卓球レポートは国内外のさまざまな大会へ足を運び、およそ半世紀にわたり、あまたの熱戦を映像に収め続けてきた。その膨大な映像ストックの中から、語り継がれるべき名勝負を厳選して紹介する「卓レポ名勝負セレクション」。
今シリーズでは、2月に韓国の釜山で開催された第57回世界卓球選手権大会団体戦(以下、世界卓球2024釜山)で繰り広げられた激闘の軌跡をたどる。
今回は、男子団体グループリーグ日本対中華台北の3番、松島輝空(日本)対荘智淵(中華台北)の名勝負をお届けしよう。
■ 観戦ガイド
両チームとも譲れない3番は、26歳差の異世代対決
松島のテクニックと荘智淵の経験が激しくせめぎ合う
グループリーグの首位通過がかかる日本対中華台北の大一番、トップは張本智和が日本のエースらしい堂々たるプレーで中華台北期待の高承睿に勝利し、先制点を挙げるが、2番は篠塚大登が中華台北エースの林昀儒と互角に打ち合うもゲームオールで敗れ、試合は振り出しに戻った。
王手がかかる重要な3番、日本は16歳の松島輝空を起用した。
幼少の頃から各年代で全国タイトルを総なめにしてきた松島だが、世界の名だたる強豪を連破して準優勝した昨年のWTTコンテンダー リオデジャネイロを筆頭にシニアでも結果を出し始めており、大会時の世界ランキングは33位。長短織り交ぜたサービスとストライクゾーンの広いバックハンドは非凡で、16歳と年齢は若いが、日本男子が3番を任せるに足る躍進を続けている。
対する中華台北は、42歳の荘智淵を3番に持ってきた。
軽快なフットワークから繰り出すスムーズな両ハンドを武器に、長きにわたって中華台北を支える、言わずと知れた鉄人だ。大会時の世界ランキングは35位と高い位置をキープしており、40歳を過ぎているとはいえ、荘智淵の経験は侮れない。
16歳の新鋭のテクニックか。それとも42歳のレジェンドの経験か。
両チームとも譲れない26歳差の異世代対決は、松島が多彩なサービスとバックハンドで攻め込み、荘智淵がそれに対応しつつ要所でフォアハンドを決める展開で最後までもつれていく。
松島の世界卓球初出場とは思えない堂々たるプレーぶりと先進的なテクニックもさることながら、42歳という年齢を全く感じさせない体のキレで、現代卓球の最新モデルともいうべき松島と互角に渡り合う荘智淵のプレーにも感嘆すること間違いなしの名勝負だ。
(文中敬称略)
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(文/動画=卓球レポート)