~「練習すればするほど勝てる」~
中学(下館北)時代、私はバレーボール部に入りたいと希望していたのですが、身長が低いため受け入れてもらえませんでした。そこで、身長が低くてもできるスポーツはないか、と考えたすえ、卓球だったら大丈夫ではないかと思い、卓球部に入りました。いま考えると、卓球をやって本当によかったと思います。
中学時代は、田村和夫先生の厳しい指導のもと、毎日練習に励みました。
練習時間は、朝1時間、放課後4時間以上の練習でした。時には、夜の9時過ぎる日もしばしばありました。が、「練習すればするほど勝てるんだ」という気持ちがありましたので、苦しいとは思いませんでした。
練習内容としては、1~2年の時はフォアハンドロング(ショート打ち、各コース)、ツッツキなどの基本練習だけでした。3年になり、ツッツキの変化(バックハンドツッツキ)に重点をおいて練習しました。先生によく「カットマンはツッツキが命だ」とアドバイスを受けたことを今でも覚えています。
当時は、ただ無我夢中で練習をしていました。その無我夢中というのがよかったのでしょうか、念願の全国中学校大会のシングルスで優勝することができました。いま思えば、基本(特にツッツキ)をしっかり身につけておいたのが良かったのだと思います。
~「カットマンは凡ミスをするな」~
高校は、真岡女子高校に入学し、大島俊之助先生の厳しい指導のもと、インターハイ優勝を目指して練習に取り組みました。高校は中学と違って、自分で練習内容を考えなくてはいけないので、初めはとまどいましたが、「どうしたら強くなれるか」という気持ちが強まり、精神的にも強くなったように思います。とにかく、「カットマンは凡ミスをするな」と何回も何回も大島先生にアドバイスを受けました。
練習内容は、基本練習が主で、カット(フォア、バック)をして、次にツッツキの練習をしました。試合前は、相手のフォア側(ワンサイド)からオールサイドに打ってもらったり、スマッシュを拾う練習を中心にしました。
攻撃の練習は、多球練習で行いました。①フォアからロングサービスを出してもらい、カットしたのをバック前にストップしてもらって、それをバックハンドスマッシュ ②バックからロングサービスを出してもらい、カットしたのをフォア前にストップしてもらい、それをフォアハンドスマッシュ...という形で練習しました。
私の場合、フォアハンドはイボ高を使っていましたので、フォームは小さく、打点はバウンドの頂点をとらえて振り切るように努めました。この頃は、技術的な迷いというものを知らずに過ぎました。ただ、もっともっと強くなりたいという気持ちでいっぱいでした。それが良かったのかも知れません。幸い、インターハイで単複に優勝することができました。精神的に厳しく指導していただいたおかげだと思っています。
~攻撃力のなさに悩んだ大学時代~
大学は、富士短大に進学しました。水村さん、西村さんの指導で、「4年分を2年で身につけなくてはいけない」と何度も言われたものです。
大学の2年間は、攻撃の練習に重点をおきました。練習時間は、1日4~5時間ぐらいで、他の大学に比べると練習量は少なかったのではないかと思います。
練習内容は、初めに監督さんと多球練習(フォアハンド強打)、フォアカット、バックカット、オールサイドでのカット、ゲーム練習...といったものでした。
攻撃は不得手でしたので、ずいぶん悩みましたが、2年になった頃にいくらか身についたように思います。
~現在の重点練習~
私は社会人2年目になりますが、職場の理解と良い環境、そして何よりもチームワークがよいということで、木村監督の指導のもと、伸び伸びと練習に取り組んでいます。入社当初は、学生の時よりも練習時間が短いということもあり、何を主に練習してよいのかわかりませんでした。が、今は短時間でも自分の納得いく練習をするよう心がけています。2年目になってわかったことは、卓球は技術以上に精神的な面が強くなくてはいけないということです。それは、「何とかして勝ちたい」という気持ちです。この気持ちだけで練習に対する取り組み方、集中心が違うものだと感じたのです。
練習内容としては、次の4点に重点をおいています。
1.フットワーク
前後、左右、オールのフットワークなどです。特に前後の動きに時間をかけています。
やり方は、①フォアに一本打ってもらい、カットしたのをバックにストップしてもらう ②バックに打ってもらい、カットしたのをフォア前にストップしてもらう...方法です。この時に足の動き(運び)に気をつけています。ラリーが続くと、つい手だけでカットしがちですが、そこで足を1歩出すようにしています。
フットワーク練習は苦しいけれども、苦しい時に、そこでがんばることによって精神面が強化されるのです。それが試合で競った時に役立ちます。
2.ミドル処理
ミドルの処理は、非常にむずかしい技術です。それだけにたくさん練習しなくてはいけません。ミドルに打ってもらい、それを一球一球、フォアカットとバックカット交互に切りかえたり、バックカット2本、フォアカット1本、といった方法で練習します。
3.スマッシュ処理
ワンサイドだけでのスマッシュ処理と、1本フォアにスマッシュしてもらい、その後はオールにスマッシュしてもらって拾います。この時は1本でも多く拾うことと、少しぐらい高く浮いても深く返球するように心がけています。
4.攻撃練習
攻撃の練習は、多くのボールを使って練習します。台から少しさがってフォアカットの素振りをして、送球してもらったのをスマッシュ、バックカットの素振りをして、回り込んでスマッシュ、ストップボールに対してバックハンドスマッシュ...などです。
カットからのスマッシュは(私の場合下がるので)、腰を一度上げるようにして打つように心がけています。
以上が現在の主な練習内容です。が、今はとにかく「ボールをたくさん打つ」ことと、集中して練習するように心がけています。
~今後の課題~
今後の課題は、
㋑技術面
いま以上に守備範囲を広くすること、バックハンド攻撃の確実性を増すこと
㋺精神面
競った時に冷静な判断力が必要とされるので、この面に重点をおく
㋩体力面
今の私に最も必要とされるのは体力です。今年の2月から4月頃まで約3ヵ月間、いろいろな機械を使ったり、ランニングしたり、とにかく体力づくり(筋力アップ)に励みました。が、これからも一層取り組んでいかなければなりません。特に、私は足を使いますので、足の筋力の強化(スクワット)...などに重点をおくつもりです。また、いままでは、練習量を少し増やすとすぐ腰にきてしまうということもあり、腹筋、背筋にも力を入れたいと思います。
最近、少しは筋力がついたのでしょうか、練習時間を少々多くしても腰への負担はあまり感じなくなってきました。そうしたことが今回の社会人選手権大会の優勝につながったのだと感じています。この優勝を機に、会社のため、そして自分のためにも精一杯がんばりたいと思います。
ふくだのりこ
真岡女高→富士短大→日本楽器。
右、シェーク、フォア面イボ高、バック面裏ソフトのカット主戦型。今年の進境は目ざましく、全日本実業団優勝の原動力となった。
'81年インターハイ単複優勝。'85年全日本社会人No.1
(1985年12月号掲載)
中学(下館北)時代、私はバレーボール部に入りたいと希望していたのですが、身長が低いため受け入れてもらえませんでした。そこで、身長が低くてもできるスポーツはないか、と考えたすえ、卓球だったら大丈夫ではないかと思い、卓球部に入りました。いま考えると、卓球をやって本当によかったと思います。
中学時代は、田村和夫先生の厳しい指導のもと、毎日練習に励みました。
練習時間は、朝1時間、放課後4時間以上の練習でした。時には、夜の9時過ぎる日もしばしばありました。が、「練習すればするほど勝てるんだ」という気持ちがありましたので、苦しいとは思いませんでした。
練習内容としては、1~2年の時はフォアハンドロング(ショート打ち、各コース)、ツッツキなどの基本練習だけでした。3年になり、ツッツキの変化(バックハンドツッツキ)に重点をおいて練習しました。先生によく「カットマンはツッツキが命だ」とアドバイスを受けたことを今でも覚えています。
当時は、ただ無我夢中で練習をしていました。その無我夢中というのがよかったのでしょうか、念願の全国中学校大会のシングルスで優勝することができました。いま思えば、基本(特にツッツキ)をしっかり身につけておいたのが良かったのだと思います。
~「カットマンは凡ミスをするな」~
高校は、真岡女子高校に入学し、大島俊之助先生の厳しい指導のもと、インターハイ優勝を目指して練習に取り組みました。高校は中学と違って、自分で練習内容を考えなくてはいけないので、初めはとまどいましたが、「どうしたら強くなれるか」という気持ちが強まり、精神的にも強くなったように思います。とにかく、「カットマンは凡ミスをするな」と何回も何回も大島先生にアドバイスを受けました。
練習内容は、基本練習が主で、カット(フォア、バック)をして、次にツッツキの練習をしました。試合前は、相手のフォア側(ワンサイド)からオールサイドに打ってもらったり、スマッシュを拾う練習を中心にしました。
攻撃の練習は、多球練習で行いました。①フォアからロングサービスを出してもらい、カットしたのをバック前にストップしてもらって、それをバックハンドスマッシュ ②バックからロングサービスを出してもらい、カットしたのをフォア前にストップしてもらい、それをフォアハンドスマッシュ...という形で練習しました。
私の場合、フォアハンドはイボ高を使っていましたので、フォームは小さく、打点はバウンドの頂点をとらえて振り切るように努めました。この頃は、技術的な迷いというものを知らずに過ぎました。ただ、もっともっと強くなりたいという気持ちでいっぱいでした。それが良かったのかも知れません。幸い、インターハイで単複に優勝することができました。精神的に厳しく指導していただいたおかげだと思っています。
~攻撃力のなさに悩んだ大学時代~
大学は、富士短大に進学しました。水村さん、西村さんの指導で、「4年分を2年で身につけなくてはいけない」と何度も言われたものです。
大学の2年間は、攻撃の練習に重点をおきました。練習時間は、1日4~5時間ぐらいで、他の大学に比べると練習量は少なかったのではないかと思います。
練習内容は、初めに監督さんと多球練習(フォアハンド強打)、フォアカット、バックカット、オールサイドでのカット、ゲーム練習...といったものでした。
攻撃は不得手でしたので、ずいぶん悩みましたが、2年になった頃にいくらか身についたように思います。
~現在の重点練習~
私は社会人2年目になりますが、職場の理解と良い環境、そして何よりもチームワークがよいということで、木村監督の指導のもと、伸び伸びと練習に取り組んでいます。入社当初は、学生の時よりも練習時間が短いということもあり、何を主に練習してよいのかわかりませんでした。が、今は短時間でも自分の納得いく練習をするよう心がけています。2年目になってわかったことは、卓球は技術以上に精神的な面が強くなくてはいけないということです。それは、「何とかして勝ちたい」という気持ちです。この気持ちだけで練習に対する取り組み方、集中心が違うものだと感じたのです。
練習内容としては、次の4点に重点をおいています。
1.フットワーク
前後、左右、オールのフットワークなどです。特に前後の動きに時間をかけています。
やり方は、①フォアに一本打ってもらい、カットしたのをバックにストップしてもらう ②バックに打ってもらい、カットしたのをフォア前にストップしてもらう...方法です。この時に足の動き(運び)に気をつけています。ラリーが続くと、つい手だけでカットしがちですが、そこで足を1歩出すようにしています。
フットワーク練習は苦しいけれども、苦しい時に、そこでがんばることによって精神面が強化されるのです。それが試合で競った時に役立ちます。
2.ミドル処理
ミドルの処理は、非常にむずかしい技術です。それだけにたくさん練習しなくてはいけません。ミドルに打ってもらい、それを一球一球、フォアカットとバックカット交互に切りかえたり、バックカット2本、フォアカット1本、といった方法で練習します。
3.スマッシュ処理
ワンサイドだけでのスマッシュ処理と、1本フォアにスマッシュしてもらい、その後はオールにスマッシュしてもらって拾います。この時は1本でも多く拾うことと、少しぐらい高く浮いても深く返球するように心がけています。
4.攻撃練習
攻撃の練習は、多くのボールを使って練習します。台から少しさがってフォアカットの素振りをして、送球してもらったのをスマッシュ、バックカットの素振りをして、回り込んでスマッシュ、ストップボールに対してバックハンドスマッシュ...などです。
カットからのスマッシュは(私の場合下がるので)、腰を一度上げるようにして打つように心がけています。
以上が現在の主な練習内容です。が、今はとにかく「ボールをたくさん打つ」ことと、集中して練習するように心がけています。
~今後の課題~
今後の課題は、
㋑技術面
いま以上に守備範囲を広くすること、バックハンド攻撃の確実性を増すこと
㋺精神面
競った時に冷静な判断力が必要とされるので、この面に重点をおく
㋩体力面
今の私に最も必要とされるのは体力です。今年の2月から4月頃まで約3ヵ月間、いろいろな機械を使ったり、ランニングしたり、とにかく体力づくり(筋力アップ)に励みました。が、これからも一層取り組んでいかなければなりません。特に、私は足を使いますので、足の筋力の強化(スクワット)...などに重点をおくつもりです。また、いままでは、練習量を少し増やすとすぐ腰にきてしまうということもあり、腹筋、背筋にも力を入れたいと思います。
最近、少しは筋力がついたのでしょうか、練習時間を少々多くしても腰への負担はあまり感じなくなってきました。そうしたことが今回の社会人選手権大会の優勝につながったのだと感じています。この優勝を機に、会社のため、そして自分のためにも精一杯がんばりたいと思います。
ふくだのりこ
真岡女高→富士短大→日本楽器。
右、シェーク、フォア面イボ高、バック面裏ソフトのカット主戦型。今年の進境は目ざましく、全日本実業団優勝の原動力となった。
'81年インターハイ単複優勝。'85年全日本社会人No.1
(1985年12月号掲載)