卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今シリーズでは、2月に韓国の釜山で開催された第57回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2024釜山)で繰り広げられた激闘の軌跡をたどる。
今回は、男子団体グループリーグ日本対中華台北の4番、張本智和(日本)対林昀儒(中華台北)の名勝負をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
グループ首位通過をかけた注目のエース対決
限界突破の高速バトルは、まばたき厳禁!
日本対中華台北のグループリーグ首位通過をかけた一戦、1番は日本エースの張本智和が高承睿を、2番は中華台北エースの林昀儒が篠塚大登をそれぞれ下し、両エースが重責を果たす展開で前半を終える。
勝敗を大きく左右する3番は、16歳の松島輝空が42歳の鉄人・荘智淵を大接戦の末に下し、日本が王手をかけて張本対林昀儒のエース対決を迎えた。
張本と林昀儒はジュニア時代から逸材として世界から注目され、互いにしのぎを削ってきたライバル同士だ。大会時の世界ランキングは張本が9位で、林昀儒が8位とほぼ互角。この試合の直近では、昨年11に行われたWTTチャンピオンズ フランクフルトの準々決勝で両者の対戦があり、その時は林昀儒が張本をゲームカウント3対1で下し、そのまま優勝を果たしている。
WTTチャンピオンズ フランクフルト優勝を筆頭に、このところの国際大会における存在感では林昀儒が上回っている感があるが、今年の全日本で二度目の優勝を果たした張本も充実している。
名勝負必至のエース対決は、互いが特長を存分に発揮してゲームを取り合いながら、ゲームオールまでもつれる。しかし、迎えた最終ゲームの序盤、「後輩(松島)が良い場面を回してくれて決めないわけにはいかなかった」と腹をくくっていた張本が、エースとして、先輩としての意地で猛スパートをかける。
ともに打球点の早いプレーとカウンターを得意とする張本と林昀儒のラリーは、とにかくピッチが速い。反射の限界に挑むかのような両エースの高速バトルは、まばたき厳禁だ。
(文中敬称略)
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(文/動画=卓球レポート)