第74回全日本実業団卓球選手権大会が、9月19〜22日まで、埼玉県さいたま市のサイデン化学アリーナさいたま(さいたま市記念総合体育館)で開催。同大会は、全国の企業や市役所の卓球部の日本一を決める大会だ。
大会最終日は男子団体の準決勝から決勝までが行われ、リコーが初優勝を果たした。
【優勝 リコー】
▼男子団体準決勝の結果
リコー(東京) 3-0 クローバー歯科カスピッズ(大阪)
○山本 -10,20,-7,2,10 松下
○小野寺 9,4,2 堀川
○郡山/小野寺 -8,7,9 江藤/松下
郡山 - 宮本
中村 - 江藤
ファースト(千葉) 3-2 協和キリン(東京)
○丹羽 9,-8,8,6 松平賢二
○松平健太 9,10,8 宮川
神/丹羽 -6,-6 渡辺/宇田○
神 -9,-5,-4 宇田○
○高木和 -16,8,15,5 渡辺
▼男子団体決勝の結果
リコー(東京) 3-2 ファースト(千葉)
中村 -9,-4,-9 丹羽○
○小野寺 8,9,5 松平
○郡山/小野寺 10,10 神/丹羽
山本 -6,-7,7,-5 神○
○郡山 6,-11,5,-6,8 高木和
男子は、度重なる接戦をくぐり抜けたリコーが悲願の初優勝を果たした。
2回戦で関西卓球アカデミーとの接戦を5番のゲームオールジュースで切り抜けると、準々決勝でも前回王者の日鉄物流ブレイザーズを3対2で振り切り、準決勝進出。
クローバー歯科カスピッズとの準決勝は、トップで山本が相手エースの松下をゲームオールジュースの大激戦の末に下したのが物をいってストレートで快勝したが、決勝のファースト戦は、またしても最後まで勝敗の予測がつかない大激戦になった。
1番は硬さが見える中村が丹羽のファンタスティックなプレーにほんろうされて先制を許すが、「奇跡を起こそうぜ!」とベンチを鼓舞していた2番の小野寺が躍動。実績十分の松平を相手に臆することなく挑み、持ち味の強打で松平にうまさを出させる隙を与えずストレートで圧倒すると、その勢いで続くダブルスも物にしてリコーが王手をかける。
4番は山本が神の気迫あふれる両ハンドに押されて落とし、勝負の行方はラストの郡山対高木和にゆだねられた。
会場がどよめくような大胆なカウンターを放つ郡山と、しぶとくドライブをねじ込む高木和の試合は激しく打ち合いながらゲームオールまでもつれたが、「攻めていくことだけを意識した」という郡山が最後は劇的な回り込みカウンターを高木和のコートに突き刺し、リコーの初優勝を決めた。
■リコー・工藤一寛監督のコメント
関西卓球アカデミー、日鉄物流ブレイザーズとの接戦、そしてこの決勝を越えての優勝なので、なんか本当に......。選手ももちろん目標にはしていたと思うんですけど、ちょっとびっくりしている部分はあると思います。
(決勝のファースト戦は)ドリームチームということで、僕の中では名前負けしているところは少しあったんですけど、選手たちは本当に試合前から全員で「奇跡を起こそうぜ!」という言い方をしていて、笑顔でリラックスしてプレーしてくれました。小野寺がまさにそんな感じで、1番いいプレーが決勝で出ました。松平くん相手でなかなか難しいと思っていましたが、あそこで一気に流れが変わりましたね。
ラストで勝った郡山は、あれだけブンブン振るので、良い試合悪い試合を繰り返すんです。今日みたいな試合が安定してできたら日本代表です(笑)。でも、そういう波がある中で、大舞台で爆発力が出せるのは彼の才能だと思っています。高木和くんの粘りは誰もが認めるところで、そこを勝ちきるんですから。
新人の中村も、愛知工業大学から初めてうちに入社したんですが、非常に明るくてチームに良い刺激をもたらしてくれています。決勝はちょっと緊張してしまいましたね(笑)。
うちは5人しかいないので適材適所です。真面目な山本がいて、しっかりしてきた郡山がいて、みんなに順応する高取がいて、とことん納得いくまでやる小野寺と中村がいて、すごくいい5人。そのチーム力が本当に大きかったと思います。
普段の練習は仕事が終わってからの短時間なので、外部の方たちに解放しており、吉村選手(吉村真晴)や大藤選手(大藤沙月)、横井選手(横井咲桜)など男女を問わず多くのトップ選手の方々が練習に来てくれています。昨日も吉村選手から「頑張ってください」と連絡をいただきました。そうしたいろいろな方の支えがあってできた優勝だと思います。
7月に日本リーグの理事会があり、うちの山下(山下良則氏)が会長になったばかりなので、良いニュースが届けられると思っています。決勝は、「日本リーグのために優勝したい」と選手たちに伝えましたし、偉そうに言うつもりはありませんが、日本リーグ代表という気持ちを持って戦いました。
【2位 ファースト】
【3位 クローバー歯科カスピッズ】
【3位 協和キリン】
高木和、松平健太、神、丹羽とドリームチームといって差し支えない陣容で優勝候補筆頭の呼び声高かったファーストだったが、惜しくも悲願に届かず。準決勝の協和キリン戦ではラストで高木和が踏ん張ったが、決勝では郡山の果敢なカウンターに寄り切られてしまった。
優勝はならなかったが、選手たちのテクニックは健在で、まだまだ力があるところを示した。昨年からワンランクアップの2位だが、当然チームは満足していないだろう。来年こそは悲願の優勝に手が届くか注目だ。
3位のクローバー歯科カスピッズは、順当に勝ち上がったが、リコー戦ではトップでエースの松下が競り負けたのが響き、2022年以来の優勝ならず。
もう一方の3位、協和キリンはスーパールーキーの宇田が2点取りの活躍でファーストに迫ったが、ラストで渡辺が高木和との壮絶な打ち合いに敗れ、決勝進出はならなかった。
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日本卓球協会内大会サイト:https://jtta.or.jp/tour/24760
(取材=卓球レポート)