■卓球との出会い
先生のプレーにひかれて
私が初めて卓球のラケットを握ったのは、王子小学校(和歌山県新宮市)6年生のときでした。授業が終わったある日、何気なく体育館に行ったときのことです。クラスの友だちが水口(みなぐち)先生と小さな白球を打ち合っていました。大粒の汗を流して楽しそうな友だちを見て、私は「よし、ぼくもやろう」と思い、すぐに仲間に入れてもらいました。これが私の卓球との出会いです。
卓球といっても、その頃は目標があるわけではなく、漫然とボールを打ち合うだけの"ピンポン"という感じでした。ただ、先生がとてもバックハンドのうまいカットマンでしたので、「先生のようなプレーがしたい」「先生のようにうまくなりたい」と思い、先生のフォームをマネながら、毎日楽しく練習していたことを思い出します。
城南中学校(新宮市立)時代は、顧問だった工藤先生の指導のもと、「全国大会出場」という目標をかかげて真剣にとりくみました。
練習内容は、自主練習が主で、部内リーグ戦をよくやりました。試合のメンバーなどは、この部内リーグの成績によって決まりますので、全部員が一生懸命やったものです。
中学校での悩みは練習時間が短いことでした。土、日曜、祭日は体育館が使えず、1日約1時間、週4日間の練習でした。これでは目標は達せられない、ということで、水口先生が指導しておられた王子クラブで練習させていただくことになったのです。
王子クラブでの練習は、ボールをたくさん使って行うスマッシュ練習や、スマッシュを拾う練習を多くやりました。この練習は、非常に苦しい練習でしたけれども、現在大いにプラスになっています。
水口先生はとにかく熱心な先生で、口ではそんなにきつくは言われませんでしたが、練習場の雰囲気はいつもピリッとした厳しいものがあり、緊張感の高い練習でした。その成果が、'78年の全国中学生大会団体優勝に結びついたのだと思います。
■現在の練習
トレーニング
高校は、あこがれだった高校界の名門熊谷商業に進学しました。自分なりにある程度自信をもっていたのですが、先輩たちのボールの威力はものすごく、まったくついていけないほどでした。サービス、レシーブ力においても格段の差を感じ、果たしてやっていけるだろうか、と思ったこともありました。しかし、吉田先生にいろんな面でご指導いただいたおかげで、いまでは卓球に対する考え方もずいぶん変わってきたように思います。
入学直後、先生から「強くなるためには、体力をつけること」「威力のあるボールに押されないようにするためには、振り(スイング)の速さと、速い動きが必要だ」とアドバイスを受けましたし、トレーニングの重要性も高校へ入ってから痛感しました。いま思えば、もっと早くから体力強化に力を入れていたら、と悔やまれます。
かといって、トレーニングは急に量を増やすわけにいきません。毎朝3km~5kmのランニング(できるだけ速く走る)、腕立て、腹筋、なわとびを毎日欠かさず行っています。
ゲーム練習
現在の練習は、ゲーム練習とフットワーク練習に重点をおいています。
ゲーム練習は、いろんなカウントを想定して始めます。たとえば、8オールからとか、15オール、16-19などから始めます。こうしたことによって、常に緊張した状態でプレーをし、競ったときに自分のプレーができるように努めています。
フットワーク
フットワークの練習は、左右のフットワーク、前後のフットワークが主体です。
左右のフットワークは
・バック側、もしくはフォア側からフォア、バック交互にドライブで粘ってもらい、カットで一定の位置に返球
・フォアカットだけで10分
・バックカットだけで10分
・フォアカット、バックカット自由で15分
最近は、ロングマンと同じように、フォアハンドロングだけのフットワーク練習もとり入れています。
前後のフットワークは、試合の中で特に大事な動きですので、大会が近くなると時間をかけて練習します。
フォアカット+バックツッツキ
㋑フォア側からフォアへドライブをかけてもらう
㋺動いてフォアカットでフォアへ返球
㋩相手はバック前にストップ
㋥動いてバックツッツキ(バックハンド強打)でフォアへ返球 ㋑~㋥をくり返す
バックカット+フォアツッツキ
㋑バック側からバックへドライブをかけてもらう
㋺動いてバックカットでバックへ返球
㋩相手はフォア前にストップ
㋥動いてフォアツッツキ(フォアハンド強打)でバックに返球 ㋑~㋥をくり返す
上記の練習をフォアカットで10分、バックカットで10分、オールで15分
スマッシュ返球
バッククロス、もしくはフォアクロスへ連続的にスマッシュしてもらい、それをカットで返球する方法です。
・気をつけていることは、スマッシュを返球した後、ストップ処理ができる位置まで必ずもどって、次球のスマッシュに対して動き始める
・カットが低く深く入るように、ラケットをしっかり振り抜く
自主課題では、昨夏の中国遠征で学んだ、 ・サービスからの3球目攻撃 ・レシーブからの4球目攻撃 ・変化カットからの反撃 ・ツッツキとツッツキ打ち ・ボールをたくさん使っての両ハンドスマッシュ
一瞬のスキもない集中力を身につけて
以上が現在の練習内容ですが、私がめざす卓球は、異質ラバーの特長を生かし、攻守のバランスがとれたカットマンです。今後は、体力トレーニングを積み重ね、守備範囲を広げ、守るカットと攻めるカットの使いわけを自由自在にしていかなければなりません。また、攻撃力を強化し、サービスからの3球目攻撃を数多く、積極的に打てるように練習していきたいと思っています。
私は幸い、指導者にたいへん恵まれてきました。水口先生、工藤先生、吉田先生、それに以前、王子小学校に勤務しておられた辻先生。こういった先生方の熱意あふれるご指導に感謝しています。先生たちのご好意をムダにしないように、日常生活においても、いままで以上に厳しさを求め、一瞬のスキもない集中力を身につけ、一流選手に近づくよう努力していきます。
あくまで目標は世界選手権ですが、とりあえず間近に迫ってきた高校生活最後のインターハイ優勝を目指してがんばります。
のじりとしのぶ
和歌山県城南中→熊谷商高
右、シェーク、片面裏ソフト、片面アンチのカット主戦型。変化カットと鋭い両ハンド攻撃が得意。
'80年全日本ジュニアNo.1
(1981年7月号掲載)
先生のプレーにひかれて
私が初めて卓球のラケットを握ったのは、王子小学校(和歌山県新宮市)6年生のときでした。授業が終わったある日、何気なく体育館に行ったときのことです。クラスの友だちが水口(みなぐち)先生と小さな白球を打ち合っていました。大粒の汗を流して楽しそうな友だちを見て、私は「よし、ぼくもやろう」と思い、すぐに仲間に入れてもらいました。これが私の卓球との出会いです。
卓球といっても、その頃は目標があるわけではなく、漫然とボールを打ち合うだけの"ピンポン"という感じでした。ただ、先生がとてもバックハンドのうまいカットマンでしたので、「先生のようなプレーがしたい」「先生のようにうまくなりたい」と思い、先生のフォームをマネながら、毎日楽しく練習していたことを思い出します。
城南中学校(新宮市立)時代は、顧問だった工藤先生の指導のもと、「全国大会出場」という目標をかかげて真剣にとりくみました。
練習内容は、自主練習が主で、部内リーグ戦をよくやりました。試合のメンバーなどは、この部内リーグの成績によって決まりますので、全部員が一生懸命やったものです。
中学校での悩みは練習時間が短いことでした。土、日曜、祭日は体育館が使えず、1日約1時間、週4日間の練習でした。これでは目標は達せられない、ということで、水口先生が指導しておられた王子クラブで練習させていただくことになったのです。
王子クラブでの練習は、ボールをたくさん使って行うスマッシュ練習や、スマッシュを拾う練習を多くやりました。この練習は、非常に苦しい練習でしたけれども、現在大いにプラスになっています。
水口先生はとにかく熱心な先生で、口ではそんなにきつくは言われませんでしたが、練習場の雰囲気はいつもピリッとした厳しいものがあり、緊張感の高い練習でした。その成果が、'78年の全国中学生大会団体優勝に結びついたのだと思います。
■現在の練習
トレーニング
高校は、あこがれだった高校界の名門熊谷商業に進学しました。自分なりにある程度自信をもっていたのですが、先輩たちのボールの威力はものすごく、まったくついていけないほどでした。サービス、レシーブ力においても格段の差を感じ、果たしてやっていけるだろうか、と思ったこともありました。しかし、吉田先生にいろんな面でご指導いただいたおかげで、いまでは卓球に対する考え方もずいぶん変わってきたように思います。
入学直後、先生から「強くなるためには、体力をつけること」「威力のあるボールに押されないようにするためには、振り(スイング)の速さと、速い動きが必要だ」とアドバイスを受けましたし、トレーニングの重要性も高校へ入ってから痛感しました。いま思えば、もっと早くから体力強化に力を入れていたら、と悔やまれます。
かといって、トレーニングは急に量を増やすわけにいきません。毎朝3km~5kmのランニング(できるだけ速く走る)、腕立て、腹筋、なわとびを毎日欠かさず行っています。
ゲーム練習
現在の練習は、ゲーム練習とフットワーク練習に重点をおいています。
ゲーム練習は、いろんなカウントを想定して始めます。たとえば、8オールからとか、15オール、16-19などから始めます。こうしたことによって、常に緊張した状態でプレーをし、競ったときに自分のプレーができるように努めています。
フットワーク
フットワークの練習は、左右のフットワーク、前後のフットワークが主体です。
左右のフットワークは
・バック側、もしくはフォア側からフォア、バック交互にドライブで粘ってもらい、カットで一定の位置に返球
・フォアカットだけで10分
・バックカットだけで10分
・フォアカット、バックカット自由で15分
最近は、ロングマンと同じように、フォアハンドロングだけのフットワーク練習もとり入れています。
前後のフットワークは、試合の中で特に大事な動きですので、大会が近くなると時間をかけて練習します。
フォアカット+バックツッツキ
㋑フォア側からフォアへドライブをかけてもらう
㋺動いてフォアカットでフォアへ返球
㋩相手はバック前にストップ
㋥動いてバックツッツキ(バックハンド強打)でフォアへ返球 ㋑~㋥をくり返す
バックカット+フォアツッツキ
㋑バック側からバックへドライブをかけてもらう
㋺動いてバックカットでバックへ返球
㋩相手はフォア前にストップ
㋥動いてフォアツッツキ(フォアハンド強打)でバックに返球 ㋑~㋥をくり返す
上記の練習をフォアカットで10分、バックカットで10分、オールで15分
スマッシュ返球
バッククロス、もしくはフォアクロスへ連続的にスマッシュしてもらい、それをカットで返球する方法です。
・気をつけていることは、スマッシュを返球した後、ストップ処理ができる位置まで必ずもどって、次球のスマッシュに対して動き始める
・カットが低く深く入るように、ラケットをしっかり振り抜く
自主課題では、昨夏の中国遠征で学んだ、 ・サービスからの3球目攻撃 ・レシーブからの4球目攻撃 ・変化カットからの反撃 ・ツッツキとツッツキ打ち ・ボールをたくさん使っての両ハンドスマッシュ
一瞬のスキもない集中力を身につけて
以上が現在の練習内容ですが、私がめざす卓球は、異質ラバーの特長を生かし、攻守のバランスがとれたカットマンです。今後は、体力トレーニングを積み重ね、守備範囲を広げ、守るカットと攻めるカットの使いわけを自由自在にしていかなければなりません。また、攻撃力を強化し、サービスからの3球目攻撃を数多く、積極的に打てるように練習していきたいと思っています。
私は幸い、指導者にたいへん恵まれてきました。水口先生、工藤先生、吉田先生、それに以前、王子小学校に勤務しておられた辻先生。こういった先生方の熱意あふれるご指導に感謝しています。先生たちのご好意をムダにしないように、日常生活においても、いままで以上に厳しさを求め、一瞬のスキもない集中力を身につけ、一流選手に近づくよう努力していきます。
あくまで目標は世界選手権ですが、とりあえず間近に迫ってきた高校生活最後のインターハイ優勝を目指してがんばります。
のじりとしのぶ
和歌山県城南中→熊谷商高
右、シェーク、片面裏ソフト、片面アンチのカット主戦型。変化カットと鋭い両ハンド攻撃が得意。
'80年全日本ジュニアNo.1
(1981年7月号掲載)