603
(まとめ=卓球レポート)