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卓レポ名勝負セレクション 
European Glory タマラ・ボロシュ Select.2

 卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
 今シリーズは、女子離れしたパワフルな両ハンドドライブで活躍したボロシュ(クロアチア)の名勝負を紹介していく。
 今回は、バデスク(ルーマニア)との2003年世界卓球選手権(以下、世界卓球)パリ大会女子シングルス4回戦をお届けしよう。

■ 観戦ガイド
ボロシュのパワー対バデスクの速攻が激突!
接戦の中、お手本のような表ソフト攻略で勝機をつかむ

 クロアチアにとどまらず、ヨーロッパ中の期待を背負って2003年世界卓球パリ大会に挑んだボロシュ。女子シングルス3回戦で日本の小西杏(当時ミキハウス)の速攻をパワフルな両ハンドドライブで退けると、4回戦でバデスク(ルーマニア)と対峙した。

 バデスクは、ヨーロッパのみならず、世界的に見ても珍しい、シェークハンドの両面に表ソフトラバーを貼る選手だ。アジア選手を上回るほどの俊敏なフットワークから繰り出す両ハンドスマッシュを得意とし、1993年世界卓球イエーテボリ大会では女子シングルス3位という輝かしい成績を残している。バデスクは1992年から日本の十六銀行に所属し、日本リーグでプレーした経歴があるため、彼女の名に覚えのある人も多いのではないだろうか。
 1993年イエーテボリ大会で表彰台まで勝ち上がり、将来を嘱望されたバデスクだったが、以降はビッグマッチで思うように勝てない時期が続く。しかし、パリ大会直前にイタリアで行われた2003年ヨーロッパ卓球選手権大会女子シングルスで劇的な復活優勝を果たし、自信を取り戻してパリ大会に乗り込んできていた。
 このパリ大会の3回戦では、当時中国期待の若手だった郭炎をゲームオールジュースで振り切って勝ち上がってきており、その速攻は勢いを増していた。

 試合が始まると、3回戦の窮地を切り抜けて勢いに乗るバデスクに要所を押さえられ、ボロシュは第1、第2ゲームを立て続けに落としてしまう。第3ゲームもボロシュはなかなかリードできない展開が続くが、ポイント 7-8と後がない場面でタイムアウトを取ってから、自慢の大砲がうなりを上げ始める。
 ボロシュの目を見張るような威力の両ハンドドライブもさることながら、「ロングサービスや長めの下回転系のボールを多用し、相手がスマッシュできずにつないできたボールを狙い打つ」という、表ソフトラバー攻略のお手本のようなプレーにも注目して、この名勝負を堪能してほしい。
(文中敬称略)

(文/動画=卓球レポート)

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