長い道のりだった。
それは、1979年世界ピョンヤン大会の男子シングルスに優勝した小野誠治以来38年ぶりに日本から世界チャンピオンが誕生するまでの期間だったともいえるし、混合ダブルスにおいては1969年世界ミュンヘン大会で優勝した長谷川信彦/今野安子以来48年ぶりという意味でもそうだ。が、ここまでの道のりを最も長く感じたのは、優勝後の記者会見で「(表彰台の)一番のところに立った時にカップを渡されて、これが1位と2位の差かというのをあらためて実感した(吉村)」と語った吉村/石川ではないだろうか。
2015年世界蘇州大会、決勝に進出するも国際ペアの許昕/梁夏銀(中国/韓国)にストレート負け。この敗戦が、今大会の快挙につながるスタートラインだった。あれからおよそ2年を費やし、再び世界一を狙うチャンスが巡ってきた。
しかし、その挑戦は、試合を勝ち進むに従って厳しさを増していく。準決勝は第1、第2ゲームをいずれもジュースで落とし、ゲームカウント1−3に追い込まれた。決勝も相手に2ゲームを連取される展開から1−3の劣勢。「男子選手のボールを女子選手が受けるパターンは不利」といわれる混合ダブルスで、ゲームカウント1−3から3ゲームを連取して逆転するのは至難と思われた。
それでも「前回はすごく残念な思いをしたので、どんなに苦しい場面でも最後まであきらめずにプレーすることができました(石川)」「本当に苦しい場面がたくさんあって、自分もなかなか調子が出なくて凡ミスが多い展開が続いていたんですけど、石川さんがずっと隣で『大丈夫、大丈夫』って励ましてくれたので、自分もなんとかしてやろうという気持ちで戦いました(吉村)」という二人が、苦しい時間の中で1点ずつをコツコツと積み上げ続け、大逆転で日本に金メダルをもたらした。
日本中の卓球ファンが待ちわびた、ワールドチャンピオン。日本にとって、確かにここまでの道のりが長かったことは間違いない。しかし、吉村/石川が日本卓球史に新たな足跡を残してくれた今、日本から次なるワールドチャンピオンが誕生するまでに、これまでのような時間はかからないだろう。そう、もしかしたらそれは今日かもしれない。(敬称略)(編集長)
今大会の模様は卓球レポート7月号(6月20日発売)に掲載
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世界卓球2017デュッセルドルフ/公式サイト(英語):http://www.wttc2017.com/en.html
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