驚異の攻撃卓球で、張本智和(智和企画)、篠塚大登(愛知工業大)とパリ五輪代表を連破し、17歳で男子シングルス初優勝を遂げた松島輝空(木下グループ)。
劇的な優勝の背景にはどのような思いがあったのか。優勝後の記者会見での松島の言葉に耳を傾けてみたい。
--今の心境を教えてください。
松島 優勝できると思っていませんでしたし、優勝できて本当にうれしいです。
--今日はパリ五輪代表の張本智和(智和企画)選手、篠塚大登(愛知工業大)選手を破っての優勝でしたが、そのあたりはいかがですか?
松島 そうですね。本当にどちらも強い選手で、本当にそこまで来るのにも大変だったですし、自分がパリ五輪に出られない悔しさもあったので、いつか倒したいと思っていたので、この全日本の大舞台で勝つことができて本当にうれしかったです。
--大舞台で出せた今日の一番のベストプレーと持ち味を教えてください。
松島 バックハンドが自分の特徴なので、それをうまく活かせるようなプレーだったり。あとは本当に今日は家族の声援があったので本当に勝ちたいという気持ちが強くなって、それで本当に足で動いたと思いますし、最後はフォアハンドでいけたので、最後は足で動けたのが良かったと思います。
--家族の方からは試合前にはどのような声かけがありましたか?
松島 張本選手とやる前は正直、厳しいと思っていたので、「自分の全力を出してやることをやってこい」って、本当にいろんな方々から声をかけてもらって、最後に全部出し切った結果、勝つことができたので本当に良かったかなと思います。
--ご家族の方とお祝いする予定はありますか?
松島 特にこれっていうのは考えてないんですけど、旅行に行こうという話はあったので、旅行に家族で行って楽しみたいなと思っています。
--ちなみに優勝賞金100万円は何に使いますか?
松島 そうですね。難しいですね。服。ディーゼルが本当に好きなので、ディーゼルの服だったり、あとはご飯はよく食べるので、ご飯どっか食べに行きたいなと思っています。
--パリ五輪にリザーブで帯同して、葛藤もあったと思いますが、経験や糧になったりしたことがあったら教えてください。
松島 そうですね。正直、パリオリンピックに行って何か自分の技術が良くなったとか、何か(得るものが)あったかと言われたら、オリンピックの環境を味わえたのみだと自分は思っていて、でも、悔しい気持ちが本当に強くて、その悔しい気持ちがあったから、日頃の苦しい練習を乗り越えられたと思うので、その悔しい気持ちが一番生きたかなと思います。
--「張本選手に勝つのは難しいと思っていた」とか、「優勝できると思っていなかった」とか、松島選手は本来強気の言葉を発する選手でしたが、今回は控え目だと感じます。その理由を教えてください?
松島 そうですね。ジュニアの部だったら強い気持ちを持って優勝ができると思っているんですけど、やっぱり一般の部で張本選手ということで、今勢いに乗っているので、自分は今2連敗して本当に簡単に負けていますし、強すぎたので、本当に思い切った発言はできなかったです。
--全日本といえばなかなか実力を出し切れずにジュニアの時も、昨年だったり、思うような結果が出せなかったのかなと思います。今回はどことが違って、このような素晴らしい結果になったと考えますか?
松島 そうですね。ジュニアの部は去年は優勝することができたんですけど、やっぱり何度も優勝のチャンスを逃していて、自分の気持ちが奮い立たなかったというか、1球目から全力でいけなかった部分が多かったんですけど、今回は一般だけに絞って、一戦一戦全力で本当に海外の試合で張本選手のプレーが印象的で、自分も見習おうという気持ちでに1球目からいけたのかと思います。
--張本選手も1球目から声を出す松島選手を始めてみたと話していましたが、今までとは違っていましたか?
松島 張本選手とは日頃から仲良くさせてもらっていて、直接話してもあんな姿を初めて見たとか、色々な方々から声をかけられるんですけど、自分も本当にこの全日本に懸けていましたし、その懸けていた思いが今日ぶち当たったかなと思います。
--ロサンゼルス五輪を考えたときに、今大会の優勝はどんなものになりましたか?
松島 ロサンゼルスに行くためには世界で勝つのも大事ですけど、国内でもある程度は勝てないといろんな方々から応援をされないですし、やっぱり日本でしっかり勝って、世界で勝つことも大事だと思うので、まずは日本の舞台で一歩勝つことができたと思います。
--パリオリンピックの帯同中は、どのタイミングで一番悔しさを感じましたか?
松島 そうですね。正直、全部。試合中だったら「自分が出たら勝てるのに」と思いますし。まずは、空港ですね。リザーブと選手は立場だったり飛行機の席だったり、そういう面を見ているときに悔しい気持ちが一番湧いてきたと思います。
--パリ五輪の代表を逃してから、課題として今日まで磨いてきたことは、どのような部分が大きいでしょうか?
松島 特にこれという技術はないんですけど、自分のバックハンドだったりサービス・レシーブこの手の技術は本当に大事になってくるので、そこをしっかりと調整して、あとはフォアハンドもミスせず、いいボールを常日頃から打てるように、そういう練習をよくしています。
--フォアハンドの練習は、どのような練習をしていますか?
松島 特に普段、みんなとは変わらないと思うんですけど、1本1本だったり、少し3点だったり、大きく動いて自分のボールで打てるような練習をしていました。
--今日はフォアハンドがすごく光ったと思うんですけど、ご自身の中でのフォアハンドの評価はいかがでしょうか?
松島 100%かというとまだ100%ではなかったですけど、でも自分の狙っているボールはしっかりと打つことができたので、ある程度はいいボールを打てたと思います。
--ゾーンに入っているように見えましたが、試合中の精神状態はどうでしたか?
松島 試合中も周りはよく見えていましたし、ゾーンに入っていたというよりは自分の落ち着いたプレーが1球1球、考えながらできていたかなと思います。
--メンタルコントロールはこれまで課題の部分だったと思いますが、今回はうまくいったようなところはありますか?
松島 特にこれをやったとか、メンタルなど何をやったというのは何もないんですけど、1球目からまずは声を出していくという姿勢が良かったかなと思います。
--これまでも世界で戦ってこられたと思いますが、日本チャンピオンの立場で、2025年というのはどういう年になってくるのか教えてください。
松島 まずは2025年は全日本優勝するということを第一目標にしていたので、それを達成することができて本当にうれしいですし、まずはWTTも続きますし、あとは世界卓球で、今回はシングルスには出れないんですけど、ミックスダブルスと男子ダブルスで、張本美和選手と張本智和選手と組ませていただくので、まずはメダル、そして金メダルを目指して頑張っていきたいなと思っています。
--将来の目標と理想の選手像を教えてください。
松島 そうですね。やっぱり昔が夢にしているオリンピックのメダルというのは今でも変わらないし、自分が憧れだった馬龍選手(中国)も今引退してしまったんですけど、安定感であったり、精神力というのは今でも一流だなと思いますし、将来は馬龍選手のような安定感を持った選手に自分がなっていけたらいいかなと思っています。
--いい意味で17歳っぽくないというか、すごい大人な対応だと思うんですけど、優勝した時でさえちょっと冷静な感じというか、そういう性格なんですか?
松島 そうですね(笑)。あんまり感情には出ないと思います。でも、心の中ではうれしいです。
--あえて感情の起伏は少なくしているのですか?
松島 特に意識はしていないです。
--今回の優勝が歴代で、張本さん、水谷隼(木下グループ)さんに次ぐ年少で優勝しているんですけど、その点についてはいかがですか?
松島 そこらへんはこの全日本の前も全然気にしなかったですし、やっぱりいつ取っても優勝っていうものは全然違うと思うのでそこらへんは全然気にせず今回はプレーしました。
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