(1)中学時代
入部した当時は、トレーニングと素振りのくり返し
中学時代を思い出してみると、卓球というスポーツがどんなに大変であるかということも知らずに入部した私でした。入部した当時は、毎日毎日が、トレーニングと素振りのくりかえし。ある時には、廊下の天井からボールをつるし、先生の指導のもとに、フォームをかため、フォームのできたものから順に台について打つことができました。(私は、その頃4・5番目に台についたのを記憶しています)
先生の勧めで、最初からカットマンとして、練習に入りました。まずは、基礎作り。その中には、フットワーク・連続スマッシュ・サービス・レシーブ等...。フォームが悪い時には、よく鏡の前で素振りをやりました。とにかく、入部してから約4~5カ月間は、素振りと体力トレーニングが中心でした。
次第にフォームもかたまり、やがて、自分の主戦型の練習にとりくみました。練習は、初級・中級・上級の三段階にわかれており、基礎・応用・システム実戦の順に習得していき、どの練習も必ず実戦に結びつかなければなりませんでした。
土曜・日曜日は、練習なしで試合にはいり、試合で悪かったところの練習が主でした。そんな練習の中で、自分の戦型というものが次第にかたまってきました。
(2)そして高校
練習量が豊富で、いろいろな練習ができる
高校生活は、中学時代と違い、練習量が豊富で、いろんな練習ができます。
まずは、朝のトレーニング。ランニング(長距離)、ダッシュ(短距離)、ダッシュ・アンド・ストップから始まります。
練習は、基礎練習のフットワーク・切り換え・ストップ処理・カット打ち等からはいります。
フットワークは、①オールフォアだけでカット ②オールバックだけでカットの1本1本まわしてもらう左右のフットワーク ③カットとストップの前後の動き ④フォアロングでの左右のフットワーク ⑤守備範囲を広げるために、B側でフォアカットをストレートにしていて何本目かにクロスへドライブをしてもらいフォアカット、F側でバックカットをストレートにしていて何本目かにクロスへドライブをしてもらいバックカット、のような練習もやっています。最初は、ドタバタして、ラケットに当たる程度でしたが、やっているうちに次第にとれるようになりました。
基礎練習をおわり、次に応用実戦システム練習にはいります。主に、半面実戦・カットから反撃等をやり、試合にはいっています。試合では、その日に練習した技術がだせるように、ミスしてもいいから思い切ってやっています。そして、明日の練習は、今日のミスを生かして、「こうであったから、こうであったのだな」というふうにして、明日の練習課題を作ることもあります。
カットだけでは、どうしても得点しにくいので、反撃の練習もしています。カットマンにも強くないといけないので、カット打ちをやり、振りを覚え、ショートカット(ツッツキ)からスマッシュ、またバックハンド。また、カットを少し高めに上げてもらって連続スマッシュをしたりして、カット打ちの強化もしています。
ロングマンに対しては、ボールをたくさん使用して、左右・前後に上げてもらい、オールフォアで打ったり、バック側にきたボールだけバックハンドで打ったり、また、ストップボールのように、小さくやってもらいカットした位置から、飛び込んでスマッシュなどの練習もしています。反対に、スマッシュをカットで拾うスマッシュ処理のほうは、カットを高めに返して、スマッシュしてもらい、フォアカット、バックカットとやり、次に、バックを何球かついてもらって、不意にフォア側へスマッシュ。それを飛びついてカット、というような練習をしています。
~バック側を木べらからアンチにかえた~
バック側が、木べらからアンチトップスピン・ラバーに変わったのは、昨年の9月の中頃でした(フォア側は裏ソフトラバー)。理由は、木べらだと、もう慣れられてしまって、あまり変化もつけられないので、アンチに変えました。使い初めは、木べらの時の振りでカットするクセがついており、全然相手コートにはいらず、ネットミスが多くて、慣れるまでは、大変でした。異質ラバーの特徴を生かすために、バック側がアンチだということがわかったらおしまいなので、ラケットをプレイ中に変えて、ショートカットしたり、カットしたりして、変化をつけるようにしています。また、サービスも、モーションの工夫等によって、裏ソフト面でサービスしたようにみせかけて、実はアンチ面で出したり、ということもしています。
ラケットを、くるくる変えていたら、チャンスボールが出てくるので、スマッシュの確実性を重要視し、練習にとりくんでいます。練習中、注意すべき点は、アンチでカットする場合と、裏ソフトでカットする場合の、振り・角度・押し等に注意することです。
ダブルスの練習は、おもに、レシーブ・受け身・ショートカットからスマッシュをやっています。レシーブ練習の場合には、なるべく、相手から3球目攻撃をされないような所への返球を心がけ、またレシーブで相手の意表をつくことができるように努めています。受け身は、相手に最初クロスに打ってもらい、ある程度できたらランダムに回してもらって、これもなるべく相手に強打されないように気をつけています。つづいて、ショートカットからのスマッシュは、クロスにショートカットをしてもらい、回り込んでスマッシュという方法と、ランダムにショートカットを回してもらい、変化をうまく利用して、チャンスボールを作り、それをスマッシュという方法での練習が多く、あとは試合をやり調整しています。私のパートナー(鎌田俊子さん)は、中学時代からのつきあいで、2人とも、長所・短所がわかっているので、試合の時には、パートナーの長所が出せるように、ミスがつづいてでたら、2人でミスの原因を考え、注意しながら試合をします。ダブルスの練習はこれぐらいです。
~卓球日誌で反省し、世界選手権選考リーグで刺激を受け~
中学時代から、卓球日誌を書き、心・技・体の3つに分けて、反省していきます。メモをとることによって、その日の練習でミスの多かった所の反省ができ、明日への課題、また目標をもつことができます。大会前には、相手の研究と作戦、自分の戦いかた、また精神状態を書いたりしています。
トレーニングのほうでは、サーキット・腕立て伏せ・ランニングが中心です。鉄アレイを使って手首の強化もやっています。
世界選手権の選考リーグ戦に参加させてもらっていますが、このリーグ戦において、私はいろいろなことを学ぶことができました。技術面においては、一流選手のカット、また反撃のコース等をじっくりと見ることができました。自分の技術と比べてみると、まだまだたくさんの課題があり、「よし、私ももっと、もっと努力して、少しでも早く強くなろう」という意欲がわいてきます。また、実際に試合をして感じたことは、せり合った時の「間」のとり方、試合運びでの精神面の大切さを、身にしみて知らされました。このリーグ戦を通して、いろんな方の話を聞くことができ、また、実際に1対1で話すことができるのが、私のなによりの楽しみであり、また勉強のひとつと思って、とてもうれしく思っています。
(3)これからのこと
これからは、このリーグ戦に学んだことをもとにして、インターハイまで、自分の卓球というものを作りあげたいと思っています。これからの課題は、守備範囲を広げるとともに、反撃の強化、特に、バックハンド強化に力をいれたいし、またカットの変化も考え、目標を持ち、可能性を信じて、張りつめた練習をやっていかなければと思っています。
かわひがしかよこ 全日本ジュニア1位
福岡・柳川商高
(1976年6月号掲載)
入部した当時は、トレーニングと素振りのくり返し
中学時代を思い出してみると、卓球というスポーツがどんなに大変であるかということも知らずに入部した私でした。入部した当時は、毎日毎日が、トレーニングと素振りのくりかえし。ある時には、廊下の天井からボールをつるし、先生の指導のもとに、フォームをかため、フォームのできたものから順に台について打つことができました。(私は、その頃4・5番目に台についたのを記憶しています)
先生の勧めで、最初からカットマンとして、練習に入りました。まずは、基礎作り。その中には、フットワーク・連続スマッシュ・サービス・レシーブ等...。フォームが悪い時には、よく鏡の前で素振りをやりました。とにかく、入部してから約4~5カ月間は、素振りと体力トレーニングが中心でした。
次第にフォームもかたまり、やがて、自分の主戦型の練習にとりくみました。練習は、初級・中級・上級の三段階にわかれており、基礎・応用・システム実戦の順に習得していき、どの練習も必ず実戦に結びつかなければなりませんでした。
土曜・日曜日は、練習なしで試合にはいり、試合で悪かったところの練習が主でした。そんな練習の中で、自分の戦型というものが次第にかたまってきました。
(2)そして高校
練習量が豊富で、いろいろな練習ができる
高校生活は、中学時代と違い、練習量が豊富で、いろんな練習ができます。
まずは、朝のトレーニング。ランニング(長距離)、ダッシュ(短距離)、ダッシュ・アンド・ストップから始まります。
練習は、基礎練習のフットワーク・切り換え・ストップ処理・カット打ち等からはいります。
フットワークは、①オールフォアだけでカット ②オールバックだけでカットの1本1本まわしてもらう左右のフットワーク ③カットとストップの前後の動き ④フォアロングでの左右のフットワーク ⑤守備範囲を広げるために、B側でフォアカットをストレートにしていて何本目かにクロスへドライブをしてもらいフォアカット、F側でバックカットをストレートにしていて何本目かにクロスへドライブをしてもらいバックカット、のような練習もやっています。最初は、ドタバタして、ラケットに当たる程度でしたが、やっているうちに次第にとれるようになりました。
基礎練習をおわり、次に応用実戦システム練習にはいります。主に、半面実戦・カットから反撃等をやり、試合にはいっています。試合では、その日に練習した技術がだせるように、ミスしてもいいから思い切ってやっています。そして、明日の練習は、今日のミスを生かして、「こうであったから、こうであったのだな」というふうにして、明日の練習課題を作ることもあります。
カットだけでは、どうしても得点しにくいので、反撃の練習もしています。カットマンにも強くないといけないので、カット打ちをやり、振りを覚え、ショートカット(ツッツキ)からスマッシュ、またバックハンド。また、カットを少し高めに上げてもらって連続スマッシュをしたりして、カット打ちの強化もしています。
ロングマンに対しては、ボールをたくさん使用して、左右・前後に上げてもらい、オールフォアで打ったり、バック側にきたボールだけバックハンドで打ったり、また、ストップボールのように、小さくやってもらいカットした位置から、飛び込んでスマッシュなどの練習もしています。反対に、スマッシュをカットで拾うスマッシュ処理のほうは、カットを高めに返して、スマッシュしてもらい、フォアカット、バックカットとやり、次に、バックを何球かついてもらって、不意にフォア側へスマッシュ。それを飛びついてカット、というような練習をしています。
~バック側を木べらからアンチにかえた~
バック側が、木べらからアンチトップスピン・ラバーに変わったのは、昨年の9月の中頃でした(フォア側は裏ソフトラバー)。理由は、木べらだと、もう慣れられてしまって、あまり変化もつけられないので、アンチに変えました。使い初めは、木べらの時の振りでカットするクセがついており、全然相手コートにはいらず、ネットミスが多くて、慣れるまでは、大変でした。異質ラバーの特徴を生かすために、バック側がアンチだということがわかったらおしまいなので、ラケットをプレイ中に変えて、ショートカットしたり、カットしたりして、変化をつけるようにしています。また、サービスも、モーションの工夫等によって、裏ソフト面でサービスしたようにみせかけて、実はアンチ面で出したり、ということもしています。
ラケットを、くるくる変えていたら、チャンスボールが出てくるので、スマッシュの確実性を重要視し、練習にとりくんでいます。練習中、注意すべき点は、アンチでカットする場合と、裏ソフトでカットする場合の、振り・角度・押し等に注意することです。
ダブルスの練習は、おもに、レシーブ・受け身・ショートカットからスマッシュをやっています。レシーブ練習の場合には、なるべく、相手から3球目攻撃をされないような所への返球を心がけ、またレシーブで相手の意表をつくことができるように努めています。受け身は、相手に最初クロスに打ってもらい、ある程度できたらランダムに回してもらって、これもなるべく相手に強打されないように気をつけています。つづいて、ショートカットからのスマッシュは、クロスにショートカットをしてもらい、回り込んでスマッシュという方法と、ランダムにショートカットを回してもらい、変化をうまく利用して、チャンスボールを作り、それをスマッシュという方法での練習が多く、あとは試合をやり調整しています。私のパートナー(鎌田俊子さん)は、中学時代からのつきあいで、2人とも、長所・短所がわかっているので、試合の時には、パートナーの長所が出せるように、ミスがつづいてでたら、2人でミスの原因を考え、注意しながら試合をします。ダブルスの練習はこれぐらいです。
~卓球日誌で反省し、世界選手権選考リーグで刺激を受け~
中学時代から、卓球日誌を書き、心・技・体の3つに分けて、反省していきます。メモをとることによって、その日の練習でミスの多かった所の反省ができ、明日への課題、また目標をもつことができます。大会前には、相手の研究と作戦、自分の戦いかた、また精神状態を書いたりしています。
トレーニングのほうでは、サーキット・腕立て伏せ・ランニングが中心です。鉄アレイを使って手首の強化もやっています。
世界選手権の選考リーグ戦に参加させてもらっていますが、このリーグ戦において、私はいろいろなことを学ぶことができました。技術面においては、一流選手のカット、また反撃のコース等をじっくりと見ることができました。自分の技術と比べてみると、まだまだたくさんの課題があり、「よし、私ももっと、もっと努力して、少しでも早く強くなろう」という意欲がわいてきます。また、実際に試合をして感じたことは、せり合った時の「間」のとり方、試合運びでの精神面の大切さを、身にしみて知らされました。このリーグ戦を通して、いろんな方の話を聞くことができ、また、実際に1対1で話すことができるのが、私のなによりの楽しみであり、また勉強のひとつと思って、とてもうれしく思っています。
(3)これからのこと
これからは、このリーグ戦に学んだことをもとにして、インターハイまで、自分の卓球というものを作りあげたいと思っています。これからの課題は、守備範囲を広げるとともに、反撃の強化、特に、バックハンド強化に力をいれたいし、またカットの変化も考え、目標を持ち、可能性を信じて、張りつめた練習をやっていかなければと思っています。
かわひがしかよこ 全日本ジュニア1位
福岡・柳川商高
(1976年6月号掲載)