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わたしの練習82枝野とみえ はばひろい攻撃パターンの習得

 ~高校より少ない練習時間~

 ―大学生活はいかがですか?
枝野 練習時間が短いですね。大学生になったら一日中でも練習できるのかと思っていました。1週間のうち、火・水・日曜日は午後1時から5時までで、木・金・土曜日が朝6時から7時半までの1時間半の練習時間ですが、そうじに30分ぐらいかかりますので、実質的には1時間ぐらいです。夜は毎日6時から8時まで練習ができますが、月・木曜日は卓球台が2台しかない所ですし、寮の門限が8時なので十分にやるというわけにはいきません。
 大学にはいったら、自分1人で練習を考えてやらなければいけないということは、久保学園にいたときから藤井先生に聞いていましたし、高校でも自分で練習内容をきめてやるように指導されていましたし、そんなに苦にはなりません。
 ただ、やはり2時間でもいいからきまった練習時間がコンスタントにほしいですね。
 ―それはきびしいですね。だけど、そういう環境の人は多いと思います。自分がどうしても強くなりたいと思ったら、学校の練習でたりないぶんはよその学校にいって練習させてもらうとか、有料の卓球場にいってでも練習する方法があるんじゃないの。長谷川選手を例にとっても、仕事が終わったあと早稲田大学にいったり、卓球会館にいって3年間も練習をつづけているし...。
枝野 私もそう思います。大学にはいったばかりでなかなかきっかけがつかめなかったので...、必要性を感じたら決断しなければいけませんね。

 ~思いきってやれたリーグ戦~

 ―関東学生リーグや日中対抗に出場した感想を。
枝野 リーグ戦は4勝1敗でした。1年生ですし、思いきってやれました。気楽にやれたのがよかったと思います。大関(青山学院)さんとやったとき、高いドライブをずいぶんねらい打ちされました。その後は沈むドライブを使って成功しました。
 日中対抗はかたくなりました。ある程度沈むドライブが通用することがわかりましたが、やはり、長谷川さんのようにフォアもバックも打てないとすぐ弱点をねらわれますね。1セット目は朱乃貞選手のミドルとフォア側にドライブを散らして成功したんですが、2セット目以降はミドルにボールを集めすぎて、ショートで止められ負けました。それと、リーグ戦で小沼(中大)さんとやったときの後半と同じようにバック側にツッツかれて、なかなか得意のドライブを打てる態勢にさせてもらえなかった。バックハンドがあまり振れないものだから、バック側は回り込んだとき以外はバッククロスにショートカットしてくることを読まれたんだと思います。

 ~ボストワ型を目指して~

 ―藤井先生がこう語っておられた「枝野がはいってきたのは、私がミュンヘン世界選手権のコーチをやらせてもらい、ボストワ(チェコ)のプレーを見て、こういうタイプの選手をつくってみたいなぁと思っていたときだった。それで、それまでカット主戦だった枝野を、ドライブをかけバックハンドを振る戦型にかえさせた。
 ヒップが小さいし、下半身が弱かったということもあって、カットマンには不向きだとも思ったし...。
 一番苦労したのはラケットですね。ドライブのオーバーミスがものすごく多かった。そのフォームのままで一発の威力を生かしたかったので、柄の部分をまげてピストル型のラケットを使わしたりして、ようやく現在の柳のラケットにかえてからよくなったんです。レシーブを本格的にバックハンドではらわせたのは卒業直前からだったのでめったにレシーブからバックハンドを振ることがなかったが、もっとバックハンドを振ってボストワみたいな選手になってもらいたいですね」
 レシーブの自然体が悪いということもいっておられたけど、レシーブのかまえを見ると、レシーブではバックハンドが振りにくい感じがするけど...。フォアでは動きやすそうですが...。
枝野 レシーブでバックハンドを振ろうか、フォアで回り込むかいま迷っているところなんです。回り込むとフォア側が遠くなるし、いままでは、バック側へきたボールはショートカットを使っていましたが、どうしても単調になりやすいし、強い人にはねらわれやすいですね。日中対抗なんかでも、長谷川さんのバックハンドが生きていたし、バックハンドの得点のほうがフォアハンドのドライブより多かったようですし、中国の選手を見ても15-15なんかのせり合ったときなど、モーションやタイミングをかえ、それまで見せたことのないような攻め方をしますね。攻撃が多彩なんですね。日本の選手は中国の選手に比べると攻撃パターンが単調で、すぐ見破られていたようでした。
 ―卓球はいつから。
枝野 岩手・箱石中学2年の夏からです。最初はカットマンだったんです。中学時代はいい成績をあげられなかったんですが、中学卒業後川徳デパート(岩手)に就職したんです。そのころ川徳には練習場がなくて、久保学園で練習させてもらっていたんです。それで藤井先生が学校にこないかって誘ってくださったんです。
 最初は家で反対されていた卓球も、今野安子(久保学園出)さんや川徳デパートなどの活躍もあって私も刺激されましたし、両親も理解してくれるようになりました。

 ~ドライブからの連けいプレーに重点~

 ―今の練習は。
枝野 規定練習(火・水・日曜日)のときは、乱打とフットワーク10分間を2回、それからは水村コーチにアドバイスされた技術の練習です。私の場合、試合になるとどうしても振りが鈍くなるし、ドライブをかけたあとの態勢が悪いため、次の攻撃がつまってしまうことが多いし、そういった負け方が多いんです。だから、ドライブと角度打ち(早い打球点で打つ)の連けいプレーの練習に重点をおいています。そのほかは自由なんです。私はあとサービスから3球目・5球目の練習を多くやっています。ミドルにきたボールはフォアで処理するようにしています。グリップはフォアハンドを振るときもバックハンドを振るときも不便さはありませんが、全体的に浅いにぎりになりました。
 私の場合、問題は夏なんです。夏バテがすごいんです。食べるものも食べられなくなるんです。体重はへるし、精神的にも不安定になってくる。ミートが弱くなるし、夏は負ける試合が多いんです。
 試合でも練習でもスイングを速くということを心がけています。以前はがんばればいい試合ができると思ってやってきましたが、最近はがんばれば勝てるんだと思えるようになりました。
 ドライブをかけるには足腰の強化が必要ですし、高校時代は学校の前の池の回りや、階段の登り降り、サーキットトレーニングをやりましたが、大学にはいってからは朝5~10分間ランニングをするだけなんです。
 新人戦で優勝し、関東学生リーグにも出場でき、幸運にも日中対抗にも出していただきました。目標としては世界選手権の日本代表になれるようがんばることですが身近な目標として、まず、関東学生選手権でベスト8にはいることです。

えだのとみえ 富士短大経済学部1年
関東学生新人戦優勝


(1972年7月号掲載)
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