主戦武器のコントロールを高める練習を徹底的にやろう
サービスを持ったとき、レシーバー側の意表をつくナイスサービスを出した。レシーブにまわったとき、サーバー側の意表をつくナイスレシーブをした。
じょうずな選手は、このような展開になったときは絶対といってよいほどモノにする。めったにミスをしない。へたな選手は、せっかくのチャンスを焦って攻撃ミスしたり打球点を落としてつないだりして相手を立ち直らせてチャンスを自らつぶしてしまうことが多い。
有利なラリー展開に持ち込んだときもそうだ。じょうずな選手は相手の動きを見ながら攻めて確実に得点するが、へたな選手は「チャンス!」と力んでエースボールをミスしたり、絶好のチャンスボールをスマッシュミスしたりする。チャンスに確実に点を取ることができない。こんなことでは勝てるゲームでも勝つことはできない。実にもったいないことだ。
では、チャンスボールを確実にモノにするにはどうしたらいいか!?それには基礎練習と主戦武器の反復練習をしっかりやることだ。それと、試合の当日まで体力の調整に気を配ること。精神面の強化をしっかりやることが非常に大切だ。というのは、良い攻撃や切れ味の鋭いボールを出すには、剣道でよく使う「気心体」がピタリと一致してはじめて真のナイスボールがだせるからだ。「気心体」の気は気構えということ。つまり「気心体」の一致とは、気構えと心と体が一つにならなければいけないということだ。
だから夏は健康管理に十分に気をつけながら、大会の一週間前までは中学生であれば3㎞前後のランニング、高校生以上であれば5㎞前後のランニングかダッシュとジョギングを交互に入れたインターバル・トレーニングをやる必要がある。
そのほかにも、腕立て伏せ、腹筋、懸垂(けんすい)。反射神経をよくするバーピーや180度転回(正確に全力で行ない15秒間で何回できるかテストする)などのトレーニングを行ない体力をつける必要がある。そして大会の4日ぐらい前から半分ぐらいの量に減らしてコンディションを整えていく。私の経験からこれらをやらずしては、絶対に真のナイスボールを打ち込むことができないものだ。夏は暑い。トレーニングは苦しい。だが、体力トレーニングを十分にやっておけば試合のときに非常にラクなものだ。
また、トレーニングをやるときは、早朝か夕方になってからの涼しい時間を選んでやるように心がけよう。
精神面の強化のため学校、家での生活、礼儀作法、コートマナーをしっかりやろう
心の強化も絶対にやらなければいけないことだ。心の強化は、トレーニングをやることによって試合のときに大切な忍耐心や頑強な心がついていくがこれだけでは足りない。強豪とぶつかったとき、苦しい試合展開にぶつかったとき、思わぬ場面に遭遇したときなどは冷静に試合を進めることができなければならない。
どんな場面にぶつかっても冷静にプレイするためには、日常生活からスポーツマンらしいキチンとした生活を送ることが大切だ。学校や職場ではキチンとしていても、家へ帰る途中や家でわがままな行動をするのでは進歩しない。
それから、礼儀作法やコートマナーをしっかりやることも非常に大切だ。これができない選手は、精神が不安定でたとえ力があっても大きくリードすると自信過剰から油断をしたり、緊迫したゲームになると焦りばかりが先に出て固くなって負けることが多い。
しかし、いまあげた3つのことをしっかりやれる選手は、自分の気持ちをコントロールすることができるので、試合でもあがることや固くなることを防げ、思い切ったプレイができるようになる。この自分の気持ちをコントロールできることは、試合のとき非常に大切なことだ。私は、これらのこともしっかりやらなければ絶対に最高の調子に持っていくことはできないと思う。
技術的には主戦武器の反復練習からのスマッシュをからだで覚えるまでやろう
技術的には、どのような練習を主にやるとよいか!?
私の経験では、先月号で述べたサービスからの3球目攻撃とレシーブからの4球目攻撃に全力を傾けたオールサイドの練習をまずやること。そしてその次は"主戦武器の反復練習を徹底的にやること"だと思う。
なぜならば、サービス、レシーブからのオールサイドの練習のときは、しっかりとした体勢で打てるのはごく少ない。ほとんどが動きながらや空中姿勢での無理な態勢で打つことが多く、そのために知らず知らずのうちにフォームが狂い本番のときに調子を崩してしまうからだ。ゲーム練習しかやらない選手は、これが原因でスランプになることがよくある。
このようなことが起こらないようにいくら大会直前でも、主戦武器と主戦武器を安定させる基礎練習を、たとえ練習時間が短くても一球一球身を入れてやることが必要だ。そこで戦型別に主にどのような練習をしたらよいか述べよう。
ドライブ型はドライブ対ドライブ、ドライブからのスマッシュ、ショート対ドライブを徹底的にやる ―ドライブ型―
ドライブ型は、ドライブで攻めてチャンスを作るわけだから、ドライブが入らなければ勝つことはむずかしい。ドライブの調子が悪いからといって、スマッシュによる速攻に切りかえたらミスが多く出るし、前陣攻撃型と対戦したとき攻めの速さのテクニックは前陣型のほうが上で打ち負けることが多い。
私も、ドライブの調子が悪いとき、ときどき速攻で勝負してみたがやはり速攻型にはかなわなかった。それでドライブに再びもどって戦ったことがよくあるが、やはりドライブマンはドライブでチャンスを作ってからスマッシュを打ち込むのが一番得点しやすい。したがってドライブマンは次のようなドライブで攻める練習を十分にやっておく必要がある。
ドライブの反復練習
①ショートを全力ドライブで攻める
②強打を逆に全力ドライブで攻め返す
③全力ドライブを全力ドライブで攻め返す
この練習を十分にやった次は、決定球のスマッシュを強化するため、8分(ぶ)ぐらいのドライブで4~5本打ち返したあとスマッシュする練習をしよう。この練習をやっておくと、"ここ一本"という試合のヤマ場でも思い切ってスマッシュを打ち込めるようになる。
ツッツキをドライブで攻める
ドライブマンは、ツッツキをドライブで攻める練習も非常に大切だ。この練習を十分にやっておくと、コートから1バウンドで出てくる変化サービスやサービスからの3球目攻撃にミスが少なくなるし、その他のドライブのコントロールがよくなるので身を入れて練習しよう。
①ツッツキ対ツッツキから回り込んでドライブで攻める。これを十二分にやり次にドライブをかけた後にスマッシュを入れよう
②バック側からだけでなく、ツッツキをフォア側にも返してもらいフォア側から攻める練習もやる
③ツッツキレシーブをしてもらい、3球目攻撃、ストップレシーブしたのをツッツキで返してもらい4球目攻撃する練習もやっておく
しかし、ドライブマンだからといって、ドライブからのスマッシュのパターンに固定してしまうと慣れられてしまうので、ショートを強打で攻める、強打対強打、ツッツキをいきなりスマッシュするというように、いきなり強打やスマッシュを打ち込む練習もやっておく必要がある。
それと、ドライブマンはフットワークが生命であるゆえに、左右、前後のフットワークも十分にやっておこう。
ショートから回り込んでスマッシュ、ツッツキ打ち、強打をショートで止める練習を多くやる ―前陣攻守型―
前陣攻守型は、前陣フォアハンド強打、ショート、ツッツキ打ちが入らなければ試合にならない。それらが入らないからといって、相手の打ってくるボールを軽くつないでばかりいたらボールに威力がないため、相手に思うように攻め込まれてしまう。前陣攻守型はやはり、ショートで攻撃できる位置かバックハンドで攻撃できる位置から前でプレイし、飛んでくるバウンドの頂点をとらえて先手、先手と攻めていくことが大切だ。したがって前陣攻守型は次の練習が必要だ。
①コートから70センチ程度離れ、強打対強打
②相手にドライブをかけてもらいフォア強打と、ショートで止める、またはプッシュショートで攻める
③相手のプッシュショートを連続強打で攻める
④ショート対ショートから回り込んでフォアハンドスマッシュ。ショートをフォア側に返してもらいスマッシュ
⑤ツッツキ打ちをフォア側からもバック側からもやる
⑥相手にショートを全力でスマッシュしてもらい、それをショートで止める(からだの正面でとるようにすると返しやすい)
⑦試合で使うサービスを強化する
⑧カット打ちの練習をする
⑨サービスから3球目、レシーブから4球目の練習を十分にやる
⑩前陣攻守型もフットワークが生命なので、左右、前後のフットワークを十分にやる
中でも前陣攻守型は、自分が打つ一球目の攻撃が非常に大切なので、①、②、⑤、⑦、⑨の練習を特に身を入れてやる必要がある。
カット主戦型はスマッシュを拾うことと、前後のフットワーク練習をみっちりやろう
―カット主戦型―
カット主戦型には、相手の攻撃を拾いまくるカットマンと変化をつけて積極的に反撃する攻撃的なカットマンの2種類の型がある。
まず拾いまくるカットマンから述べる。このようなタイプには、相手はドライブだけでなくストップからの強打やツッツキからの強打、または強打の連続からのストップなどで前後に激しくゆさぶって攻め崩そうとしてくる。それに対しカットで何本も粘り強く拾えなければならない。そのため、カットで拾いまくるタイプは次のような練習を重点的にやることが必要だ。
基礎練習
①相手にゆるいドライブ、または速いドライブで何本も打ってもらい、カットをノーミスで返す基礎練習
前後動
②クロス、またはストレートの1コースで、ドライブとストップを交互に打ってもらいそれをすばやく動いてカットで返す
③1コースでドライブとストップを試合と同じように不規則に打ってもらい、すばやくカットで返す
④全面に②と同じように攻めてもらい、それを素早く動いて相手のワンサイドに返す
スマッシュを拾う
現日本チャンピオンの高島選手、世界ランク16位の五藤選手がよくやっている練習を紹介しよう。
①1コースで4~5本目にカットを高く浮かせて返球、それを思い切りスマッシュしてもらいカットで返す
②①ができる選手はスマッシュをカットで返したのをコートから1バウンドで出るストップで返してもらい、それを前に素早く動いてロビング気味のボールで返す。それを再び1コースにスマッシュしてもらい①と同じように素早く動いてカットで返す、を繰り返す
このスマッシュを拾う練習は、体力の消耗が激しく苦しい練習だが、スマッシュを拾う技術がすばらしく向上する練習で、ぜひ取り入れたほうがよいと思う。
積極的に反撃するカットマンはカットからのスマッシュを多くやろう
アンチトップスピンラバーやイボ高ラバーを使用している選手に多いが、積極的に反撃するカット型は、これまで述べた練習の他に、ツッツキをスマッシュ、ドライブをカットからスマッシュ、ストップを飛び込んでスマッシュ、またはサービスレシーブからの攻撃の練習をたくさんやっておくことが必要だ。
ロビング打ちを必ずやっておこう
それと必ずロビング打ちをやっておこう。というのは、1試合のうちに必ず3~5本はロビングやフラフラと高く舞いあがったボールを打つことがあるからだ。この練習をやっておかないとボールがどちらに曲がるか、どの程度伸びるか判断しにくい。また、腕を高く振り上げることができないことから試合で痛恨のミスがでる。そしてこのミスが原因で敗れる選手が意外に多い。こんなことのないように強い学校は、練習の最後には必ずロビング打ちをやって終えるが、やっていないチームはぜひ取り入れたほうが良いと思う。
サービスを持ったとき、レシーバー側の意表をつくナイスサービスを出した。レシーブにまわったとき、サーバー側の意表をつくナイスレシーブをした。
じょうずな選手は、このような展開になったときは絶対といってよいほどモノにする。めったにミスをしない。へたな選手は、せっかくのチャンスを焦って攻撃ミスしたり打球点を落としてつないだりして相手を立ち直らせてチャンスを自らつぶしてしまうことが多い。
有利なラリー展開に持ち込んだときもそうだ。じょうずな選手は相手の動きを見ながら攻めて確実に得点するが、へたな選手は「チャンス!」と力んでエースボールをミスしたり、絶好のチャンスボールをスマッシュミスしたりする。チャンスに確実に点を取ることができない。こんなことでは勝てるゲームでも勝つことはできない。実にもったいないことだ。
では、チャンスボールを確実にモノにするにはどうしたらいいか!?それには基礎練習と主戦武器の反復練習をしっかりやることだ。それと、試合の当日まで体力の調整に気を配ること。精神面の強化をしっかりやることが非常に大切だ。というのは、良い攻撃や切れ味の鋭いボールを出すには、剣道でよく使う「気心体」がピタリと一致してはじめて真のナイスボールがだせるからだ。「気心体」の気は気構えということ。つまり「気心体」の一致とは、気構えと心と体が一つにならなければいけないということだ。
だから夏は健康管理に十分に気をつけながら、大会の一週間前までは中学生であれば3㎞前後のランニング、高校生以上であれば5㎞前後のランニングかダッシュとジョギングを交互に入れたインターバル・トレーニングをやる必要がある。
そのほかにも、腕立て伏せ、腹筋、懸垂(けんすい)。反射神経をよくするバーピーや180度転回(正確に全力で行ない15秒間で何回できるかテストする)などのトレーニングを行ない体力をつける必要がある。そして大会の4日ぐらい前から半分ぐらいの量に減らしてコンディションを整えていく。私の経験からこれらをやらずしては、絶対に真のナイスボールを打ち込むことができないものだ。夏は暑い。トレーニングは苦しい。だが、体力トレーニングを十分にやっておけば試合のときに非常にラクなものだ。
また、トレーニングをやるときは、早朝か夕方になってからの涼しい時間を選んでやるように心がけよう。
精神面の強化のため学校、家での生活、礼儀作法、コートマナーをしっかりやろう
心の強化も絶対にやらなければいけないことだ。心の強化は、トレーニングをやることによって試合のときに大切な忍耐心や頑強な心がついていくがこれだけでは足りない。強豪とぶつかったとき、苦しい試合展開にぶつかったとき、思わぬ場面に遭遇したときなどは冷静に試合を進めることができなければならない。
どんな場面にぶつかっても冷静にプレイするためには、日常生活からスポーツマンらしいキチンとした生活を送ることが大切だ。学校や職場ではキチンとしていても、家へ帰る途中や家でわがままな行動をするのでは進歩しない。
それから、礼儀作法やコートマナーをしっかりやることも非常に大切だ。これができない選手は、精神が不安定でたとえ力があっても大きくリードすると自信過剰から油断をしたり、緊迫したゲームになると焦りばかりが先に出て固くなって負けることが多い。
しかし、いまあげた3つのことをしっかりやれる選手は、自分の気持ちをコントロールすることができるので、試合でもあがることや固くなることを防げ、思い切ったプレイができるようになる。この自分の気持ちをコントロールできることは、試合のとき非常に大切なことだ。私は、これらのこともしっかりやらなければ絶対に最高の調子に持っていくことはできないと思う。
技術的には主戦武器の反復練習からのスマッシュをからだで覚えるまでやろう
技術的には、どのような練習を主にやるとよいか!?
私の経験では、先月号で述べたサービスからの3球目攻撃とレシーブからの4球目攻撃に全力を傾けたオールサイドの練習をまずやること。そしてその次は"主戦武器の反復練習を徹底的にやること"だと思う。
なぜならば、サービス、レシーブからのオールサイドの練習のときは、しっかりとした体勢で打てるのはごく少ない。ほとんどが動きながらや空中姿勢での無理な態勢で打つことが多く、そのために知らず知らずのうちにフォームが狂い本番のときに調子を崩してしまうからだ。ゲーム練習しかやらない選手は、これが原因でスランプになることがよくある。
このようなことが起こらないようにいくら大会直前でも、主戦武器と主戦武器を安定させる基礎練習を、たとえ練習時間が短くても一球一球身を入れてやることが必要だ。そこで戦型別に主にどのような練習をしたらよいか述べよう。
ドライブ型はドライブ対ドライブ、ドライブからのスマッシュ、ショート対ドライブを徹底的にやる ―ドライブ型―
ドライブ型は、ドライブで攻めてチャンスを作るわけだから、ドライブが入らなければ勝つことはむずかしい。ドライブの調子が悪いからといって、スマッシュによる速攻に切りかえたらミスが多く出るし、前陣攻撃型と対戦したとき攻めの速さのテクニックは前陣型のほうが上で打ち負けることが多い。
私も、ドライブの調子が悪いとき、ときどき速攻で勝負してみたがやはり速攻型にはかなわなかった。それでドライブに再びもどって戦ったことがよくあるが、やはりドライブマンはドライブでチャンスを作ってからスマッシュを打ち込むのが一番得点しやすい。したがってドライブマンは次のようなドライブで攻める練習を十分にやっておく必要がある。
ドライブの反復練習
①ショートを全力ドライブで攻める
②強打を逆に全力ドライブで攻め返す
③全力ドライブを全力ドライブで攻め返す
この練習を十分にやった次は、決定球のスマッシュを強化するため、8分(ぶ)ぐらいのドライブで4~5本打ち返したあとスマッシュする練習をしよう。この練習をやっておくと、"ここ一本"という試合のヤマ場でも思い切ってスマッシュを打ち込めるようになる。
ツッツキをドライブで攻める
ドライブマンは、ツッツキをドライブで攻める練習も非常に大切だ。この練習を十分にやっておくと、コートから1バウンドで出てくる変化サービスやサービスからの3球目攻撃にミスが少なくなるし、その他のドライブのコントロールがよくなるので身を入れて練習しよう。
①ツッツキ対ツッツキから回り込んでドライブで攻める。これを十二分にやり次にドライブをかけた後にスマッシュを入れよう
②バック側からだけでなく、ツッツキをフォア側にも返してもらいフォア側から攻める練習もやる
③ツッツキレシーブをしてもらい、3球目攻撃、ストップレシーブしたのをツッツキで返してもらい4球目攻撃する練習もやっておく
しかし、ドライブマンだからといって、ドライブからのスマッシュのパターンに固定してしまうと慣れられてしまうので、ショートを強打で攻める、強打対強打、ツッツキをいきなりスマッシュするというように、いきなり強打やスマッシュを打ち込む練習もやっておく必要がある。
それと、ドライブマンはフットワークが生命であるゆえに、左右、前後のフットワークも十分にやっておこう。
ショートから回り込んでスマッシュ、ツッツキ打ち、強打をショートで止める練習を多くやる ―前陣攻守型―
前陣攻守型は、前陣フォアハンド強打、ショート、ツッツキ打ちが入らなければ試合にならない。それらが入らないからといって、相手の打ってくるボールを軽くつないでばかりいたらボールに威力がないため、相手に思うように攻め込まれてしまう。前陣攻守型はやはり、ショートで攻撃できる位置かバックハンドで攻撃できる位置から前でプレイし、飛んでくるバウンドの頂点をとらえて先手、先手と攻めていくことが大切だ。したがって前陣攻守型は次の練習が必要だ。
①コートから70センチ程度離れ、強打対強打
②相手にドライブをかけてもらいフォア強打と、ショートで止める、またはプッシュショートで攻める
③相手のプッシュショートを連続強打で攻める
④ショート対ショートから回り込んでフォアハンドスマッシュ。ショートをフォア側に返してもらいスマッシュ
⑤ツッツキ打ちをフォア側からもバック側からもやる
⑥相手にショートを全力でスマッシュしてもらい、それをショートで止める(からだの正面でとるようにすると返しやすい)
⑦試合で使うサービスを強化する
⑧カット打ちの練習をする
⑨サービスから3球目、レシーブから4球目の練習を十分にやる
⑩前陣攻守型もフットワークが生命なので、左右、前後のフットワークを十分にやる
中でも前陣攻守型は、自分が打つ一球目の攻撃が非常に大切なので、①、②、⑤、⑦、⑨の練習を特に身を入れてやる必要がある。
カット主戦型はスマッシュを拾うことと、前後のフットワーク練習をみっちりやろう
―カット主戦型―
カット主戦型には、相手の攻撃を拾いまくるカットマンと変化をつけて積極的に反撃する攻撃的なカットマンの2種類の型がある。
まず拾いまくるカットマンから述べる。このようなタイプには、相手はドライブだけでなくストップからの強打やツッツキからの強打、または強打の連続からのストップなどで前後に激しくゆさぶって攻め崩そうとしてくる。それに対しカットで何本も粘り強く拾えなければならない。そのため、カットで拾いまくるタイプは次のような練習を重点的にやることが必要だ。
基礎練習
①相手にゆるいドライブ、または速いドライブで何本も打ってもらい、カットをノーミスで返す基礎練習
前後動
②クロス、またはストレートの1コースで、ドライブとストップを交互に打ってもらいそれをすばやく動いてカットで返す
③1コースでドライブとストップを試合と同じように不規則に打ってもらい、すばやくカットで返す
④全面に②と同じように攻めてもらい、それを素早く動いて相手のワンサイドに返す
スマッシュを拾う
現日本チャンピオンの高島選手、世界ランク16位の五藤選手がよくやっている練習を紹介しよう。
①1コースで4~5本目にカットを高く浮かせて返球、それを思い切りスマッシュしてもらいカットで返す
②①ができる選手はスマッシュをカットで返したのをコートから1バウンドで出るストップで返してもらい、それを前に素早く動いてロビング気味のボールで返す。それを再び1コースにスマッシュしてもらい①と同じように素早く動いてカットで返す、を繰り返す
このスマッシュを拾う練習は、体力の消耗が激しく苦しい練習だが、スマッシュを拾う技術がすばらしく向上する練習で、ぜひ取り入れたほうがよいと思う。
積極的に反撃するカットマンはカットからのスマッシュを多くやろう
アンチトップスピンラバーやイボ高ラバーを使用している選手に多いが、積極的に反撃するカット型は、これまで述べた練習の他に、ツッツキをスマッシュ、ドライブをカットからスマッシュ、ストップを飛び込んでスマッシュ、またはサービスレシーブからの攻撃の練習をたくさんやっておくことが必要だ。
ロビング打ちを必ずやっておこう
それと必ずロビング打ちをやっておこう。というのは、1試合のうちに必ず3~5本はロビングやフラフラと高く舞いあがったボールを打つことがあるからだ。この練習をやっておかないとボールがどちらに曲がるか、どの程度伸びるか判断しにくい。また、腕を高く振り上げることができないことから試合で痛恨のミスがでる。そしてこのミスが原因で敗れる選手が意外に多い。こんなことのないように強い学校は、練習の最後には必ずロビング打ちをやって終えるが、やっていないチームはぜひ取り入れたほうが良いと思う。
筆者紹介 長谷川信彦
1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960~70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
1947年3月5日-2005年11月7日
1965年に史上最年少の18歳9カ月で全日本選手権大会男子シングルス優勝。1967年世界選手権ストックホルム大会では初出場で3冠(男子団体・男子 シングルス・混合ダブルス)に輝いた。男子団体に3回連続優勝。伊藤繁雄、河野満とともに1960~70年代の日本の黄金時代を支えた。
運動能力が決して優れていたわけではなかった長谷川は、そのコンプレックスをバネに想像を絶する猛練習を行って世界一になった「努力の天才」である。
人差し指がバック面の中央付近にくる「1本差し」と呼ばれる独特のグリップから放つ"ジェットドライブ"や、ロビングからのカウンターバックハンドスマッシュなど、絵に描いたようなスーパープレーで観衆を魅了した。
本稿は卓球レポート1980年8月号に掲載されたものです。