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わたしの練習107梅田浩子 足を使うドライブ主戦の卓球を

 私が卓球を始めたのは、小学校の4年生の時でした。兄がやっていたことと、友だちに誘われたことがきっかけで始めたのですが、中学校の時は、卓球をやらず、再び高校から始めました。高校の卓球部に入った時は、フォア打ちとツッツキぐらいしか出来ず、いわゆるピンポンという感じでした。

 ~高校時代~

 ■「いつも卓球の事を考えて生活しろ!」


 高校は、岐阜県の麗沢瑞浪高校です。この学校は規律が厳しいうえ、全寮制で毎日の生活が限られていたので、クラブの時間は一日約2時間練習が出来ればよいほうでした。最高の成績でも県でベスト4であり、インターハイ出場が唯一の夢でした。
 高校では、時間が少ないこともあって、トレーニングなどは合宿の時以外はほとんどやらず、そのぶん台について打ちました。練習内容は自主課題が主でしたが、私の恩師でもあり、クラブの顧問でもあった池田先生にいろいろとご指導いただきました。1年生の終わり頃に、先生からドライブを教えていただき、その時、ドライブ主戦の選手になろうと思いました。ドライブを覚える時、またはコントロールをつけるためによくやった練習は、一人で多くのボールを使う"一本打ち"でした。単純な練習ですが、高校時代はこの練習を多くやったように思います。
 毎日の練習時間が短く、しかも長期の休みになると、皆それぞれ故郷に帰ったりして十分な練習が出来ず、他の学校と比べて大きなハンディがありました。それだけに中身の濃い練習をやるように心がけました。また、放課後の練習だけでは足りないと思い、少しの時間ではありますが、授業が始まる前に練習をしました。そして、その頃から先生によく、「いつも卓球の事を考えて生活しろ」という話を聞いて、たとえば、お風呂に入れば浴槽の中で、水圧を利用して手首を強化したり、道を歩いている時は、重いものは右手に持ち、素振りをしながら歩いたりもしました。こういった事は、早急に効果があるとは思いませんが、気持ちのうえで、少しでも強くなったような気がしました。
 以上のように、高校では、練習時間も少なく、高度な技術練習はほとんどやらなかったのですが、卓球に対する気持ちだけは、だれにも負けないということが大切だと思いました。
 そして、その時からお世話になっていた中京大学のOBの方に、中京大学を勧めていただき、ついていけるかどうかが心配でしたが、入学することになりました。
 中京大学は、思ったとおりの厳しい大学で、1年生の時は毎日がむしゃらに過ごしたという感じでした。練習も自分の思いどおりには出来ないことが多かったのですが、その1年生の時に、体力や精神力が養われ、それが今日(こんにち)に役立っているように思います。

 ~現在の練習内容~

 ■フットワーク練習を重視


 現在の私の練習内容は、主にフットワーク、強打対強打、サービスからの3・5球目攻撃、レシーブからの4・6球目攻撃、カット打ち、バックハンドを含む切り替えなどです。
 フットワークは、いろいろ練習方法がありますが、私は、ショートでランダムに動かしてもらい、オールフォアで打つフットワークをよくやります。また、最近では、前後のフットワークも含めてよく練習します。フットワークの練習の際には、手打ちにならないように、1本1本踏み込んで打つことを頭に入れてやるようにしています。私の卓球からいって、フットワークの練習は、多めに取り入れることを心がけています。
 強打対強打の練習は、相手が強打してきたボールでも、押されずに打ち返すことが出来るように、練習しています。試合の時でも、どうしても後ろにさがってプレーをしてしまうことが多いので、前について強打出来るように注意してやっています。
 サービスからの3・5球目攻撃の練習は、サービスを一定のコースに出して、レシーブをオールに返してもらい、なんとかして先に攻める練習をします。この練習や、レシーブから4・6球目攻撃の練習は、サービス、レシーブ、ツッツキ、ドライブ、スマッシュなど、すべてのプレーが含まれていて、実戦に結びつくものですから、よく練習するようにしています。
 カット打ちは、相手にワンコースからオールにカットをしてもらい、それをドライブで打ち返す練習を多くやります。また、異質ラバーのカットマンには、変化をつけてもらって、変化を見る練習を含めて行います。その時はラバーや音だけで判断するのではなく、ボールをよく見て変化を見わけるように心がけて練習をします。
 私は、オールフォアで攻める卓球を目指しているのですが、フォア側に大きく動かされた後、バックに攻められたボールを処理出来るように、バックハンドの練習もやるようにしています。主に、バックハンドとフォアハンドの切り替えの練習で、この時も、1本1本踏み込むことを頭に入れてやっています。あくまでフォアハンド主体ですので、バックハンドの練習は、不利になった体勢を逆転させるために行っています。
 この外、ボールをたくさん使って、連続スマッシュの練習やサービス・レシーブ練習をやります。

 ■体力トレーニング

 私の卓球においてトレーニングは欠くことの出来ないものです。主に行うトレーニングは、ランニング、腕立て伏せ、腹筋、サーキット、鉄アレイでの素振りです。特にランニングの時は、ただ単に走るだけではなく、ダッシュ、横跳びなどを入れて、インターバルで行うようにしています。やはり、トレーニングを欠かさずやれば、足がよく動くし、体も軽く感じられます。
 その外、中京大学では、トレーニング期間があり、その間はボールを打たずにトレーニングを中心に行います。主なトレーニングの種類は、ランニング、ダッシュ、なわ跳び、綱登り、マット運動、ボール取り、ウエートトレーニング、シャドープレー、サーキットなどです。大きな大会になれば、必ず最後には体力が必要となってきますので、毎日の練習の後にトレーニングを取り入れるようにしています。

 ■「やりこんで!」体で覚える

 以上が主な練習方法ですが、練習をする際に気をつけていることは、意識をして練習するということです。自分のなおすべきところは意識しながら、自然に良いプレーが身につくように体で覚えるようにしています。私はあまり器用ではないので、反復練習によって覚えていくように努めています。「やり込まなければ!」と、いつも竹内先生が言われるのですが、私の場合は本当にそのとおりです。
 試合前とそうでない時とは、練習方法が違ってきます。試合がない時であれば、弱点補強練習や新しい技術を身につける練習などを多く行います。試合前であれば、自分の主戦武器を生かす練習を多くして調子を上げるようにしていきます。

 ~今後の課題~

 ■サービス・レシーブの強化


 私は、幸いノビサドで行われる世界選手権の日本代表になることが出来ました。まさかと思っていた代表だけに喜びも大きいものですが、その反面不安もあります。同時に、初めての国際試合ですし、思いきってやるしかないと思います。そして、自分は日本の代表であるということをいつも頭において練習したいと思います。技術面での今後の課題は、サービス・レシーブと打点の高いドライブとバックハンドの強化です。特にサービス・レシーブは最も重要だと思いますし、中国や外の国の速くて変化のあるサービスをレシーブする技術が必要になってきます。私は細かいプレーが苦手ですので、こういった事も含めて強化していきたいと思います。
 私が目指している卓球は、ドライブを生かした、足を使ってポイントをする卓球なので、いつもその目標を頭において、練習をしていきたいと思います。自分に必要であるものは何でも吸収し、自信を持ってプレーが出来るように心がけたいと思います。また、技術面だけでなく、精神面においても強化をし、世界選手権では日本を代表する選手の一人として、精一杯がんばります。

うめだひろこ
中京大学。右、ペン、裏ソフトのドライブ主戦型。
フットワークを生かした粘り強いプレーが身上。
1980年全日本単5位。1981年ノビサド世界大会日本代表


(1981年4月号掲載)
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